栄養状態が悪く
摂食障害を疑われる。
違うの。食べて、仕事中にお腹が痛くなるのが嫌で、ゼリーと果物しか食べないの。
それがダメなんだって。
ケーキを1口食べただけで職場で失禁したのにね。怖くて食べられないよね。失敗体験が過敏性腸症候群の天敵だから。
薬も飲めないし。
入院を勧められる。
授業参観と家庭訪問が控えているので、家に居たい。
帝王切開の時、輸血が必要になるだろうって。そうだろうね。
ヘモグロビン7代で、よく歩けるねって。
動悸と氷中毒はすごいけど、わりと元気だよ。
金曜日、職場から電話。
周産期医療センターの女医さんより、ドクターストップが入ったから、仕事復帰は出来ず残りは有給消化で産休に入ることになる。
お菓子手土産に、お世話になった病棟と、ご迷惑をかけた入退院支援センターに挨拶に行きたいので、月曜日だけ行かせてほしいと伝えた。
ロッカーや白衣、書類の整理や片付けもあるし、午前中だけ行こう。
産んで落ち着いてからでいいよ。
貧血だから、ひとりで運転しちゃダメよ。と言われる。
そうか。私は病人なのか。
妊娠は病気じゃないのにね。
夫に世話かけてばかりだな。
せっかく生き甲斐を見つけた仕事、せっかく復職できた喜びも束の間、また廃人に戻るしかなくなった。
そして、いつか訪れる、出産。
母子共に無事だという保証はどこにもない。
命がけの残りの2ヶ月。
鉄剤と栄養の点滴、健診のための通院が始まる。
坊やは呑気に、母のあまり出ない腹の上で、ブーブーとミニカーを走らせている。
坊やの弟も、ブーブーを蹴り返している。
年子男兄弟よ、仲良く遊ぶんだよ。
その為に、母は頑張るから。
産んで元気になったら、2人を両脇に抱えて、たくさんたくさん抱っこするからね。