担ぎ込まれるように受診した夜診。
息子も娘も連れて、息子を産んだ病院に受診。
見慣れた先生と助産師さん。
待ち時間、受付前で吐いた。ちゃんと黒いビニール袋は持参していた。
周りの目が痛い。
処置室に寝かせてもらった。
体重の減りと、血圧の低さで、採血結果を待たずして入院が決まった。
先生、昨日まで、ちゃんと食べてたよ?
大丈夫、帰って、やらなきゃいけないこと、たくさんあるの。
学童の申し込みがさ、息子の発達がさ、後期健診の予約もしたの。
ねぇ…先生。
私、入院できないの!
半分パニックになりながら訴えたのに。
先生は、ギュッと手を握って、こう言った。
お母さん、妊娠、出産は、代われない。
あとのことは、いくらでも代わりがきく。
だから、お母さんは、誰も代われない妊娠継続を頑張らないと。
がんばる?
これ以上?
もう妊婦辞める!
3人目欲しいなんて思ってないし。
息子が今、大変な時なの!
今、生きている赤ちゃん優先して何が悪いのよ!
夜泣きだってすごいのに。
抱っこしてあげたいの。
落ち着いて。と助産師さんに言われる。
とりあえずエコーしよっか。
ベットに寝かされて腹部エコー。
赤ちゃんが思いっきりお腹を蹴っていた。
両手を伸ばして万歳した。
こちらの気持ちも知らずに元気いっぱい。
ほら見て、元気、元気!
ママ、赤ちゃん元気!すごいね!
嬉しそうな夫に、猛烈な違和感。
今、この状況で、それ言える?
頭おかしいんじゃない?
ママ大丈夫?って戸惑う娘。
こっちの方がよっぽど人間味がある。
離婚したい。とまた思った。
無表情でエコーを受ける。
涙が溢れ過ぎて耳に流れ込む。
腹の子が動いてることの何が嬉しい。
今の私にはわからない。
こっちの先生は、母体保護のための中絶は勧めてこない。
16週まで入院していよう。と言われた。
あと2週間も?
食べられるし、前ほど酷くないのに。
個室へ移動。
帰ったら、動くでしょ?
睡眠不足もストレスもよくない。
何も考えずに、今を乗り切ることだけ考えて。
お母さんなら大丈夫!
2人も立派に育てているベテランママだから!
それ以上何も言わないで。
オーバーテーブルの上のコップを投げて叩き割ってしまった。
入院担当の助産師さんが黙った。
励ますつもりで言ったのだろうか。
頑張れとか、大丈夫とか、乗りきれとか。
他人事だから言える地雷ワード。
上の子可愛くない症候群に下の子発達障害疑いで、育児に悩んでいるのに、何も知らない人が2人産んだだけでベテラン呼ばわり。
普段なら聞き流せることが許せない。
夜勤の助産師さんの一人だけが
私も悪阻酷かったから…
辛いよねって一緒に泣いてくれた。
救われた気がした。
一夜明けて、冷静になって、自責の念だけが込み上げてきた。
ナース・ステーションの朝の申し送りでは、きっと、ヤバイ妊婦がきた。そう言われていることだろう。
3人目以上の子沢山ママをひとまとめにして、達人だとか、尊敬だとか、私もいつも言っていた。それだって、あまり変わらない。その人にしかわからないことだってあるのにね。
私も無意識に誰かを傷つけているのかもしれない。