こんにちは。今回ご紹介する論文はこちらです。
Hypertension treatment for patients receiving ibrutinib: a multicenter retrospective study
Laura Samples et al. https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2023011569
BTKiはCLLやマントル細胞リンパ腫などに使われる薬剤です。副作用として高血圧症が挙げられ、新規に高血圧症が出てきたり、もともとあった高血圧症が増悪したりします。
この論文は、BTKi内服中の高血圧症には何の薬が効くのかをレトロに解析したものです。
14の施設からリンパ腫に対してBTKi+降圧薬を3ヶ月以上内服している人をランダムにピックアップしました。
もともと高血圧があった人が118人、BTKi内服後に高血圧になった人が78人いました。海外の論文なので原病としてはCLLが圧倒的に多い結果でした。あとBTKiの中身はイブルチニブがほとんどでした。
平均血圧を最も下げる降圧薬が何かGEEsを使用して解析をすると
・Ca blockerのみでは全然降圧されない(むしろちょっと上がる)
・他の薬も単剤だとあまり降圧されない。複数種類使わないとダメ
・もともと高血圧があった人ではβブロッカー+サイアザイド系利尿薬が降圧される
・新規の高血圧症ではACEi or ARB+サイアザイド系利尿薬が降圧される
・それでも120/80mmHgの完全な正常血圧になる人は20%もいない
という結果でした。
まだレトロな試験なので確定とは言えませんが、BTKi内服中の高血圧には気をつけようと思いました。
BTKi内服後の新規で降圧薬を開始した時期の中央値はBTKi開始後1年後とのことなので、外来でのフォローが大事と言えましょう。
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おまけ画像。北九州市立美術館の画像です。
ときどき映画のロケ地として使われるだけあって、おしゃれな建物だなあと思います。
(小雨だったので写真としてはいまいちですね・・・お許しを)