こんにちは。今回ご紹介する論文はこちらです。
Azacitidine-venetoclax or induction chemotherapy for acute myeloid leukemia
A.T. Fathi et al.
NEJM. 2026 Sep 3;395(9):845-858. doi: 10.1056/NEJMoa2602804.
急性骨髄性白血病(AML)へは長年シタラビン+アントラサイクリン(IDA/Ara)による寛解導入療法が行われてきました。
一方、IDA/Araができない高齢者には近年アザシチジン+ベネトクラクス(AZA/V)が行われるようになってきました。これが案外成績が良いため、近年「若年AMLでもAZA/Vで良いのでは?」というムードが漂っていました。
この論文は、初発AMLに対して従来型寛解導入療法(IDA/AraかCPX-351)かAZA/Vかを1:1でランダムで振り分けた多施設オープンラベル前向き第2相試験の報告です。
方法:アメリカの9つの施設が参加し、従来型寛解導入療法可能な初発AMLを従来型寛解導入療法かAZA/Vか、1:1に振り分けて治療導入を行なった。CBF-AMLとFLT3変異とNPM1変異は除外した。プライマリエンドポイントは無イベント生存期間(EFS)とした(ここでのイベントとは、白血病の進行・再発・治療変更・死亡・ホスピス移行と定義する)。
結果:172人が参加し、86人対86人に分けられた。年齢中央値は64歳だった。72%がELN2022でのハイリスク症例だった。
フォローアップ中央値は21.9ヶ月で、EFSはAZA/V群で14.5ヶ月、従来型寛解導入療法で6.2ヶ月だった。何らかのイベントor死亡のHRは0.57だった。
grade3以上の感染がAZA/V群では28%、従来型寛解導入療法では41%だった。
grade3以上の出血がAZA/V群では2%、従来型寛解導入療法では12%だった。
一方で、全生存期間(OS)では有意差は得られなかった。
結果:この第2相試験では、従来の寛解導入可能症例に対しても、従来型寛解導入療法と比較してAZA/V療法で有意に長いEFSが得られた。
*****
AZA/Vはまあまあ感触が良いなと思っていたものの、まさかここまで良いとは・・・という結果で驚きです。
この研究ではAZA/V群の方が従来型寛解導入療法と比較して造血幹細胞移植にまで繋げられる症例が多かった(50例vs28例)というのが良いEFSにつながったのかもしれません(逆にいうと造血幹細胞移植まで持っていけた症例でないと良い生存率が得られていない)。
筆者らは「造血幹細胞移植ができるFIT群で、予後良好群ではなく、FLT3変異がない」患者でのAZA/Vの使用は支持できるだろうと締めています。第3相試験が行われるのかわかりませんが、移植を念頭に置いた症例において、「感染症を考慮して強化化学療法ではなくAZA/Vをブリッジングとして行う」ことは十分に許容できそうです。
*****
以下完全に私見になるので、流しで読んで欲しい記載です(てか読まないで良いです):
AZA/Vのデメリットとしては「移植をしない限りやめられない」というのがあります。一方で従来型寛解導入療法は「半年程度で治療が一区切りついて、移植を必要としない人が一定数いる」というメリットがあります。
今回の論文を踏まえると移植を目指す症例においては
予後不良・中間群→AZA/Vをしながら移植を目指す
予後良好群→従来型寛解導入療法
という流れに移行していくのでしょうか。
とはいえ実際問題、予後良好群かどうかそれほどすぐにはわかりません。結果が出るまで治療を待つか臨床での判断が求められます。
また、強力化学療法はできるけれども移植を目指さない群に対する治療というのも悩ましいところです(従来型寛解導入療法で逃げ切れる患者さんは逃げ切らせたい気持ちがある。あと、患者さん自身も移植をするかどうか踏ん切りがつかないときがある(特に予後中間群))。
今後の血液腫瘍ガイドラインにこの論文がどの程度反映されるのかを含め、世の中の動向を注視したいです。
*****
おまけ画像:みんな大好き鶏のオイル焼きです。














