こんにちは。院生Tです。

 

研究生活が長くなり、臨床のupdateが大変だなあと思う今日この頃。

不安に駆られ、twitterで「いろんな診療科の、ここ4-5年で大きく変わった臨床情報を教えてー」

募集したところ、沢山の方が「こんなupdateあります」と教えてくださったので、

それをまとめてみました。

 

一応大まかにチェックはしていますが、「教えていただいた情報」なので、

間違いがありましたらご了承ください(コメントいただけたら訂正します)。

 

太字/色文字は自分が印象深かったところにつけています。

 

【医療現場の環境変化】

・働き方改革で残業が厳しく規制された。

・新型コロナが流行った。

・やる気のない研修医が増えた。

・シーリングが凄すぎて、都内の眼科、皮膚科、麻酔科、泌尿器科、精神科は大学病院に入ることすら困難になった。

一方内科は減りすぎてフリーパスで大学病院入局可

 

【血液内科領域】

・FLのR2(R squair)(名前がかっちょいい)

・ PCNSLに対するチオテパ復活

・ブリナツモマブの登場。

・aHUSの治療に対するラブリズマブ。

・補体関連遺伝子の検査ができるようになった(かずさ遺伝子研究室)。

・ダラザレックスの皮下注(ダラキューロ)が登場した。

・モゾビルの登場(自己の造血幹細胞採取が楽になった)

・AMLに対するFLT3阻害薬とBCL2阻害薬。 

・移植のときのCMV予防薬(レテルモビル)。

・再発難治DLBCLに対する抗CD79b抗体薬物複合体(ポラツズマブ・ベドチン)。 

・CAR-T。

 

【膠原病領域】

・関節リウマチや皮膚科領域にJAKファミリー阻害剤が使用されるようになった(アトピーも!)。

・SLEに生物学的製剤が適応になった 。

・強皮症にリツキシマブ

 

【消化器領域】

・急性膵炎ガイドライン改定(2021)

(蘇生輸液は行うが、volume statusをみて・蛋白分解酵素阻害薬❌広域抗菌薬❌抗潰瘍薬❌・早期経腸栄養)

・DAAの登場でC型肝炎がなおる時代になった。

・ピロリ陰性の胃底線型胃がんへの注目。

 

【精神科領域】

・アルコール依存の治療が「絶対断酒!」から「節酒もありかも」になり、飲酒量低減薬のセリンクロが使えるようになった。(注:自分が断酒しないといけないのか節酒もありなのかは、自己判断せずに主治医に相談してくださいね)

・眠剤にはデエビゴって言う依存性の少ない薬が。

 

【小児科領域】

・ロタワクチンが定期接種となり公費になった。

・インフルエンザ治療薬、10代のタミフルが解禁に。ゾフルーザは一瞬で消えた。 

・川崎病、重症度によってはステロイド併用が1stラインに。 

・卵、乳、ピーナッツ離乳食導入。食物アレルギー予防のためより早期、少量ずつから始めることに。 

・アスペルガー症候群が病名からなくなった。

・SMAの新生児スクリーニングが実はじわじわ進んでいる。

 

【固形がん領域】

・チェックポイント阻害薬・分子標的薬の登場とその広がり。追いつくのが大変!

・肺がんと悪性胸膜中皮腫のレジメン

・肝細胞癌の薬物療法が増えた。

・悪液質への内服薬(グレリン様作用薬)の登場。

 

【循環器・腎臓・糖尿病領域】

SGLT2iが心不全と腎不全のくすりになった。副作用のeuglycemic DKA(正常血糖糖尿病性ケトアシドーシス)に注意。

・1年以上安定している虚血性心疾患合併心房細動はOAC単剤投与が標準治療になった。(血栓高リスクを有する場合は除きく

 ・弁置換術をされた方の心房細動は今までは全て弁膜症性心房細動と定義されていたのが生体弁の場合は非弁膜症性心房細動と定義されるようになった(DOACが使用可能)

・ARNIの登場。

・CKDや透析患者の腎性貧血に対する経口薬の登場。

・持続血糖モニターの進歩。インスリンポンプの進歩。

・GLP-1製剤が増えて、インスリンとの合剤や経口薬ができた。

 

【呼吸器】

「エナジア」とかいうICS/LAMA/LABAのトリプル吸入ができた。

 

【麻酔科領域】

・レミマゾラムの登場。

 

【神経領域】

・偏頭痛の予防注射薬が登場した。

・経皮経管的脳血栓回収用機器が広がった。

・脊髄性筋萎縮症SMAの治療薬。

脳梗塞治療適応のGLの大きな変化。(2018改訂:最終健常確認24時間以内であれば血管内治療の適応になり得る。 2019改訂:発症時刻不明(起床時発見等)も発見4.5時間以内はtPAの適応になり得る。早ければ早いほど治療効果が良いのは変わらない)

・デュシェンヌ型筋ジストロフィーにも核酸医薬が出た。

・偏頭痛の予防注射薬の登場。

 

【皮膚科領域】

アトピー性皮膚炎に対して初の生物学的製剤(デュピルマブ)が出た。

 

【放射線科領域】

・MRIとかCTにdeep learningリコンが取り入れられて画像が綺麗になった。

・PAD用のELUVIAの登場・azur softとi-EDコイルの登場・fontan後のPLEに対するリンパ塞栓・コスモテックのSVC用ステント(注:この辺は専門的すぎて筆者はわかりません。なんか新しくてすごいんだな、というのだけ理解しています)

 

【感染症領域】

・日本版敗血症診療ガイドライン https://jsicm.org/news/news210225.html

・qSOFAは単一のスクリーニング指標としては少し弱いので、他のと組み合わせる。

・予防接種の間隔制限が大幅に緩和された。

・ポサコナゾールの登場。

 

【耳鼻科領域】

・聴覚情報処理障害(APD)は、2022年いよいよ疾患概念として扱うべきか俎上にあがってきた。

・耳鳴やめまいを伴う非定型片頭痛という概念はが頭痛学会の新ガイドラインから抹消された。蝸牛神経減少症やオーディトリーニューロパシーを聴覚神経障害スペクトラム障害(ANSD)という概念で理解するようにかわった(ICDー11)。

・体性耳鳴という概念の登場。

・IgA腎症について、 ① 30%がHDへ移行する。 ② 腎移植しても扁摘していないと移植腎がIgA腎症になる ③ 扁摘後のレストがIgA腎症を遷延化させる 扁摘の成否はIgA腎症患者のQOLや生命の予後に大きく影響する。

 

【整形外科領域】

・MPSという概念が広まった。

 

【血管外科領域】

人工血管内シャントの人工血管静脈側吻合部にステントを保険で入れられるようになった。

 

【その他】

・鉄欠乏性貧血にはフェインジェクトって言う3回で終わる製剤が。 

高Kにロケルマ。

・非がん疾患のエンドオブライフ・ケア(EOLC)に関するガイドラインが出た

・ベルソムラは分包や粉砕難しいから気をつける。

・筋肉痛が残っているうちは次の筋トレをしない。

マッキントッシュ型喉頭鏡は骨董鏡となっている

・生え際がやや後退し始める人が増えた(まあ4-5年経てばね)

・死亡診断書で記名押印によるものは認められなくなり、必ず医師が署名をすることになった。

・「DIC治療=ガベキサート・FOY」と思っていたが、いつの間にか「AT3製剤・トロンボモジュリン製剤」に取って代わられ、そのAT3・トロンボモジュリンも「エビデンスなし」的なポジションになった。

 

【参考図書】

・内科学会雑誌がよくまとまっているからおすすめ。

・医中誌がリニューアルされた。

・pubmedがリニューアルされた。

・以下の本おすすめ。

 
以上、教えていただいた情報まとめでした!
「最近研究ばかりで臨床アップデートどこからすればわからないなあ」
「他科の話題もなんとなく知っておきたいなあ」
という気持ちのとき、勉強のとっかかりにお使いください!