- Write The Story-

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私は軽く手を振って水分を飛ばして、西島聖磨に背を向けた。西島聖磨は手も口も出さない。それを良いことに、私は教室方面に歩き出した。後に続く足音は一切聞こえない。それは、次の授業が迫っていることと、西島聖磨が立ち尽くしていることを示していた。
教室に足を踏み入れると、やけに視線を浴びているような気がした。それも鋭い眼光。この毒の効いたのは女子生徒に決まっている。
席に着くと、エナメル質の筆箱に反射した太陽光が私の視界を奪った。眩しい。それに暑い。窓が空いてないので、風は通らず鋭い日光だけが私に照りつける。カーテンを閉めてもらおうと、後ろを振り返るが、どうやら頼み込める様子ではない。妬みの視線を私にぶつけていたのだ。私は仕方なく、自分でカーテンを閉めた。ベージュ色の布がゆらゆらと揺れる。こうして見ると、何故布なのだろうか。風で舞い上がり、役に立たない場合もあるというのに。一層、ブラインドのように窓に固定できるようなものにすればいいのに。
そんなことを頬杖をつきながら考えていると、机の右端から何かが差し出された。見てみると、ノートの切れ端と一枚の絆創膏だった。顔を上げると、衝突したときと同じく戸惑った表情をした西島聖磨が自席に座っていた。そして私と目が合うと慌てて逸らす。
私はノートの切れ端を手にとった。どうやら、メモのようだ。

『俺のせいだったんだね。ごめん。保健室で絆創膏貰ってきたから、使って。お大事に』

とメモの中心に小さくシャーペンで書いたメッセージがあった。
まるで他人事だ。特に『お大事に』は、やっつけたのが丸見えである。怪我したんだね、可哀想に。といっているようにしか思えない。だからといって、重傷を負ったかの如く、手厚く看病されるのも鬱陶しい。嗚呼、なんて面倒なんだ。自分が、西島聖磨が。
と思いつつ、処置しないわけにはいけないので、添えられていた絆創膏を右掌に貼った。
……小さい。納まりきらなかった傷の部分が、絆創膏から少し顔を覗かせていた。