高校の卓球部の新歓イベントに参加したくないS01-15のつづき。

朝の9時から凸凹高校の卓球大会を見学し、ダブルヘッダーで築地に来ていたオレは、ちょっと眠くなってきた。

NT先輩の父親の介護の話しは続く。

NT先輩「うちの兄貴は大人しくてさ、あんまり自分から動かないんだよ。」

NT先輩「親父の介護のことも、全部俺任せで、俺がほとんど面倒を見てた。」

NT先輩「親父は施設になじめず、施設内で引きこもりのような状態で生活していたらしい。」

NT先輩「施設を移すことも考えたけど、余計に金がかかるし、なかなか踏ん切りがつかなくてさ。」

NT先輩「親父は結局その施設で10年間、生活したんだ。」

NT先輩「そんで、『家に帰りたい。家に帰りたい。』と言いつつ◯んでしまった。」

NT先輩「親父の葬式が終わってからかなり後悔したし、今でもずっと後悔している。」

NT先輩「あのとき本当に別な選択肢はなかったのだろうか?と。」

NT先輩「親父の最後の時間を、もっと別なものにできなかったのか?と。」

M子もオレも言葉を発することができず、黙ってしまった。





16時に待ち合わせをして、このとき18時20分だった。

NT先輩「ごめん、ここんところ嫁さんの体調が悪くてさ、代わりに娘に晩飯を食わせなきゃいけないから帰るよ。」

オレとM子が財布を出すと、

NT先輩が「ドリンクバーごときで申し訳ないんだけど、ここは俺に払わせてくれる?」と言った。

オレとM子「ご馳走様です。なんかつらい記憶を思い出させてしまい申し訳ありません。」

18時30分、オレたち3名は新富町の駅で解散した。

こうして卓球イベントは全プログラムを終えた。