高校の卓球部の新歓イベントに参加したくないS01-03のつづき。

オレが高校1年だった年、入部して3ヶ月、1年生は卓球をやらせてもらえず素振りと球拾いの日々だった。

(現代では考えられないブラックな部活だった。)

オレは毎日のようにNT先輩に怒られていた。

しかし先輩の中で妙にフレンドリーで爽やかなSMという先輩がいた。

球拾い中に先輩のプレーを見ているのだが、SM先輩は見たことのない変な打ち方をしていた。

全く攻撃せず、ひたすらテニスのスライスのような打ち方をして、相手がミスるまでラリーを続けていた。

SM先輩の戦型が「カット主戦型」だと後日知った。

SM先輩のカット打ちはとても美しかった。

北斗の拳のレイの南斗水鳥拳のような動きで玉を打つ。

後に松本大洋のピンポンという漫画が発表され実写映画化されるのだが、SM先輩のカットは井浦新が演じるスマイルが打つカットのように美しかった。

バスケ部員にとってスラムダンクが聖典であるように、卓球部員にとって松本大洋のピンポンはバイブルだ。

 

湘北高校も片瀬高校も江ノ電沿線の高校だし。

タモリが「根暗なスポーツ」と揶揄していた卓球だったが、オレはSM先輩のカット打ちを見て「かっこいい」と思った。

そして高校一年の6月、「戦型」決めがあった。

つづく。