床屋難民6の続き。

駅から10分くらい歩いたところで、ペンシル・ビルの1階の1区画に、四畳半ほどのスペースで開業しているカット専門店を見つけた。

店の入口の前にチケットの券売機が置いてあった。

前払い制で、チケットの券売機が店の中に置いてある店はよくあるが、店の外に置いてある店は初めてだった。

1100円を入れてチケットを買い、恐る恐る店に入った。

客は誰もいなかった。

さらに理容師もいなかった。

さっそく前払いでチケットを買ってしまったことを後悔した。

「いらっしゃいあせー」

カーテンの奥から30歳くらいの理容師の女性が出てきた。

茶髪のロングヘアーを無造作にゴムで縛っていた。

茶髪のてっぺんから黒髪が伸びてきていて、プリンになっていた。

眼光鋭く完全にヤンキーのお姉さんだった。

ヤンキー姉さん「今日どーします?」

オレ「横と後ろ2cmくらい、前髪は眉下で、軽くしてください・・・」

ヤンキー姉さん「かしこまりましたー」

チョキ、チョキ、・・・

手際よく、やたら早い。

8分くらいで刈り終わってしまった。

ヤンキー姉さん「こんな感じでどーすかね?」

オレ「は、ハイ、OKです!」

怖くて細かい注文などできなかった。

帰ってから鏡を見てみると、早いがきちんとカットしてあって、ほぼ想定通りの仕上がりだった。

つづく。