モーツァルト生涯最後の作品にして 自らの死によって その創作に永遠のピリオドを打たざるを得なくなった不朽の名作 レクイエム”(鎮魂ミサ曲)。私は今ブログで何度となく この作品を取り上げて来たが その度毎に その崇高な響きと 天上の美しさを噛み締め 感動を重ねるに至っている。今回は故 サー”コリン・ディビスの指揮によるドレスデン国立歌劇場での儀式典礼に基づく演奏で、これも又大変優れた 名演中の名演である。儀式であるから演奏前後の拍手など一切ない。心の深部に染み入る祈り、神の加護と永遠の安らぎを希求する純真なる【祈りの時】モーツァルトの美質と信仰心が融合した まさに この世の中ものとは思えぬ程の芸術的到達。そして何よりも死を前にしたモーツァルトの心の開放。音楽芸術の精神、全ての帰着点がひとえに この作品の中にある。今更ながら この演奏はそれを 改めて知らしめるに充分な最高峰の体現である。
(ルチアーナ筆。)
★ 周知の通りこの作品はラクリモーサの8小節目で絶筆となっているが 未完の部分はジュスマイヤー等々の補筆によりまとめられ 今日の演奏体系を構築している。