(ルチアーナ筆。)
メンデルスゾーンの書いた作品の中において最も優美な佇まいと真に切なくも爽やかな風状心情を描き切った この名作ヴァイオリン協奏曲E-mollは まさに人類の芸術遺産そのもの…っと同時に常に生き続ける永遠の息吹を持つ 流麗なる美の真実を物語る至宝でもある。とかく 理屈を振り回して芸術論の渦中に この曲を持ち込むのは【粋】ではない。何しろ掛け値なく美しいのであるから 素直に聴き入れば良いのである。ヴァイオリン協奏曲は第二楽章に特に耳を澄まして聴き入るべし!。チャイコフスキーもブラームスもベートーヴェンも そしてこのメンデルスゾーンも然り、まるで【歌声の如く】である。洗練された繊細この上ないメロディーライン。自然で素朴なフレージング。計算されていると言うより寧ろナチュラルで淀みのない流れのみが存在する。N響をバックに弾く 諏訪内晶子のソロ・ヴァイオリンはいつもながら極めて大胆、スケールが大きい。メンデルスゾーンにしては些かゴージャスに過ぎるきらいはあるが 何せ余裕十分、聴き手を【グッ】と引き付ける術においては 十分過ぎるほど十分だ!。こう言う演奏を眼前にすると 聴き手も 付いぞ 真剣に聴く姿勢になるから、不思議だ。まぁ〜 とにもかくにも 楽しんでお聴き願いたい。