私が最も敬愛してやまないドイツ・ロマン派後期の偉大な作曲家 ヨハネス・ブラームス。彼の残した唯一のヴァイオリン協奏曲は数あるこの種の作品の中においても特筆すべき名曲である。ベートーヴェン、メンデルスゾーンの作品と並び世に三大ヴァイオリン協奏曲と言わしめる今作品は熟考を重ねに重ねブラームスが世に問うた不朽の名作であると同時に演奏者に取っては優れた技量と卓越した音楽性をも求められる中々の難曲でもあるのだ。しかし この難曲をいとも軽々、だがしかし 深い洞察力と音楽性 確かなテクニックで演奏してのける 今や世界屈指の共にヴァイオリニストの姉弟がいる。姉の五嶋みどり 弟の龍である。勿論 日本人だ。共に幼少より母 五嶋せつ さんから厳しくヴァイオリンの手ほどきを受け才能は瞬く間に開花 その後は長くニューヨークを拠点に米国で教育をうけ、国際的名作を高めて行った事は知る人ぞ知るところである。お姉さんのみどりは既に巨匠の域に達する程の経歴・実績と世界的に絶大な評価を得ている事は言うに及ばずだし 弟の龍はTV朝日の【題名のない音楽会】のMCを務めたりCMに登場したりと昨今 広範囲にその活動の場を広げている。だが何んと言ってもこの姉弟は やはり ひとたび その手にヴァイオリンを構えた瞬間から 共々 天才ヴァイオリニストとしての絶大なオーラを放ち その圧倒的存在感を醸し出す。ここに提示した演奏はズビン・メータとウラジミール・アシュケナージと言う名匠のサポートを得て繰り広げられた姉弟の同曲の演奏である。《龍の方は第三楽章のみ》ブラームスが心血を注いで作り上げた名曲をこの【天才姉弟”】が どう さばくか!。とくと その才能の素晴らしさをご堪能願いたい。
(ルチアーナ筆。)
ブラームス作曲
ヴァイオリン協奏曲 D-dur 全曲。
《ヴァイオリン 五嶋みどり》
《ヴァイオリン 五嶋みどり》
同曲。第三楽章 のみ。
《ヴァイオリン 五嶋龍》