NHK音楽祭、最終オンエア22日のクラシック音楽館はhr交響楽団「旧フランクフルト放送交響楽団」の公演。ヴァイオリンのソロにかつて【神童くん】の愛称で呼ばれ多年、民放の追跡ドキュメンタリー番組でその成長ぶりを放映された青年ヴァイオリニスト五嶋龍を迎え実に魅力的なプログラムで我々に清々しい感動を与えてくれた。NHK音楽祭の締めくくりとして、これ程までに新鮮で活気に溢れた公演に巡り会った事は昨今そうそう記憶にない。躍動感と言おうかピンと背筋の伸びた若々しさと快活な息吹、相対的に言ってそこに展開されたサウンドには血潮に満ちた生気がみなぎっている。五嶋龍はご承知の通り、これも又国際的に活躍するヴァイオリニスト五嶋みどりを姉に持ち、姉弟揃って今や世界各地で絶賛を浴びる共に天才的な演奏家となった。又、五嶋龍は民放で唯一と言えるクラシック音楽の啓発番組【題名のない音楽会】の確か5代目の司会者に就任して番組史上最年少のリードマンとして話題にもなっている。今日演奏されたチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトは言わずと知れたこのジャンルにおける名作中の名作であり、その比類なき美しさにおいてロシア音楽の最高峰に位置する孤高の名花である。パワーと柔軟性更には極限にまで高められたフレージングの妙、的確で清らかな美質に長けた五嶋龍のヴァイオリンソロは若さと自信にみなぎる余裕すら感じさせる見事なものだ。特に第二楽章の憂いに満ちたしかも透明この上ない極上の旋律美は感嘆の極みであった。オーケストラとの絶妙な調和は余裕たっぷり…!音楽の構成力は元より最早、彼はもうその技量からして若手のホープなどと言う域を今や遥かに超えた存在となった様に思える。共演のhr交響楽団も伝統的ドイツ音楽の主流として長きに渡りその重厚なサウンドを堅持して来ているが本日、後半のプログラム、マーラーの交響曲第一番「巨人」で見せた躍動感は近年新たに培った新時代へのサウンドイメージの発展的変貌の片鱗を垣間見せた大変興味深い演奏であった。指揮はアンドレス・オロスコ・エストラーダ。この新進気鋭のコンダクターは実に情熱的だ。音楽に付いてこれ程真摯に向き合いオーケストラとの信頼関係も強固である事がサウンドのみならずモニターの一挙手一投足からも明確に伝わって来る事も珍しい。音楽的に実直な証だろう。何れにしても今日のオンエアは鮮烈な迄の輝きに【絶え間無き美質。】をたたえた次世代を担うマエストロと言っても過言なき二人の音楽家の絶大な可能性を大いに認識させてもらえるに充分な内容を呈していた事これに尽きるものだった。さて今年のNHK音楽祭もこれにて終了。毎年テーマの異なる思考を凝らし開催されているこの音楽祭。来年も又、世界に名だたる内容を誇るイベントを繰り広げてもらいたいものだ。今から新たな期待を込めてその時を待ちたいと思う次第だ。
(ルチアーナ筆。)
★デジタル伝送技術が
今日これだけ進化発展を
遂げているにも関わらず
今だ地上波におけるTV音質の
悪さは頭を抱えたくなる程の
酷さだ。
(ACC・STEREOも同様)
何故画質に比して
これ程音の方は質が
落ちるのか…?。
唖然とする事仕切りだ。
質の高い演奏を
それに見合うだけの高音質で
聴ける伝送システムの
構築はやはり今、
喫緊急務ではなかろうか。
今日も素晴らしい演奏を
それなりの音へと導くのに
四苦八苦した。手前味噌で
恐縮だか私ぐらいの
ハイエンド・コンポーネントを
有していないと本質的な
演奏の質感を
味わう事はかなり難しいと
言わざるを得ない。現状では
音が悪くても
演奏のクォリティを
しっかり受けとめられる
だけの鑑賞能力を聴き手が
持ち合わせていなくてはTVの
オンエアでの音楽論評は
成り立たない。
TVは今や4kから8kに至る
高画質化の道を
ひた走る状況。
しかしそれに
音質は付いて
いけているのか?
極めて疑問だ。
NHKも又、他メーカー各社も
ハード面ソフト面
あらゆる角度から
塾考を望みたい。
今最も真面目に取り組むべき
課題。それは音質の
抜本的改善だと私は
考えるのだが…!
さて如何に…?!。