愛のセレナーデ”14。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

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40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
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何かを決断し凛とした表情に一瞬の内に変貌したかの様な面持ちを見せたサヤの引き締まった様相は、相変わらず美しく映えやかに私の眼前に浮き立つ様に佇んでいます。そして恭基くんの腕から静かに解放されて…。サヤ「そうよ!考えてみればさ、私ほど幸せな女の子なんて、そうはいないわよね!」恭基「え~、女の子ってもうそんな歳じゃ…」サヤ「もう~やっ君、うるさい!」恭基「… …!」サヤ「だって今の私がこうして毎日幸せでいられるのは、そばにマーママがいてくれて、村田のおじちゃん、おばちゃんがいてくれて、え~と!あと、やっ君もいてくれる(笑)からでしょう。だから何があってもその事さえ私が自覚していれば、何も変わりはしないんだって、そんな風に思える人生を送れるなんて、そうそう無いと思うもの。だものそこにもう一人誰かが加わったって、影響なんて無いって…。だけどね、今の私に取ってマーママは唯一人のお母さんだし、その考え方を超えて、本当のお母さんの恵子さんを受け入れる事は正直今迄は出来なかったの。でもこの手紙を読んだ今はね!私の心の別の場所に本当のお母さんを置いてあげても良いかなって思ったの。それはね、恵子さんのたどって来た人生が有ってこそ、そこから私の人生も始まって、それはそれは素敵な出会いにつながったんだもの。恵子さんが私を産んでくれなければ市澤の娘になる事も無かったし、歌い手にもなっていなかった筈!…ね。だから私はやっぱり金城恵子と言う人を、私を産んでくれた本当のお母さんを受け入れなくちゃいけないのよ!ねぇ~マーママそうよね!」私は晴れやかに切々と自らの意思を確かめるかの様に話すサヤの表情に大きな安堵感を抱くのを覚えました。私(まゆ美)「そうね。マーママもそう思うわよ。いつもサヤちゃんがマーママに優しくしてくれるのと全く同じでなくても良いから、離れていても常に貴女の事を心から気遣い愛情を忘れずに持ち続けてくれた本当のお母さんにこれからはできる限り優しくしておあげなさい。マーママもそうあって欲しいと思うわよ!」サヤは明けて、早々に静心園を会して恵子さんと面会すると言います。しかしこの時点で既に恵子さんの病状は私達の想像を遥かに超えて重篤な状況を呈していたのです。それは私自身の病状の比では無いほど深刻である事を私達親子は後になって知る事になるのでした。サヤ「マーママ!月曜日のCDのリリースに関する最終会議って何時からだったっけ?」私(まゆ美)「夕方から…NoonMooonの二人がツアーから戻って、その足で直接ここへ来るのでそれからね。きっとお夕食を取りながら…っと言う事になるわね!」サヤ「分かった!じゃ~私、その日の午前中から静心園に行って恵子さんの事、詳しく聞いてくるから…!夕方4時ぐらい迄には戻るから…。」私(まゆ美)「分かったわ。とにかく出来るだけ詳しくお聞きしていらっしゃい!」サヤ「うん!そうする。」恭基「僕も一緒に行きますので…!」私(まゆ美)「ありがとう!宜しくお願いね。」恙無く全てが進み今日も又、黄昏時を迎えています。そして私は尚も入院を前にやるべき事を済ませなくてはなりません。これから星野教授のご自宅へお電話を入れます。そう!寺脇拓海くんの事です。この類稀な才能の事を…!今や片時もゆめゆめ忘れる事はありません。(続く。)ルチアーナ作