宗教音楽の魅力”。 | ルチアーナの音楽時評・アラカルト。

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40年以上に及ぶ音楽家としての筆者の活動と
その経験から得た感動や自らの価値観に基づき
広く芸術、エンターテイメント等に独自の論評を
加えて参ります。現在小説 愛のセレナーデと、
クロス小説 ミューズの声を随時掲載中です。
こちらもご覧頂ければ幸いです。

プーランクのグロリア及び
ベルリオーズのテ・デウム。
本日のNHK”Eテレ・クラシック
音楽館のプログラムである。
共にフランス音楽史上に輝く偉大な
コンポーザーであるこの二人の
大家の壮大な宗教音楽を
二時間ほどに渡り聴いた。
これらはあまり日本では
なじみの無い作品だが、
流石に指揮がシャルル・デュトワ
だけあって、非常にまとまりの良い
端正で格調の高い演奏であった。
それにN響も良くデュトワの
音楽的意図を受け止め勇大な
宗教音楽絵巻を描き切っていた。
我々は信仰心の延長線上で
決してこれらの作品を
聴いている訳ではないのだが、
今の様な世情不安定な時、
厚い信仰心に裏打ちされた
神への讃歌をこの様な極上の
音楽に彩られて聴くと、
やはり心洗われる想いを
深くする事が出来るのだ。
こんな時とりもなおさず、
我々は音楽の力がいかに絶大で
あるかを改めて思い知らされる。
クラシック音楽が持つ普遍性、
芸術が我々に分け与えてくれる
喜び、感動。これほどの
絶対的価値を有するものが
他にあろうか?。
宗教音楽も勿論含め我々音楽家は
まさにこの普遍的価値を
何物も付け加えず、何物も差し引かず
そのままの形で伝え切る義務を
有する。
クラシックの大衆化を図るなどと
大層な理屈をこねて、
わざとらしく下品に振舞ってまで
こうした人類の遺産とも言える
クラシックの名曲を取り上げて
くれなくても結構だ。
良いものは良いのである。そのまま
伝えればそれで事足りる。
TCなる自称女流ヴァイオリニスト
などには、どれだけ言っても
分かるまいが…。
(ルチアーナ筆。)