全米最大の音楽イベントであり
最高の権威を誇る
今年度グラミー賞の
クラシック・コンペディアム賞に
日本が生んだ今や世界的
ヴァイオリニスト、五嶋みどりが
選出された。かつての天才少女も
現在では既に巨匠的風格を
身に付けたヴァイオリンの
大家に成長を遂げ、そうは言っても
まだまだ若い彼女の今後の益々
充実した世界的活躍に
大きな期待を抱かせる誠に
嬉しく、昨今久しぶりの
明るいニュースである。
彼女のヴァイオリンは実に
流麗だ。しかもそれでいて
尚且つ、その音は力感に満ちた
強固なまでの一貫した
音楽的主張で組み立てられ
聴く者はそれに強引なまでに
引き寄せられる。しかしそれは
我々に取って極上の空間へ
誘われる瞬間でもある。
芸術への実直な愛と誠実な姿勢
そのあり様は音楽芸術の
理想を体現した典型でもある。
数年前、彼女が
ベルリン・フィルの定期公演で
ソリストを務めた際、弾いた
チャイコフスキーの
ヴァイオリン協奏曲の名演は
中継画像のそれであっても尚、
私の心に充分過ぎる程の感動を
与えてくれた。
実の弟、五嶋龍共々、姉弟揃って
世界をまたにかけて活躍する
ヴァイオリニストである事も
特筆ものだが又、この二人は
醸し出す音楽の色合いが互いに
当然違っていて、単に聴く方の
好みの話と言う枠を超えて
大変興味深い。
クラシック音楽の王道を
脇目も振らずに突き進み、
その誠実さ故に高い評価を
受ける。当たり前と言えばその
通りだが、それは
才能と言わずもがな、日々の
大いなる修練に寄って
導き出された努力の賜物で
ある事は疑い様もない。
我が国音楽界の至宝、
五嶋みどり。素晴らしき存在で
あり誇りだ。それでは
これから暫しレッスン生が来講
するまでの間、五嶋みどりの
ヴァイオリンに耳を傾ける事に
しよう。手元の
CDからブルッフ、シベリウスの
コンチェルトをチョイス。
XRT22もスタンバイOK、では
彼女のグァルネリが放つ
極上の美音に身を委ねよう。
さあ~スタートだ!。
(ルチアーナ筆。)