またもや、同じ事を言う。「無形のものは高い。」のだと!。売価、最低で数十万、上は一千万を遥かに超える価格帯、これ皆、オーディオ機器の標示価格である。東京国際フォーラムを会場に行われた今年のインターナショナル・オーディオショー2013”。開催二日目の3日、例年通り会場に出向いた。毎年ながら繰り広げられる整然とした佇まいの中、各ブースでは諸々の内外有力メーカーが自信を持って世にその真価を問う優れたオーディオ機器が数多展示され、その中心を成す製品の連続視聴が行われている。そんな中私は久しぶりにあるメーカーのスピーカーシステムに注目をした。1926年創業イギリスの名門ブランド【タンノイ】の製品群だ。国内ハイエンドのこれも又、名門エソテリックのブースで最新CDプレーヤーの構造解説を受けていた際、私は背後から聴こえ出した豊かな音像に満ちたその音に一瞬にして心動かされた。そうだエソテリックはタンノイの我が国における輸入総代理店でもあるのだ。正にそこには今、タンノイ・カンタベリーGRがツインでセッティングされこの上ない再生音を奏でている。実際には私がスピーカーに背を向けて関係者と話していたのでスピーカーの方が正面に据えられていた事になるのだが、いずれにしても伝統的なディアルコンセントリック複合ドライバーを美しくも強固なエンクロージャーにフィティングさせた従来の設計コンセプトには何らの変更もないのだがそこに描き出されるその再生音は今までのそれとは明らかに一線を画す明確な音像感、分離定位と空間へのステレオフォニックなアプローチを見事に呈する正に今アーティストが現にそこに存在して演奏しているかの様な確実なリアリティーに富んだ音楽の世界が展開されていたのだった。タンノイが元々良い音なのは百も承知であるが今回リニューアルされたプレステージ&ゴールドリファレンス両シリーズのスピーカー群はそうした我々が抱いていたタンノイ製品のイメージを一変させ、同時にそこに新たな時代のサウンド構築の可能性を大きく広げるきっかけになるに違いない新たな世界が、方向性が示されていた。感動的ですらあるこの孤高のリアルサウンド…。是非多くの人々に聴いて頂きたいものだ。「無形のものは高い。」繰り返すが事実である。カンタベリーGRの価格は一台¥1450000。ステレオなのだから当然これに×2でなくては成り立たない。しかしこれはハイエンドにおいては極めてリーズナブルな範囲の価格である。価格対満足度この評価に厳密に当てはめれば私はこと製品は「買い」であると思う。今イベントにはいっぺんには書ききれぬ程、多くの製品が名を連ねている。高度な趣味、古い言葉で言えば道楽の極みではあろう。しかし人が人として生きて行く時、必ずや不可欠な心の潤い美意識。無形の価値。ハイエンド・オーディオの世界はそれを満たしうる絶対的価値の王道であると私は確信している。「本物を眼にし耳にしよう。」これが私の人生哲学だ…。
(ルチアーナ筆。)
☆インターナショナル・オーディオショー2013”は本日迄開催される。
最終日の今日は17:00まで、まだ間に合う。是非お出かけあれ。
【東京国際フォーラムにて。】