オペラの主役、何と言っても
タイトルロールのヒロインと
相手役には、まぁ~ほぼ
ソプラノとテノールがその任を
担うのが九分九厘、
相場と言う所がこの世界の常か!。
いや、そうとも言えない。
「カルメン」はメゾ・ソプラノ
「サムソンとデリラ」だって
デリラは同じくメゾだ…。問題は
男声だ。先述のカルメンもデリラも
相手役はテノールなのだ。
では男声、バリトンやバスは
どうなる訳、心配には及ばない。
バリトン&バスがいなければ
オペラは到底成り立たない。
近代オペラ史をざっと紐解いても
名だたる低声唱者は数知れず…。
幾多の名唱を我々の脳裏に刻んで
くれている。
若くして没した名バリトン、エットレ・バスティアニーニ。NHK招聘のイタリア歌劇団の一員として来日、
「トロヴァトーレ」のルーナ伯爵で
世紀の名唱を繰り広げた。アルド・プロッティ。マリオ・デル・モナコと共演した「パリアッチ」でのトニオ。「リゴレット」のタイトルロール。極め付けの演技と歌だった。他にもご存知、テッド・ゴッビ。セスト・ブルスカンティーニ。
ピエロ・カプッチッリ。ニコラ・ロッシレメーニ。ニコライ・ギャウロフ他。現役ではレオ・ヌッチ。ルネ・パーペ。数え上げれば限りがない。しかしこうした男声低声唱者は一様に深々とした潤いと美声を兼ね備えオペラの世界の生命力、演劇としての奥行きを大きく広げてくれる
計り知れないパワーを兼ね備えている。オペラの持つ総合芸術としての
佇まいはまさに、読んで時の如く
全ての声域を駆使して形成される
統合力の象徴だ。この中で彼ら低声唱者の位置は必要不可欠、絶対にして盤石だ。
オペラは演劇であるが人の声の競演でもある。全ての声域にスペシャリストがいる。それを踏まえ、
その美の世界へと身を委ねて頂きたい。そこには必ず芸術によってもたらされる至福の時間、空間が存在する。きらびやかな歌声で人々を
魅了するソプラノ&テノール。
人の持つ苦悩や悲哀、又激しい情熱などの表現に長けたメゾ・ソプラノ&アルト。雄大で大らか悲喜交々、変幻自在に人物像を形成する深源の声域バリトン&バス。
オペラを見れば音楽の根源とは
何かがくっきりと浮かび上がり
それを享受出来る筈だ。
「声はテノールだけにあらず!」
これこそクラシックの素晴らしさ!
オペラの魅力。ベルカントの極みである。是非是非オペラをご覧あれ!
(ルチアーナ筆。)
★バリトン&バスが特に
重要な役割を持つオペラ作品。
歌劇「リゴレット」ヴェルディ。
歌劇「シモン・ボッカネグラ」同上。
歌劇「ドン・カルロ」同上。
歌劇「セヴィリアの理髪師」ロッシーニ。
歌劇「アンドレア・シェニエ」U・ジョルダーノ。
歌劇「ファウスト」グノー。
歌劇「フィガロの結婚」モーツァルト。
歌劇「ドン・ジョヴァンニ」同上。
歌劇「トスカ」プッチーニ。
先ずはこんな所からご鑑賞頂いては如何だろう。