こんにちは。下西です。
このごろブログをサボっている私ですが、時間の合間をぬってミニトリップへ。旅しなくっちゃ、気持ちが凹んでしまいます。ね!

7月三連休は仕事をして翌週は北関東、栃木県へ。
国指定重要無形民俗文化財に栃木県第1号に指定されている「山あげ祭」を知ったのは、5月に鉄補給がしたくてJR烏山線で那須烏山市へ行ったのがきっかけです。

栃木県のローカル線 JR烏山線沿いは隠れた山里

北関東のこの季節、猛暑の天気予報どおり半端ではない暑さの中、熱い熱い祭り「山あげ祭」を体感してきました。

JR烏山線
宇都宮駅から蓄電池駆動電車「アキュム」で烏山駅へ向かいます。お祭り目当ての人でいっぱに。どこかウキウキした空気が車内を満たしています。

駅から徒歩約10分、奉納余興が行われる山あげ会館へ向かうと、テンポのいいお囃子が遠くからも聞こえてきます。いやおうなしに祭り気分がアップ。

お囃子

見事な御拝(屋台)からお囃子の太鼓、鼓、笛が盛んに鳴り響いていました。

さて、この「山あげ祭」についてお話します。

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山あげ祭は八雲神社の例祭。野外歌舞伎を奉納余興としている。6つの町が毎年持ち回りで担当することになっており今年は元田町だった。
各町にそれぞれ御拝(屋台)を持ち、それぞれが違った飾りがついている。元田町は「鶴に亀」だ。

山車

今から455年前の1560年。その当時の烏山城主が疫病防除、五穀豊穣、天下泰平を祈願するために牛頭大王を新たに迎えて奉安したことに始まる。
祭礼として奉納余興がスタートした。当初は相撲や神楽獅子などが行われ、江戸で常磐津所作が流行ったことをきっかけに歌舞伎を奉納。全国でも珍しい野外歌舞伎だ。

乗合船

乗合船
50年ぶりに上演された「乗合船」。
船を「宝船」に登場人物を「七福神」に見立てた御目出度い席の舞踊で、烏山市制10周年、JR烏山線の七福神に掛けての演目だ。


お囃子
歌舞伎と同じように常磐津がある。太夫座敷にあがるのは三味線二人、唄が三人で二丁三昧が盛り上げていく。

そして「山あげ祭」の名前の由来にもなっている「山」。
竹で骨組みをつくり烏山の特産である和紙を貼り重ねた紙張りの山だ。舞台の装置の一つで演目中で絵が変化していく。

山

野外歌舞伎の演目は町中数カ所で場所を変えて奉納される。移動はすべて人力。ここが山あげ祭のもう一つの見どころとなる。

山、御拝(屋台)、演目に出てくるガマも全部を焼け付くような暑さの中を若衆が運ぶ。この運びは皆が力を合わせた姿に感激だ。
この若衆には厳しい上下関係がある。若衆には世話人、木頭・副木頭、各係、平若となっている。
上からの言葉には良く従い、仕事は仲間と協力して一緒に行う。物事は正直に行う。悪に加担せず人に情けをかけよ。根性を養い、他町に全体負けるなと。
若いうちに上下関係や仲間との協力することを覚える素晴らしい機会となっていると思う。

移動

ガマ
和紙で作られているガマも移動。

山

山も一回ごとの立て直す。1日の6回ある日があり、場所が5箇所。その度に移動させていくのだ。

将門

将門
この日のために大人も子供も日々、稽古をしているそうだ。
一年の神事のクライマックスが「山あげ祭」となる。

山車

ブンヌキ
最終日の「ブンヌキ」は八雲神社の鳥居の前で屋台が集まってお囃子の競演をする。相手よりリズムの良さ、音量や力強さ、持続力を競うのだ。

約30分全力のお囃子合戦は圧巻だった。

それぞれに主役がいる祭り。
誇りをもって全力で取り組み、楽しんでいる姿。
日本の祭りを見た。

雑学
牛頭天王は元はインドの守護神と言われているそうな。それはスサノオノミコトと同一神とされ、薬師如来の化身であると言われている。
疫病よけの神様として日本全国各地に祭られている。京都の祇園祭で有名な八坂神社もこの神様を祀っている。
祇園祭の始まりは、八雲達たつ 出雲八重垣とスサノオノミコトの和歌が歌われるそうな。

おまけ
那須烏山市は八溝地域に位置している。古くから香り高い自慢の蕎麦が穫れ、「八溝そば街道」になっている。

そば

てんぷら

酒

おまけ

那珂川流れヤナが数カ所あり、そこでとれた鮎の塩焼き。
地元の生酒。いうことなく旨い!
鮎

豊かな自然に育まれた土地で伝統を今に繋げている「山あげ祭」。ここで育つ子供たちが羨ましくなった。
2演目みた後の記憶が薄れるほど暑かった。熱い祭を体感した一日を過ごした。