こんにちは。3Hメディソリューション株式会社 公式ブログ担当です。

今回は、大腸がんの手術後の再発リスクを血液検査で予測し、それに基づいた新しい治療法の有効性を検証した臨床試験についてご紹介します。

 

血液検査で再発リスクを予測する「ctDNA」

がん細胞は、壊れるとその遺伝子のかけら(DNA)を血液中に放出します。これを「循環腫瘍DNA(ctDNA)」と呼びます。手術で目に見えるがんをすべて取り除いた後でも、このctDNAが血液中から検出されると、体に微小ながんが残っており、再発するリスクが高いと考えられています。このctDNAを調べることで、より精密な再発予測が可能になると期待されています。

 

ctDNA陽性患者さんへの新たな一手

今回の臨床試験(CIRCULATE-Japan/ALTAIR試験)では、大腸がんの手術後にctDNAが陽性となった患者さんを対象に、抗がん剤「ロンサーフ(一般名:トリフルリジン・チピラシル)」が再発を抑える効果があるかどうかが検証されました。結果として、全体では統計的に明確な差は出なかったものの、特に再発リスクが高いと考えられる患者さん(IV期の症例やctDNAの量が多いなど)に絞って見ると、ロンサーフを使った方が再発までの期間を延長させることが分かりました。

 

個別化治療への大きな一歩

この結果は、血液検査によって再発リスクの高い患者さんを特定し、その方々に合った治療を提供することで、大腸がんの術後成績をさらに向上させられる可能性を示しています。すべての患者さんに同じ治療を行うのではなく、一人ひとりのリスクに応じた「個別化治療」を実現するための、非常に重要な一歩と言えるでしょう。