何と無し記すのに物臭いが
あらましを
先ずは一つ
街歩きして家の建ち並ぶ辺りに入り込む
知らぬ小父さんの家で
旧き線で繋がれし電話の受話器だけ借りる
子機に非ず
線を断ちた受話器(櫛の代わりかも)
吾は電話の受話器だけを持ちて
上な階の厠を借りる
其の続きか重ねて眠りし夢
毒鬼塚が夫婦で芝居を為す
其の御蔵入りの芝居を見る
毒鬼塚な夫婦が何か逃げ乍ら指輪を交わす
(芝居の建物の中が床上の擦れ擦れを
流れるかに飛ぶが如き動き
其の動きの最中で指輪を交わす
殊に憶えに良く残る動きであった)
其れから夫婦の離れたる噂が流れる
此処より下なる話は
吾が現で常日頃に
思う事や考えた事ではない
毒鬼塚と地続きであったか
また重ねたる夢であったか
広島長崎で爆ぜし物事を学び舎で教えるに
被りたる爆ぜを
抽き出したる象で教わり育ちた若い女が
心を病みて乱れ
手に持ちたる水晶の欠片にて
何か台の仕掛けを壊す
(ピンボール台に似たる仕掛けに
嵌め込まれた此れも水晶の押し込みを
其の透けたる護り箱を外し
手に持つ水晶で
仕掛けの押し込み水晶を打ち壊す)
壊したから何事かが起きたという
憶えは無い
其れを目の当たりにした
吾か吾が櫛か
または違う誰かが話す
広島の爆ぜし事なれば
爆ぜ物を落とされし前の様から教え始めて
広島に落とされたのだと
覚えを認めさせねばならぬ
「長崎なら長崎を」と話す
(夢の話故に上手く噛み砕いて書けぬが
爆ぜ物を落とすに至らしめた世の流れと
落とされし前の広島長崎が暮らし営みを
抽き出したる象での落とされし街でなく
人柄の有る広島として長崎として
ただ物の爆ぜたに非ず
人柄の有る広島と長崎が殺されたる
有りの儘を教えねば
其の「死」を受け入れる事が成らぬ
覚えを認めたる事が成らぬ
殺されたるは己に非ず広島と長崎が人で
己に非ずが確かなる人で暮らしで営みで
其の他人が故に「死」を酷たらしき死を
覚え認め
己と他人の死を別つ故に
死を持ちて伝え得る云々)
乱れたる女が事からの続きか
廓(遊びの里)にて爆ぜを被りたる者らが
赤剥けで手を繋いで逃げ惑う
(顔も焼け爛れたるに
恐らく眼が見えていない
現に伝え聞いた物事ではないので
広島か長崎か問う事でもないが
夢の中での認めは長崎であった)
其処からの繋ぎは定かで無いが
手厚く包んだバナナを戴き
姪が其の御礼を誰かに述べて来る
(家の上がり口での遣り取りにて
違う部屋に居た吾には其の姿が見えず)
礼を述べて戻りた姪が
部屋に置かれし行李に
(其の大きさ子どもが収まりたるに)
其の行李に一杯の子ども菓子を漁る
其れから
(時の流れとして続きか分からぬが)
吾が媼の飯を如何するか
何か献立か作り方を携えし
若作りの老いた男が来て話す
(仕舞いに食いてから幾日が経つか
二日は経ったのでないかなど)
此処ら辺りであったか
吾は現で鳴きし鼠に似たる鳥の一声で
目覚めたり
-
此処からは昼飯の後に眠って見た物事
青鴉の太郎が小さき学び舎の子らに
小濾紙の為し方を教えているが
何か事があり
小濾紙は学び舎の二つ年からに変えるとか
其れから
曇りの下で吾は
ナットを締めるだけの絡繰り人形と
密林格子に登って座り
吾が女と結ばれない悩みを
絡繰り人形に零す
絡繰り人形は黙ってナットを締めている
(絡繰り人形を吾が櫛に置き換えたれば
現の常日頃なり
ただ吾が櫛は受け答え為すが皮肉かよ)
これに思い出したるあれば
追いて記す事もありや