話の筋としては吾が家だが

現の家とは異なる家で

其の家の入り口が外壁に

縦長に大きな受け取り口(手紙などの)を

取り付ける

取り付けは業の者が行なっている

取り付けが行われている間に

家の中で吾らは過ごしたり

炬燵も据えてあり絵に描いたかな冬の一時

もろに吾が櫛が人の姿で居る

現では当たり前でも

夢の中で仮の姿でなく現るは珍しい

さらに珍しいのは

吾が櫛に似た娘も居た事なり

其の似たる娘は

下手な芝居で他の女子から揶揄われていた

(吾が櫛と似た娘と他に幾人か娘が居た)

此の芝居の下手な似たる娘は

葫蘆な禍に世を去りし男と

芝居を共にしていた事もある

いま如何に生きているのか吾は知らぬ

似ていたが吾が櫛に酷く嫌われて早幾年か

色で言えば山吹だったか

よく青と取り違えられていたように思う

(此の取り違え間違いの元は

 恐らく糞嵐なのではないか

 吾が櫛が糞嵐を酷く嫌っているから

 此の取り違えが無ければ

 山吹は似た通りの儘に

 吾が櫛に成っていたかも知れない

 糞嵐にとっては己が名に言寄せて

 取り違えの青が利になると踏んで

 事を捻じ曲げに来たのか

 其れが多くの者に不幸せを齎した)

然て

受け取り口が成したれば

其処からの山の如くチラシを運び入れたり

此処に人が集まりしは

弔いの集いが為らしい

其の装いを調えるにチラシを皆で眺めたる

装いを求める行き先が決まり

吾らは大きな商いの館に赴く

商いの館は内に入りたるも

閉じたるかな灯りの乏しさで

其れが何か心を擽られる

吾らは各々が装いを買い調え

弔いを設けたる地を下見に行く

商いの館が地の下を通ったかな

通り路を抜けると外で

今は無き見覚えの有る庭だった

其処で吾は尿の朝顔に立ちたるが

吾の背中にピタリと弔いの坊主が貼り付き

親しげに話し掛けて来る

(他愛もない話だったか)

吾は気持ち悪く出るものも出ず

尿を諦めて

他の者らも共に商いの館に引き返す

(此処にて現での猿に似た鳥の一声で

 一度は目覚めたか)

引き返す最中に弔いの始まる知らせを聞く

併し何かを取りに戻らねば成らず

商いの館に戻ると止ん事無き人も

其処に居た(前の代の人)

吾は尿が漏れそうで厠に向かいて

事を為したるか

其れから恐らく止ん事無き人も伴い

弔いの催しへ地の下が通り路を歩む

歩き乍ら或る縁りの者(男)と

賭け馬の話を為す

縁りの者が言うには網で賭けるより

紙が当たるとの事だった


-

という事なりて

此処よりは現の物事で

今年の一月一日に赴きし地へ行って来た

124年ぶりの

二月二日なる節分であるとか

もろに姿を現したる吾が櫛だとか色々と

行きたい心持ちになりて

雨上がりで泥濘んではいたが

其れなりに好かった

(雨上がりから時も経ちて

 行き帰りは共に晴れていた)

帰りに缶入りの甘酒と

小さな紙箱の酒を買った

(合わせて二百円ちょうど)

甘酒は帰り路に飲み飲み

紙箱のは寝しなに飲もうかと思う

吾と吾が櫛の慎ましいき節分なり


これに思い出したるあれば

追いて記す事もありや