3DプリンターUPBOXを使う!(その2) | 3Dプリンターにバンザイ

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3Dプリンターの使い方や設定に関することを中心に、デスクトップファブリケーションなどの話題を紹介してゆきます。
自分のつくりたいものを、自由につくろう!


前回はこちら

UPBOXでの3Dプリントは専用のアプリケーションの「UP!」で行います(Win, Mac両方ある)
このUP!はUPBOXだけでなく、UP+やUPminiなどUPシリーズ共通の造形アプリケーションのようです。インストールすると特に設定することになく、日本語になりました。

造形プラットフォームの高さ、水平調整はこのアプリケーションから設定します。
初期化と高さ・水平の自動調整だけ行えば、すぐに造形を開始することができます。


フィラメントを挿入

印刷設定をデフォルトの「ノーマル」で造形を行います。ノーマル以外の設定にすると造形失敗しやすくなったので、微妙な高さ・水平、エクストルーダーの送り速さなど微妙な調整が必要なんだと思います。


ノーマルの設定(積層ピッチは0.15mm)


こちらのモデル(マウスの意匠面)を造形して見ました。


UP!で開いたデータ


造形したモノの外側


こちらが内側


いままで使用していたMakebot Replicator(3rd)と比べると、様々な面で改良や設計の成熟が見られて、黎明期の製品にとって3年の歳月は大きいなと思いました。その中で大きく違うと思った点は以下になります。

◎造形品質はとても上がった
 カタログスペック上の積層ピッチ以上に造形品質が上がったと思いました。Replicatorでは普通だった、積層間のズレ(平面でも歪んだり、波打っていたり)やクラック(ヒビが入りスキマができる)なども減り、ぱっと見た感じでよりキレイ(データに忠実)に造形されているのが分かります。

◎造形失敗の確率はかなり減少
 造形プラットフォームの高さ・水平自動調整機能によって、造形失敗がかなり少なくなりました。ただし、全くなくなるというほどではなく、感覚的には10回に3回くらい失敗していたのが、10回に1回くらいになったくらいの感じです。また、設定をデフォルトのノーマル以外にすると自分で微妙な調整が必要になります。
 
◎サポート材の出力ロジックが優秀で、オーバーハング形状も形状の破綻なく造形可能になった
 MakerBot Replicatorでは、オーバーハング形状にするとサポート材の除去が難しく、除去時に本体を傷つける可能性が高かく, またサポート材に接する部分の造形が崩れてしまい、実用的ではなかった。
 UPBOXはサポート材の出力ロジックが非常に優秀で、オーバーハング形状でも形状が破綻することなく造形でき、サポート材の除去時に本体部分を傷つけることなくできるようになりました。
 
▲造形時間が長くなってしまった
 Makerbot Replicatorと比べて唯一、劣る点が造形時間が長くなったこと。UPBOXはエクストルーダーの送りのスピードが遅く、同じ積層ピッチで造形を行った場合、2倍くらい造形時間がかかります。ただし、積層ピッチが同じでもサポート材の出力形式や、充填率などの設定の違いで造形時間は変わるので、完全に同じ条件で比較はできません。


■まとめ
買ってよかった!というのがシンプルな感想です。
パーソナル3Dプリンターとしては高額な部類に入りますが、造形失敗時に奪われる時間やマシンの調整に掛かる手間を考えると、安価なモノを買うよりいいのではないかと思います。業務に使用している人が結構いるというのも納得です。

製品としての完成度は3年前のモデルと比べると格段に工場していますが、造形品質、造形時間、アプリケーションなどまだまだ改善の余地は残されています。このあたりが更に成熟したモデルが開発されるといいなと思いますね~。