深センツアー(その9)98%の成功率!HAXLR8RのHWスタートアップ支援 | 3Dプリンターにバンザイ

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HAXLR8R(以下HAX)は、ハードウェアスタートアップに対してエンジェル投資家であり、アクセラレータです。応募してきた起業家のチームに対して、資金、ビジネス構築、製品開発の技術面で支援を行います。半年で10チームずつ、これまでに50社のハードウェアスタートアップを世に送り出してきました。

HAXのプログラムに参加したスタートアップは、6か月の間にHAXが提供するハードウェアビジネスのカリキュラムを受けながら、深センで製品開発を行います。最後にサンフランシスコでデモを行い、コンシューマー製品ならクラウドファンディングで資金調達が成功したら卒業、BtoB向け製品なら法人を立ち上げたら卒業になります。プログラムを卒業した50社のうち49社が存続中で、クラウドファンディングに挑戦した25社全てが資金調達に成功し、平均で約25万ドル(3000万円)の支援を受けています。これは驚異的な成功率です。


プレゼンしてくれた創業者のBenjaminさん


HAXには130の投資家、50人のアドバイザー、10人の常勤のスタッフや専門家がいて、彼らが起業家のメンターになります。独善的に迷走しがちな起業家にとって、信頼できるメンターというのはとても貴重な存在です。HAXの起業家へのアドバイスはおざなりなビジネスメソッドを振りかざすのではなく、本質部分にまで迫ったアドバイスをしているなと感じました。

いくつかの製品の紹介をしてくれたのですが、最も印象に残ったのが「DARMA」というプロダクト。シンガポールの大学院で、お尻から心拍数を計測するという研究をしていた学生起業家が開発したプロダクトです。当初、この起業家が考えたアイデアは睡眠時に心拍数を測って、睡眠状態を計測するマットでした。しかし、スマホアプリでも寝息を計測することでよい睡眠がとれているかどうかを計測するアプリがあるように、睡眠中の状態を計測するプロダクトは数多くありました。


DARMA(椅子の上のクッション)に腰掛ける開発者Huさん


そこでHAXがしたアドバイスは、起きている状態の心拍を測れないかというもの。コアとなるそもそもの技術は静止している時の体の状態を計測することでした。ナイキのfuelbandのように運動中の心拍などを測る、起床後の"動"を計測するデバイスは依然から数多くありましたが、起床後の"静"の状態を計測するデバイスはなかったからです。

アドバイスを受けて、DARMAはデスクワーカーの身体の状態をお尻に敷くマットから計測するデバイスへとコンセプトを変更しました。これをデモしたところ、オフィス用品関連の企業だけでなく、戦闘機に搭載してパイロットの状態を計測したいというアメリカ軍から問い合わせが来たとのこと。HAXのメンターがとても効果的に機能した例です。



説明を聞いた後、オフィスの見学をさせてもらいました。実際に、ハードウェアスタートアップのチームが仕事をしていて、僕らが見学に訪れると彼らは開発中の製品を紹介、解説してくれました。


仕事に励むスタートアップのみなさん


これはOTTOというトイカメラ。オシャレに加工された写真やGIFアニを簡単に撮影できます。



まさにプロトタイピングの現場


オフィス内にはラピッドプロトタイピングに必要な、3Dプリンター、CNCなどの工作機械や、ドライバー、半田ごてなどの基本的な工具がそろっていました。起業家のチームは20代半ばくらいの若者が多く、スペースもなかなかオシャレでした。世界中から集まった尖ったチームと切磋琢磨しながら、HAXが用意した設備と深センの豊富なインフラをフル活用してものづくりに没頭できるなんて、なんて素晴らしい環境なんだ!と、とっても羨ましかったです。


オフィスにおいてあった3Dプリンター

深センの製造業インフラ活用、バブル気味なクラウドファンディングでの資金調達、経験豊富なメンターからのアドバイス、複数チームを1箇所に集めて切磋琢磨させる、などHAXはハードウェアスタートアップを成功させるために様々なことを行っていました。驚異的な成功率はブームが訪れる前からハードウェアスタートアップに絞って、成功する方法論を洗練させてきたHAXの活動が、今まさに花開いたのだと思いました

ちなみにプログラムへの参加希望者はWebサイトから常に募集しているので、コンセプトに自信があってグローバルな展開を考えているHWスタートアップはチャレンジしてみてもいいかもしれません。


ラストへ続く


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