SideJ

しょおくんがここで働くようになったらなんかお客さんが増えてきたんだよね。
そりゃネットにも紹介したからってのはあるかもだけど。

僕はここで働いていて今幸せ。
しょおくん、不器用だから最初はグラスを持つだけで危なそうだったけど今は平気になった。

恋を応援したり、失恋したら慰めたり、アドバイスを送ったり、その人の人生が良くなりますようにと願ってなるべく毎日お店を開く。

もちろん、仕事の悩みやお金の悩み・・・そんなことも僕たちに求めてくる。
僕にとっては有難くてそれが嬉しい。

智は元気かな? 彼女さんと上手く行ってそう。
ここはいつまでも智の店でもあるんだよ?

今日も恋に悩んだ、女性がぽつりぽつりと現れる。

ゲイ限定ではないけど、男同士がいても平気な人は女性も入っていいことになっている。

「しょおくん、お疲れ様」

「潤、お疲れ」

今日も色んな人がいてそれぞれに相談乗ったり時には静かにしてあげたり。

「何飲む?」

「ふふっ、サイドカー飲も?」

「どれだ?」

ふふふっ、しょおくん、まだ覚えきれてないみたいで困惑している。

「これだよ!」

取り出して硝子に注いで乾杯した。

「潤、このカクテルの言葉は?」

「しょおくん、分かんないの?」

そう聞けば苦笑していて
 
「そう簡単に覚えられるわけないじゃん」

それはそうだけど・・・
僕はこの言葉ぐらいは分かって欲しいなって思ってるんだよね。

「ごめん、大切な言葉?」

「うん・・・」

しょおくんはギュッと僕を抱きしめて

「ごめん、分からなくて教えて欲しい」

「僕もごめんなさい、まだ覚えられなくて当然だし、言葉でちゃんとつたえるべきだから」

するとしょおくんは

「大丈夫、潤はいつも伝えてくれてる、それにそういうのが楽しみの一つだからな」

そうなの?

「しょおくん・・・」

「オレンジの香りが華やかだし、レモン風味なのも悪くないな」

だよね、僕もそう思う。

「正式にいえば香り豊かなブランデーに華やかなオレンジの香り、そしてフレッシュなレモンの酸味がマッチしたカクテルね?」

「なるほど・・・」

「フルーティな味わいでしょ?」

「そうだな」

あー。カクテルの言葉言ってなかった。

「サイドカーはいつも2人でだよ!」

そう言えば

「ふふっ、そりゃ嬉しい、ずっと2人でいたいし」

「ふふっ、でしょ?」

ちょっとプロポーズな言葉だよね。

「カクテルって時にはそんな大切な言葉まであるんだな、まだまだ覚えるもの沢山だ」

「少しずつでいいよ、智から無理やり覚えろなんて言われたことないもん」

「自主的になのか?」

「うん、知りたかったから」

そう言うと

「凄いな、大変だったはずなのに」

「大変だけどお客さんにあったカクテルを渡したいしね?」

「なるほど・・・」

ふふっ、こうして2人で飲むのも好きな時間。


「潤・・・」

「しょおくん?」

「俺、頑張って覚えて潤の邪魔にならないようにするからずっと傍にいてほしい、いさせてください」

え? なんで?

「何処が邪魔なの? そんなこと思ったことないよ? しょおくんが内定を取り消してまで僕の傍にいてくれてるのは嬉しいよ?」

そう言うと

「そうならいいんだ」

安心したかのような顔をしていた。

「しょおくん、僕はずっと傍にいたいよ?これからもその先も、しょおくんがじゃなくて僕がいてほしいの」

ね? だから、そんな責任感じなくていいんだよ?

「ありがとう」

僕たちは何度もキスし合って飲ませ合ってフラフラとお互いに酔ったけど幸せな時間だった。