いい入り方で試合の主導権を握ったのはホームのF大だった。
右SBの美馬和也がクリア気味に蹴り出したボールを左サイドでCFの古川大悟が収める。
古川は駆け上がってきた左SBの舘野俊祐にスルーパスを通す。
しかし守備に回っていた江口直生がプレスにいってルーズボールがF大のVO武井成豪のところへフラリと飛んでいく…
ワントラップから武井が思い切ってボレーシュート!
正直ドキっとしたが、シュートは枠を外れて事なきを得た。
F大は予想通りボールを持てば躊躇なく前へ蹴っていく。
ボールを拾えればそのままサイドへ展開してクロス。
ボールを奪われれば奪回を試みる。
いつも通りの闘い方を徹底してきた。
讃岐もそこは想定の範囲内だったのだろう、しっかり走り、寄せてF大の好きにはさせなかった。
ただ、讃岐はセットプレーに逃れるシーンが多く、そこだけが少し心配と言えば心配だった。
開始から5分あたり、讃岐のクリアを回収した武井から舘野俊祐にパスが出てアーリークロス。
田中直基が頭で落としたボールを左SHの利根瑠偉が受けてスルーパス、うまく受けてターンからシュートにいったのは古川大悟!
しかし古川の一撃は奥田雄大がブロックして切り抜けた。
さらに6分、右サイドからのスローインを受けたCBの秋山拓也が得意のロングフィード。
これを古川が頭で西村真祈にパス、西村が胸で落とそうとしたが宗近慧がカット。
中途半端にバウンドしたボールを田中直基がシュートにいったが枠を大きく外してしまう。
なんとか踏ん張ってきた讃岐に思わぬ"敵"が迷い込んできた。
9分、主審の笛が鳴る。
秋山拓也と競り合った赤星魁麻がファウルを取られた。
さらにイエローカードを提示されてしまう。
えっ!?
カードが出されるほどのファウルには見えなかったが…
赤星はこれが4枚目のイエローカードで次節は出場停止が確定となった。
この直後、競り合いで西村真祈の肘が長谷川隼の脇腹に激しく当たり、ハセは悶絶するが笛はなし。
森川裕基が武井成豪に手で押されて倒されるが、やはり笛はなし。
なんでやねーーーん!!
主審の位置的に見えていないのかどうなのかわからないが…
不運というか不公平な感じを受けていたのだろう。
讃岐のゴール裏は苛立ちの感情に火が灯ってしまった。
14分、右サイドからのスローインを受けた下澤悠太が浮き球のパスを繰り出す。
古川大悟と宗近慧が競り合って僅かにムネチが勝ち、F大としては少し後方に押し下げられたが、このボールを西村真祈がスペースへと蹴り返す。
古川大悟がこのボールに追いつき、切り返しで奥田雄大をかわしてシュート!
ここはコースがやや甘くなり、今村勇介が落ち着いて押さえた。
21分には古川大悟がうまく宗近慧からファウルをもらってフリーキック(FK)を獲得。
これを舘野が蹴ったが森川裕基がCKに逃れる。
左からのCKは下澤悠太が蹴ったが讃岐側がクリア。こぼれ球を回収した下澤はサイドを駆け上がる利根瑠偉にスルーパス!
利根はグラウンダーのクロス!
ここに西村だっ!!
………!?
と、シュートは空を切る?
タイミングがずれたところに攻め上がっていたCB齊藤隆成がシュート!!
これを奥田雄大がブロックぅ!!
久々のスタメンでレギュラー奪回に燃える奥田が魅せる魅せるー!
なかなか攻めに転じられないことと、基準が不安定で(讃岐側から見ると)F大寄りに感じられるジャッジに讃岐サポがイラつき始める。
飲水タイムくらいではほとぼりが冷めることがなかった。
同様に讃岐の選手たちも苛立ちが目立つようになってきた。
そんななか、江口直生が主審に抗議。
これを受けてエグはイエローカードをもらってしまう。
これは完全に推測だが…
キャプテンの立場であるエグが抗議する姿を見せることで周りの選手たちを落ち着かせようとしたのではないか…なんとなくそんな気がした。
そんなシーンから3分後のことだった。
利根瑠偉が受けようとしたパスを内田瑞己が素早くカット!
これを赤星魁麻が身体を張ってボールを収めてポストプレー、何とか森川裕基にパスを繋ぐ。
モリの左側にはフリーで駆け上がっていく吉田源太郎!!
ここからモリがげんたろーへパスを出そうとしたが、F大のカットに遭い、攻撃は未遂に終わった。
周りからは溜め息が聞こえる。
自分もそのなかの1人だったが、不思議と悲観的な感情で漏らしたものではなかった。
(惜しかったなー)
それくらいの感情だった。
案外と あたしは冷静にこの試合を観ていた。
まだ1本のシュートも打てていない。
それでも冷静だった。
F大は攻めてはいるものの、いいカタチでクロスまでいけておらず、彼らの好きにはさせていなかった。
(あぁ、やっぱり今日は讃岐が勝つんだな)
何となくそう思った。
赤星魁麻が効いている…というか、赤星魁麻を止められないだろう。だから余計にそう思えた。
実は試合前にも道中で"今日は勝てるから"と嫁さんに言っていた。
ところが、嫁さんは達観したように
「あなたの予想は競馬を見てたらあてにならないことくらいわかってるから」
と一笑に付した(笑)。
でも自分のなかでは割と揺るぎないものがあった。
30分経過したが未だに讃岐はシュートを打てていない。
それどころか攻撃の回数もいつもと比べたら少ない。
それでも揺るがなかった。
だって…
讃岐はカウンターで攻撃のチャンスを窺ってるんですから。
<つづく>
※読みやすさを考慮して、選手名は敬称略としました。ご了承ください。
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