2018年。チームを大きく若返らせたものの、思うように浮上できなかった讃岐にとって、夏の移籍はJ2残留の「切り札」でした。
讃岐が選んだのは二人の経験豊富な実力者。
テゲバジャーロ宮崎(当時は地域リーグ)にいた田中英雄、そして大分トリニータの竹内彬。
このベテラン2選手を期限付き移籍で獲得しました。
特に竹内彬は大分のキャプテン。
確かに2018シーズンは4試合にしか出ていない状況だけど…そんな選手が来てくれるとは思いもよりませんでした。
すぐに名古屋グランパスのサポーターで、2017年に対戦した讃岐に興味を持ってくれて讃岐のサポーターにもなってくれたオグさんに竹内彬のプレースタイルについて訊きました。
空中戦に強く、ロングパスに特徴のある選手、そう教えてもらいました。
そんな竹内彬は背番号30をつけて讃岐に加入しました。
「サッカー人生で初めてもらった背番号が30だった…」
引退セレモニーでそのことを披露し、引退後に出演したラジオ番組で、このチームでキャリアを終える決意の表れだったことを教えてくれたアキラ兄さん。
でもまだその時は背番号に込められた想いは知る由もありませんでした。
第29節の横浜FC戦で途中出場した竹内彬は得意のロングフィードを織り交ぜながら攻撃の活性化を図りましたがうまくいかず敗戦。
その後もなかなか勝てずにいました。
最下位の讃岐は残留に向けて絶対に負けられない21位熊本戦をホームに迎えます。
原一樹の芸術的決勝弾をアシストしたのは竹内彬の十八番・ロングフィードでした。
さらに激しい肉弾相討つ攻防の中でアキラ兄さんの歯は欠けてしまったといいます。
激闘を制した讃岐は21位に上がり、残留へギアを上げていく…そんな青写真だったと思います。
ところが…
勝ち点3を奪いに行った山口戦をスコアレスドローで終えてしまうと続く甲府戦に敗れ、もう少しで勝ち点3が獲れそうなところまで来ていた町田戦も勝ち切れずドロー。
遂に讃岐のJ3降格が決定してしまいました。
J2降格の讃岐から多くの実力者が去っていきました。
指揮官・北野誠は退任。
新チームの構想外となってしまった岡村和哉、渡邉大剛。
チーム得点王の原一樹、チームアシスト王の佐々木匠は移籍。
アレックスも引退。
竹内彬ほどの選手がJ3に残ることはないだろう…
誰もがそう思っていました。
何より彼は大分のキャプテンを務めていた人材。
いや、紛うことなき人財なのだから…。
やはり年が明けても竹内彬に関するニュースは入ってきませんでした。
そして迎えた新体制発表会。
選手たちが入場してきました。
その一番最後………!
「No.30…ディーーーフェンダー!竹内彬!!!」
「うおおおぁぁぁーーーっ!!」
割れんばかりの歓声がレクザムホームに響き渡りました。
ある人はガッツポーズを何度も繰り返し、ある人は絶叫、またある人は仲間と抱き合う…
もうまるでその歓声は、オリンピックが東京開催に決定したあのシーンに似ていました。
竹内彬、カマタマーレ讃岐に完全移籍!!