2016年燕市戸隠神社春季祭礼「萬燈」宵宮~本番 | 「その女、善良につき」

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三線愛好家 & 三条市ボランティア連絡協議会会長 きよ里が書いております。どうぞよしなに。

越後三条っ子として育って中年と言われる年代にさしかかったけど、お隣燕市の「戸隠神社春季祭礼」、いわゆる「萬燈(まんどう)」には生まれてこの方一度も行ったことがない。

噂では「お玉さん」という少女たちの踊りが目玉だとか。
白塗りに浴衣を半脱ぎして踊る姿が可愛くてたまらないんだとか。

燕の祭りは、宵宮(よみや)がもりあがるんだとか。

いくつかきっかけを得て、隣町の祭りに初めて行ってみようと思い立った。

 

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こ、これがお玉さん…。丸くて白くて健気でかわいい…。
中村パン屋さんの店内におじゃまさせていただいて、門付けを中から見ることができた。ありがとうございます。

私が見た「横町萬燈組」のお玉さんの衣装は、襦袢に前掛け、その上に浴衣を重ねて、浴衣の片袖は脱ぎ、浴衣の裾をからげた上に前は広げて前掛けを見せ、手甲脚絆に白足袋履いて、派手な三尺帯を前結びする。手甲や前掛けの裾には幾つもの鈴が縫い付けられていて、お玉さんが動くとリンリン鳴る。かなりかぶいている着こなし。上級者中の上級者、何がどうなってこんな着方ができたのかまったく想像がつかないくらいの凝った衣装である。
さらに、舞妓のごとくおしろいに紅をさした白塗り化粧、髪は一様にぺったりなでつけて、ポニーテールにしたあと毛先を前につきだして固めてあり、あたかもかわいい角が正面に突き出しているかの様相。縛った髪の根元を赤い飾りで留めている。

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襟首を深く抜いたうなじの見せ方、半脱ぎして赤系の襦袢を見せるあたり、そして襟首の内側に見える赤い色、このあたりに置屋文化が色濃く匂う。
お玉の起源については、「木場小路萬燈組」のブログが詳しいが、そこで述べられている仮説の一番目、芸者見習いの「半玉」からお玉の呼び名がついているという説が有力なように感じられる。

真実やいかに。

 

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これが本体、「萬燈」。写真は木場小路萬燈組のもの。

そもそも萬燈ってなんだろうと思って調べてみたところ、提灯でも灯籠でも蝋燭でも、願いを込めたたくさんの灯りを焚くことを萬燈と称するらしい。特に、お祭りにおいては、山車になっていて動かせる灯籠提灯のことを萬燈と呼称するようだが、現在では全国的に、灯籠や提灯よりも花飾りをわっさり乗せているのが標準みたい。
燕の萬燈は、花ではなくて、短冊状の色紙をたくさん結びつけた竿を1段、上からふんわり下げている。
(萬燈全体と、木場小路萬燈組については小林由明さんのブログが詳しい。既に更新は停止しているようだが内部事情や意気込みが面白くてけっこう読み込んでしまった。)

 

萬燈組の若連中が木遣を唄い、続いて笛と太鼓の地方(じかた)さん(中学生くらいから?)とともに伊勢音頭を唄い上げるのに合わせ、お玉さんが小首をかしげて愛くるしく踊る。
私が見た限りこの出し物には3種類の披露の仕方があって、

 

1.奉納踊り…サンロード宮町の商店街内にある祭りの本拠地、戸隠神社の参道に並んで踊る。よーいとナー。

2.下座(げざ)…街灯踊りと呼ばれているのはこれのことか?萬燈が街を練り歩き、ところどころで止まって、その前にお玉さんが並んで披露する。

3.門付(かどづ)け…商店街や(たぶん)氏子の家を訪問し、土間やロビーで踊る。若連中と地方さんは玄関の外から唄を響かせている。

 

一般の見物客はこのどれかを見ることになる。私は初めて見物に行った部外者でありながら、Kenoh.comの佐藤雅人さんにナビゲーションを依頼したので、門付けはお店の方の視線で見ることができたし、奉納踊りもたいへんいい場所で全体をよく見ることができた。

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サトマサさんありがとうございまスライダーズ。

翌15日は、昼間動く萬燈を見てみたくて、朝から参加。

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宵宮の盛り上がりを見て、私も和装で見物したいと思ったので、早く起きて髪を盛ったよ!うまく盛れた!ブルーが効いたつまみ細工の髪飾りは鈴木みちこ先生の作品。
帯も初夏向けのさわやかなやつおろした。気合十分。

 

三条市の看板を自負する私が、他市のお祭りにこれほど肩入れするのにはきっかけがあって、まして三条まつりと同じ日に開催なのに、わざわざ燕と三条を往復してまで萬燈を見たかったのは、ひとえにロックンロールな相棒・我らがギタリスト エーサクさんが今年のお祭りの責任者(総代)を務めていたからということにつきます。


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萬燈の前で写真撮らしてもらった!うれしい!

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揃いの浴衣、いつもと違う髪型、総代さんだけが着けられる赤い帯、お祭りの男は本当に格好良い。生でエイサーを見た時の「みんななんてカッコイイんだ…沖縄恐るべし」と思った感覚が蘇る。お祭りが終わるとみんな本当に普通の兄ちゃんなんだけど。わかってるんだけど、祭りの間は男の子が本当に光って見える。

エーサクさんの決して上手くはない(ごめん)伊勢音頭の音取りも、堂々としてとても光っていた。エーサクさんはねじり鉢巻しない派らしいけど、「横若」の手ぬぐいを真島昌利みたいに巻いたら似合いそうなのになぁ。

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「総代」の提灯を背負って最後の街灯踊り、木遣を唄うエーサクさんに痺れた。
民謡唄いにとって、お祭りで唄うというのはいわば最終目標で、民謡の使い方としては最高峰なわけで、とてもうらやましい。私も何かの地方をやってみたい。

 

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横町萬燈若連中総代エーサクさん、たいへんおつかれさまでした!
良い物見せていただきました(-人-)ありがとうございまスライダーズ。