人が人を呼ぶ 10/5/29 かくれ家 | 「その女、善良につき」

「その女、善良につき」

三線愛好家 & 三条市ボランティア連絡協議会会長 きよ里が書いております。どうぞよしなに。

定例演奏会前日に、知らない番号から電話がかかった。
ご婦人の声で、叔母からあなたの名刺をもらった、「面白かったから行ってみたら」と勧められた、ついては明日の定例演奏会に行ってみようと思う、と告げていた。

おそらく、その叔母様という方は、岩室温泉 富士屋でのライブ でお会いした上品な老婦人のことだろうと思いついた。
確か、「三条から来た」というMCに反応した人がいらして、名刺をお渡ししたのだ。

その方は約束を違えずご家族連れ立って聴きに来てくださった。
旦那様は気難しげな表情をして、私の大して上手くもない演奏を不機嫌そう(と、私には見えた)に見ていた。

3曲、演奏し終わって、その方が口を開く。

「本町の生まれで、芸者衆がいたときから三味線の音をたくさん聴いている。
 でも、俺は、三味線の音よりこの三線の音が好きだ。
 キンキンしたところがなくていい。」

ぬぉ、気に入ってくれたみたいだ。よかった。

三条の街中には、芸妓が三味線を弾き、長唄を謡い、踊りをしていた時代を知る方がまだまだたくさんいる。
種類は違えども、三味の音を聴いて懐かしがってくださる方もいれば、さらに気に入ってくださる方もいる。
中には、「やっぱり(本土の)三味線の方がいい」という方も当然いるだろう。

それでも私は、比べてみてくれただけでも、その方の前で演奏した意味があると思う。
聴いた人全員を魅了しようなんて大それた考えはない、それができればいちばんいいけれど、とにかくこののどかな独特の音色を、一人でも多くの方に生で触れてみてほしいと願ってやまない。