彼は透析を30年続けている人。

でもそれと同じくらい、
ずっと変わらず続けてきたものがあります。

それが「音楽」です。

若い頃から音楽が好きで、
19歳でドラムに転向してからは、

バンドに明け暮れる日々。

家にもあまり帰らず、
とにかく音楽中心の生活だったそうです。

つまり、
テレビを見る時間も、

映画を見る時間も、
ほとんどなかったということ。

そのことを、

私はすっかり忘れていました。

私は普通にテレビを見て、
ドラマを見て、
そういう時間が当たり前にある生活をしてきたので、
ある時、

何気なく聞いたんです。

「どんな女優さんが好き?」

すると彼は少し困ったように、

「女優さん、あんまりわからへんのやけど…」

そう言いながら、
一生懸命思い出してくれました。

そして絞り出してきた名前が、

市毛良枝さん、

山田五十鈴さん、

杉村春子さん。

思わず、
「渋っ!(笑)」と心の中でツッコミ。

私と同年代の彼ですが、
出てくる名前はさらに上の世代の女優さんばかり。

それだけ、
テレビや映画に触れてこなかったということなんだと思います。

でもそれは逆に言えば、
それだけ音楽に時間を使ってきたということ。

好きなことに、

時間を注ぎ続けてきた人。

あらためて、
「この人は音楽一筋で生きてきた人なんだな」
と感じた出来事でした。

同じ時代を生きていても、
こんなにも違う人生がある。

だからこそ、
人って面白いなと思います。

 

 

by.Red Beat