創作怪談『幽霊のような女』 | 染井的趣味ライフ

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ドール沼の住人による、ドール沼のブログです。主にカスタムのメモにしていく予定なので、素体写真をあげていきます。ドールや生首や真っ裸が苦手な方はご遠慮ください。ドール以外に介護日誌と小説を始めました。

大学の友人と連れだって町を歩いている時だった。

向こうから長い黒髪を縛りもせずに垂らした、覇気のない歩き方をする女性がやって来た。

擦れ違い様にチラリと横目で見ると顔色が異様に青白い。

女性が通り過ぎてから、俺は友人に言った。

「今、擦れ違った女、幽霊みたいだな」

すると友人は笑って言った。

「それ、よくある怪談だろ? 町で見かけた女を『幽霊みたいだな』って言うと、擦れ違い様に女が『なんでわかったの?』って言うヤツ。擦れ違ってから言っても遅いだろーが」

言われてみれば、そんな話を聞いたことがある。

俺も笑うと、友人は真顔になって言った。

「それにしても今の子連れのかーちゃん、顔色が悪かったけど具合でも悪いのかな?」

「…は?」

俺は思わず足を止めた。

「え…?」

俺の様子を不可解に思ったのか、友人も足を止める。

「子連れのかーちゃんって、なんだよ?」

「いや…だから、お前が幽霊みたいって言ったあの人。子連れだったじゃん?」

友人の言葉に先程の光景を頭に浮かべてみるが、擦れ違った女は一人で歩いていたはずだ。

「…子どもなんかいなかったぞ?」

「ええ?! 女の人の後ろからついてきてたじゃん! 黄色い帽子かぶって赤いランドセル背負ったお下げの女の子が!」

友人が焦ったように言うのを聞いて、俺は血の気が引いた。

「いねーよ! こんな真夜中にランドセル背負って出歩くわけねーだろ!! 」

そう言うと、友人の顔色もみるみる内に青くなっていく。

「じ…じゃあ、俺が見たのは…?!」

女が脇道に入っていなければ、振り返れば後ろ姿はまだ見えるはずである。

しかし、俺も友人も振り返ることが出来なかった。


                                                                終わり