「そんなに(自分に)会いたかった?」
あまりにもストレートで唐突なきよしさんの問いかけでした。
その問いかけは愛しい人に甘えているかのようで、心とろけたのです。
一瞬の沈黙のあと、割れるような拍手が起こると、
「自分もそうです。会いたかったんです」
と、照れくさそうにおっしゃったきよしさん。
布袋寅泰さんとのコラボアルバム「Soul to Soul」に収録されている「I Don`t Wanna Lie feat.」の音源をながしながら、
「この歌をレコーディングしていたとき、涙がでてきました。自分はひとりの人間として生きていけばいいんだって思って。
こういう世界にいると、出来上がったイメージに束縛されて(もしそのイメージを逸脱したら嫌われてしまうんだろうか?)と、苦しくなって。心を病んだり、おかしなことを”アレ”したりめ。爆発したりするでしょう。
3年ほど前から、湯川れい子先生にも背中をおしていただいて...。
ファンの皆さんには申し訳ないけど、これからは自分を生きさせてほしいなって思って」
きよしさんがそうおっしゃると、大きな拍手がおこりました。
この回に湯川先生もお越しくださっていたそうで、”湯川れい子先生”のお名前をきよしさんがおっしゃったところで、ひときわ熱い拍手がなり響いていたのです。
湯川先生、ありがとうございます。
20年目となった「きよしこの夜 Vol.20」の夜の部の中頃でのこと。
”自分をいきさせてほしい”とおっしゃった直後のあまりにもストレートな問いかけ、そして告白(キャッ!)だったのです。
先の今回のコンサートは来年2月にWOWOWさんの放送が決定しているとのことです。
では、以下はながれに沿って書いてみますね。
ステージにはセンター階段があり、上段、中段に踊り場があります。冗談には左右2本の大きなポールがあり、そのトップにはダイヤモンドを思わせるオブジェを頂いています。中段には左右にそれぞれ上段につながる階段があります。
また中段と下段の階段の左右に、HKのロゴが描かれたボックスライトがまたたいていました。
センター階段をはさんで、左右に5本、LEDポールがセットされ、七色に変わり、ステージを彩ります。後半、さらにステージ近くにもそのLEDポールがセットされていることに気づくのですが、それはまたそのシーンのときに書きますね。
「きよしこの夜」のロゴが巨大スクリーンに映し出されると、きよしさんのメッセージがながれてきました。
未曽有の新型コロナウィルスにより、この世界が一変し、その中での慟哭を乗りこえ、歌の力を確信したことを、熱く語っておられ、そのメッセージはスクリーンにも映し出され、文末に、”氷川きよし”という文字がくっきりとうかびあがりました。
さて、オープニングはどの曲だったでしょう?
ステージのステップの上段に登場された、きよしさんは、大きな羽飾りを頭にのせ、海を連想させるようなブルーを基調にしたサンバカーニバルを思わせる華やかな出で立ちでした。肩のファーはマンボを思わせるもので、照明の加減でエメラルドグリーンにも輝くサテンの上着とパンツに、さらにオーガンジーのような素材の飾りが袖、やウエストに施されていました。
歌ってくださったのは、
「大丈夫」
でした。
このときは、ブルーの薄手のマスクで口元を隠しての歌唱でしたが、かなりのアップテンポで、熱気ムンムンになったところでご自身でマスクを脱ぎさり、これもまたまたアップテンポの
「きよしのズンドコ節」
でした。
そして、
「星空の秋子」
を晴れやかに歌ってくださったのです。
ステージが暗転すると、チームHKにサポートメンバーを加えて編成された総勢14名のバンド演奏となり、「きよしのへっちゃらマンボ」、「ときめきのルンバ」、「情熱のマリアッチ」、「虹色のバイヨン」のリズム歌謡メドレー演奏となり、ふたたび暗転。
照明があたらないステージに、上手からきよしさんがステージセンターに向かって歩いてこられ、居住まいを正されたところで、照明が点きました。黒いタキシード姿にお召し替えされたきよしさんは、
「母」を、1コーラス目はピアノ演奏で歌い、バラード調での歌唱を披露されました。
ここでご挨拶となりました。
「このような状況のなか、お越しくださり、ありがとうございます。今日は、(そんな)皆さんの真心を何十倍にもお返ししたいです。
21年間、様々な主人公を演じて歌ってきました。
そのなかには、自分でいうのもなんですけど(笑)、隠れた名曲があるんですよ。良い曲でも日の目をみないままというか。
今日はそんなオリジナル曲から8曲を歌います」
とおっしゃると、自らタイトルを紹介され、途中で、”んでもってね”と、自然体トークになられ、実際に”石割り桜”をご覧になったときの感動もお話しくださったのです。
司会の西寄ひがしさんの曲振りをまじえながら、
「残雪の町」
「黄金岬」
「湾岸列車」
「最終フェリーで着いた町」
「二度泣き橋」
「石割り桜」
「出発」
そして、「櫻」
の8曲でした。
「出発」では、しゃがんでこどもの頭をなでる仕草をされたところで、次第に涙声になられて...。
きよしさんの思いがあふれた瞬間だったのだと感じたのです。ラストの「櫻」は永遠を歌い上げた絶唱でした。
ここでステージは暗転し司会にの西寄さんが登場され、この20年間の思い出をお話しされると、きよしさんがセンターステップ上段にブルーの着物に辛子色の袴をお召しになったきよしさんが登場され、
「生々流転」
「箱根八里の半次郎」
「大井追っかけ音次郎」
「ちょいときまぐれ渡り鳥」
を歌われました。
この記事の冒頭に書いていますが、「I Don`t Wanna Lie」がながれ、西寄さんもステージに。
6月に予定していたポップスコンサートが中止になったことについて、
「すべて意味があることだと受けとめてきました。
自分が強くなるために鍛えさせてもらっているんだって。そう考えてがんばってきました。
そして、SNSについて、
「SNSは本来は人を励ますためにあるんだって思いました。
デビューして20年、叩かれました~。
でも、小さいときにはもっと辛い思いをしたから、そのことを思えば、がんばれました。
そう思うと、辛い思いをしたから、鍛えられたのかなって。
今は、何がどうあっても歌い続けると思っています。
たとえお客さんが3人でも(いえひとりでもいてくださったら)、その方のために、”トオオ~ッ!”って(力いっぱい)歌います」
と。
ここで年末のレコード大賞、紅白歌合戦への21年連続出場を西寄さんがインフォメーションされると、
「これまで、いつもこれが最後だ、次はないという思いで出させていただいてきました。ファンの皆さんに背中を押していただいてきました」
そうお話しされたところでバンド紹介となりました。
チームHKの皆さんにサポートメンバーが加わり、バイオリン、ギター、セカンドギター、ベース、パーカッション、サックス、ドラム、トランぺット(2名)、キーボード&シンセサイザー(3名)、トロンボーン、コーラスの総勢14名がきよしさんをサウンドで支えてくださいました。
そして、和装のままなので、もう少し和の世界をということで、
「一剣」
「白雲の城」
を熱く歌ってくださったのです。
ステージが暗転すると、黒の紗幕がおりてきました。
西寄さんが、登場され、今年1年を振り返られたなかで、座長公演でのあることをお話しくださいました。
「今だから、いいますけどね、全59公演、私が綾姫様の扮装でお披露目になるシーンで、氷川さんが付き添ってくださったのですが、あのとき、毎回、私の耳もとで、”綺麗か、綺麗か”って博多弁でおっしゃって、私の士気をあげてくださっていたんです」
と。
ほんとうにじんときたエピソードでした。
と、ここで、ステージの紗幕があがると、ステップの中段にうずくまる人が!
もちろんきよしさんなのですが、階段には赤い裾がドレープのように波うっていたのです。
後方のスクリーンには、真っ赤な枯葉が花びらのように舞う様子が映しだされて...。
「枯葉」
を、中腰できよしさんは歌い出されたのですが、その狂気さえ感じさせる歌唱に、わたしは、思わず手をのばしそうになりました。
冷静に考えたら、手が届くはずなのないのですが、でも、”きよしさん、そっちにいかないで!”と、そんな思いになるほど、儚くて、激しくて、ゾッとするほど感動したのです。
真紅の衣裳の上半身のシルエットは”ハート型”にもみえたのですが、立ち上がると、赤い衣裳の裾はドレスのようになっていたのですが、ゆらゆらと揺らめく歌唱にその身も揺らめいて...。
枯葉から立ち上る、愛の炎を感じていました。
と、そこで、スクリーンにまさに炎の画像が映しだされ、きよしさんのドレスは”スコート式”になっていたようで、次曲のイントロがながれだすとドレスの裾は消えていたのです。
次の曲は
「恋、燃ゆる。」
でした。
真紅の衣裳に、オーガンジーのように軽やかなベールをマントのようにまとっていたのです。
その両肩には大きな花が咲いているように見えました。
きよしさんが、情念を熱く歌い上げると、スクリーンには蛍が星のようにまたたいたのです。
ここで、ステージのスクリーンには、8月4日に収録され、WOWOWさんで放送されたポップスコンサートの様子や、主に「キニシナイ」のPVもアレンジした映像がながれたのです。
その映像に見いっていたら、ステージ前方下のカメラブースのなかで、音楽にあわせて、上下する帽子の一部が見え隠れするのに気づきました。
あっ、きよしさん?
ステージにはコミカルに踊る黒いシルエット!
そのシルエットにもうひとつのシルエットが重なって。
そう、きよしさんでした(嬉)。きよしさんからみて、右半身はラメがきらめく白、左半身はバービーピンクの燕尾服をお召しになり、靴もピアスもそれぞれ白とピンク、シャツは白、リボンスカーフはピンク、シルクハットはピンクで、たなびくリボンは白、右手に持たれたステッキはピンク、そしてネイルは白とピンクを交互にぬられていたのです。
歌ってくださったのは、
「Call Me Kii」
「不思議の国」
でした。
と、途中で気づいたのですが、ステージのオーケストラビットになる部分の両サイドにも演奏席があり、そこにバンドさんが移動しての演奏をされていて、ライブハウス感がハンパなかったのです。
ここで、
「きよしこの夜」
を歌ってくださいました。20代でこの歌を歌い、真っ白な雪を感じさせてくださったきよしさんの歌唱は、20年余りを経て、その美しさ、輝きに加えて、温かみがましていて...。
ファルセットも美しく、きよしさんがどんなに成長されたのかを感じて、胸がいっぱいになりました。
下手には、パーカッション、コーラス、ピアノ。上手にはベース、ギター、セカンドギターの総勢6名の皆様でした。
ここで、初めて作詩に挑戦された思いを語られると、
「Never give up」
を歌われました。
ステージが暗転すると、「hug」のバンド演奏がながれるなか、きよしさんの今年1年のショットがスクリーンに映し出されました。
今の思いが語られると、最後はステージにこれから向かう映像となり、励ましと”一緒に生き(行き)ましょう!”という熱いメッセージで締めくくられ、ステージには漆黒の衣裳をまとったきよしさんが登場されたのです。
全体は黒のスパンコールですが、きよしさんの右袖と左ふとももは素肌を想起させるヌーディーなレース仕立てで、右肩には黒の花のコサージュ、ばっくり開いた左肩からは素肌がのぞいています。
黒のロングブーツをはかれ、ウエストには、昨年の紅白歌合戦でもお召しになっていたタイプのコルセットを着けられていました。
なんて、エロティックなんでしょう。とくに左のレース素材のふとももは部分は、上着の丈が絶妙! これ以上短くても長くてもダメ!というくらいに、スレスレ、ギリギリッ!
見るほどにヌーディーなきよしさんを想像させられ、ドキドキしてしまったのです。
と、そんなセクシーを通り越してエロティシズムまで感じさせる出で立ちで歌われたのは、
「限界突破×サバイバー」
そして、
「白い衝動」
でした。
ここで、ステージは暗転。いよいよアンコールです。
真っ白な衣裳で、白く煌めく大きなマントをひるがえしたきよしさんが登場されました。手首、首元はシルバーに輝き、ウエストにもシルバーのベルトが。そして胸もとには大きなブローチがキラキラと光っていたのです。
歌ってくださったのは、
「ボヘミアン・ラプソディ」
そして、
「碧し」
でした。
「碧し」では、涙、また涙...。
今年1年、そして、20年分の様々な思いがきよしさんからとめどなくあふれてきたのでしょう。
共に涙しながら、氷川きよしの歌唱は愛、その存在もまた愛なのだと深く感じたのです。
明日は昼、夜、参加させていただきます。このような状況下ではありますが、きよしさんのおかげで、ホールではすべてを忘れて、自分がこれまで生きてきた”日常”、それも年に一度の”スペシャルな日常”をすごさせていただきました。
