「満天の瞳」のワンコーラスめを唄い終えて上手から下手へとステージを移動しながら、きよしさんは両手を左右に大きく広げられて。
なにかしら?
と思った瞬間、その両腕でギュッと抱きしめてくださったのでした。
8日に神奈川県民ホールで開催されたコンサートの夜の部でのこと。
きよしさんは2500人のファンにエアハグしてくださったのですが、きよしさんの心が伝わってきて、きよしさんのあたたかさと力強さを感じながら、ほんとうに抱きしめられているように感じたのです。
そんなきよしさんが唄ってくださった「満天の瞳」の2コーラスめにうっとりし身も心もとろけておりました。
 
昼の部から歌唱は絶好調!
この日は関東エリアでのコンサートが今年最終ということで、きよしさんには抱く感慨もおありだったでしょうか。
オープニングから私はなぜだか、きよしさんの”熱”を感じてドキドキしていたのです。
燃えるような熱唱。
そして「浪曲一代」では前奏で琴の音が流れてきたので、あら、なにか演出が変わるのかしら?
と惹きこまれて舞台のセンター階段を見つめていたら、すっときよしさんのシルエットが浮かびあがり、きよしさんはマイクを手に浪曲をうなり出したのです。
私の頭のなかに、墨で描かれた山水画の世界が浮かびました。
山あいを流れる川。川には一艘の舟。ふたりの兄弟。
その山あいにきよしさんの歌声がこだまして、風に乗り広がって遠く遠くへと響いていく...。
そんなイメージがわっとわいて、私はいっそう磨きがかかった、きよしさんのうなりに聴きほれたのです。
フルコーラス唄われたので、久々に聴く2番に懐かしさ以上に新鮮さを感じ、
「♪節を彩る 琴の音に 逢えたあの夜は 男泣き」
と唄われたときの、”男泣き”で右腕で目を覆う仕草にも、きよしさんらしさを感じてうれしくなりました。
 
明年迎える15周年に向けて、10周年記念曲の「浪曲一代」をしっかりと唄いたいと思われたのでしょうか。
私は「浪曲一代」を5年余りをかけて大切に唄い、今これほどまでに進化させて聴かせてくださる”氷川きよし”に心から拍手を贈りたいと思ったのです。
”氷川きよし”は、なんて、なんてすごい歌手。
歌声は天から授かったものでも、ここまで磨き上げてきたのは、きよしさんのたゆまぬ努力があってこそ。
この日、司会の西寄ひがしさんも、きよしさんの歌には”うそがない”、そして、”もとからの人間性がずば抜けた歌唱力を今日まで進化させてきたのではないでしょうか”と、そんなふうにおっしゃってくださいましたが、ほんとうに、そんなきよしさんをこちらこそが抱きしめたい思いになったのです。
   
前日11月7日は西寄さんの40歳のお誕生日。
昼の部では、きよしさんが音頭をとって皆でお祝いさせていただき、「HAPPY BIRTHDAY」を唄ったのですが、
「♪ハッピーバースデー ディア 西寄ひがしさ~~ん!」
と唄われたきよしさんの歌声の優しい響きにじんときて私は泣きそうになりました。
どれほど言葉を尽くすよりもきよしさんの西寄さんへの思いがズシンと伝わってきて感動せずにはいられなかったのです。
そして、きよしさんは、
「皆さんも年に一度のお誕生日おめでとうございま~す!」
と会場の2500人を祝福してくださいました。
 
西寄さんは、
「誕生日というのは生んでくれた親に感謝をする日でもありますね」
とおっしゃっていましたが、夢を抱いて大分の中津から東京へと旅立った日、お母さまが”もう帰ってこなくていい”と西寄さんにおっしゃった気持ちが40歳になってようやくわかるようになったと、その感慨を語ってくださいました。
西寄さんはとても愛されて成長されたのでしょうね。こまやかで繊細なのに、どこか大らかでどっしりしている西寄さんを見ていればわかりますもの。
西寄さん、お世辞でなく大好きです。
うわっ、これって公開告白(あとで書きますが、きよしさんの真似)になっちゃうのかしら? 
ごめんなさい。
ならば、ちょっと言い直させてください。
西寄さん、お世辞でなく、きよしさんの次に大好きです。 
 
 
イメージ 1
 
神奈川県民ホールでのコンサートが関東エリアでの事実上のツアーファイナル。
昼の部から熱い熱い声援で会場がぐらぐら沸騰しそうでした。
「瞳をそらさないでください」
きよしさんもオープニングのご挨拶をされると熱い声援に応えてステージを上手から下手、下手から上手と行ったり来たり。
何回目かのとき、客席をみつめすぎていて(?)ステージ中央のスピーカーに右足がコツンとぶつかってしまったほどでした。
3階席の方にしきりにお声をかけて、大きな大きなエールが返ってくると、
「100点! 世界1、いえ宇宙1!」
きよしさんはそうおっしゃってとてもうれしそうだったのです。
 
最初、きよしさんは約2500人を収容する大きなホールということで、
「広いですね。でも僕、広い会場だと、さびしくなっちゃう...」
とおっしゃったのです。
もう、きよしさん、私たち目の前にいるんだよ~。
さびしいなんて言わないで。
もしそれ以上言ったら、皆でステージに押し寄せちゃうんだから。
いいの?
 
と書いてみたら、何だかきよしさんが”うん、いいよ”と答えてくださりそうな気がして(笑)。
勝手な想像ながらも微笑ましい気持ちになっている私ですが、きよしさんのさびしがり屋は宇宙一かもしれませんね。
そんなさびしがり屋のきよしさんに、客席はいっそうヒートアップしたのです。
きよしさんも、皆の心がステージに一気に押し寄せたのを感じてくださったのでしょう。
「皆さんと心をひとつにして素晴らしい時間にさせていただきたいと思います」
そうおっしゃって、客席との楽しいやりとりも生まれたのです。 
前列の男性にお声をおかけしたきよしさん、
「失礼ですがご職業をうかがってもよろしいですか?」
とお聞きになると、その方は定年されていて、
”あとはきよし君を応援するだけ”
とおっしゃってくださったそうで、きよしさんはその言葉を反芻されると、
「(うれしくて)泣けてくるわ」
と大感激(笑)。
そして、 ”好きです!”と書いたボードを掲げていた方に気づかれると、
「公開告白ですか?」
なんておっしゃったのです(笑)。
 
きよしさんは熱烈な応援に、
「僕、皆さんの貴重なお時間をいただいているので、期待に応えられるように一生懸命唄っていきたいと思っております」
とおっしゃった後、少しリラックスした口調で、
「期待に応えられないこともあるけれど」
と言い添えられてから、 
「がんばって唄って参ります」
ときっぱりとおっしゃったのです。
心優しくも頼もしいきよしさんがそこにいました。
 
「演歌名曲コレクション19~満天の瞳~」の話題になると、
「『満天の瞳』のアルバムが出ますー!!!」
と大きな声でおっしゃってから、
「1曲、1曲いいですねー。最高! 自画自賛。自惚れっ(笑)」
とご自身で相槌をうつようにして、アルバムへの思いを言葉にされ、主だった曲(ほぼ全曲でした・笑)を紹介してくださったのです。
なかでも、きよしさんも今回お知りになったという「ふるさと忘れな草」(グラシェラ・スサーナさん)は、
「レコーディングしていて4回ぐらい泣いちゃって。
僕のイメージなんですが、亡くなった愛する人のお骨を持ってふるさとへ行くというイメージがわきました」
またオリジナル曲の「雨の湯の町」は、市川昭介先生が作ってくださっていた曲だそうで、私は個人的にもすごく楽しみです。
昼の部では時間ギリギリに入場したので流れていたのかわからないのですが、夜の部の開演前と終演後には、「演歌名曲コレクション19~満天の瞳~」を流してくださっていたので、「今日でお別れ」、「武田節」、「港町十三番地」、「カラスの口紅」、「月が笑ってる」を聴かせていただいたのですが、どの曲も最高に素敵! 
アルバムを聴けば、きよしさんが自惚れて当然というより、自惚れなんかではないことが“一耳瞭然”です!
昼の部ではアンコールで「幾千もの祈り」を唄い終えるとき、自然と両の手が合わさって、きよしさんが合掌しているように見えました。
その思いが伝わって胸がじんわりとしたのです。
「恵まれたスタートで、右も左もわからない、いえ、右も左も上も下もわからない芸能界で、皆さんに支えていただいて真心を感じながら唄わせていただいてきました。
日々、皆さんへの感謝を忘れることはありません。
15周年が近づいてきて、ますます老若男女の皆さんに受け入れていただきたいという思いが強くなっています。
この生涯を使って、どれだけの歌を残せるか。それが僕の戦いです」
前半のさびしがり屋のきよしさんとはうって変わって、雄々しい“表現者・氷川きよし”になっていたのです。
 
そして迎えた夜の部でも歌声に熱がこもって、一瞬たりとも気が抜けないというより気を抜きたくなんてないと思わされる歌唱が続いたのですが、
トークではすっかり自然体のきよしさん。
そういえば昼の部でCDの中古コーナーを恐る恐る(笑)覗かれた話題をされていました。
きよしさん、数枚を見つけたそうで、
「まさかまさか自分のCDがあるとは!
誰が売ったんですか?」
なんて客席を見回しておっしゃったのです(笑)。
「ご事情があることはわかっているのですが、でも何か切なくなるんですよ」
としんみりおっしゃったあと、
「僕の分身だも~ん」
と、小さな男の子のような口調で付け加えられ、私はきよしさんの情熱歌唱と、気さくなトークに、きよしさんの心をどんどん身近に感じていたのでした。
 
夜の部では冒頭に書いたようにエアハグをしてくださってトークもうちとけたものになったのです。
西寄さんが登場され、きよしさんのスケジュールを紹介されると、その隣でこれ以上できないというくらい目を丸くされて(笑)。
「あー、キツイ! 年だね、年です~」
とおどけておっしゃってから、
「自然体でやらせていただいてよろしいですか?」
と客席に問われ、OKという大きな返事に、
「よか?
いいの~?」 
とさらに確認(?)されてから、ゆったりとした口調でお話しされたのです(笑)。
「芸能界ではからだや心を壊す方も多いんですよ。
僕たちは人の気持ちの中で生きてるから。
僕も生身の人間だから、皆さんのご期待に応えられなくて涙がちょちょ切れることもありますが、それでも一生懸命唄って参ります」
そんなふうに心の内を言葉にされたのです。
そんな...。
きよしさん、そんなことありません。どんなときだって、まる14年。きよしさんは期待以上の大きな感動をくださってきたのですよ。
きよしさんががんばっていらっしゃるから、私もまたがんばり、笑顔で過ごさせていただいているのですから。
これは私の心の声でした。
でも、きっと2500人の観客が皆、そんな気持ちを抱かれたのではないでしょうか?
そして、その気持ちがきよしさんに伝わったのでしょう。
「僕の歌を聴いていただいて、氷川きよしは抜けたとこあるけど、あいつだってがんばっているんだから、自分もがんばっていかなくちゃ。
少しでもそう思っていただけたらという気持ちで唄っています」
昼夜とも、わき起こった”きよしコール”。
きよしさんは、とりわけ夜の部では予期していなかったようで、あららとあわてて、しばらくコールの波に身体を預けて泳がせるようにしてから、
”皆さんコール”を重ねてくださいました。
 
「来年、皆さんと良い15周年を迎えたいと思います。
でも僕ひとりだけの力では無理です。
僕は自分ののどと歌で思いを皆さんにお伝えして、皆さんに伝わったと思っていだけるように精進していきたいと思いますので、年末に向かって、15周年に向かって、「満天の瞳」と氷川きよしをどうぞよろしくお願いいたします」
力強い言葉でした。
 
追記:11月8日。きよしさんも何度かデュエットもさせていただいた日本コロムビアの大先輩である島倉千代子さんが他界されました。
心からご冥福をお祈りいたします。
この日は THE BOOMの宮沢和史さんの病気による4か月の活動休止発表、バイオリニストの宮本笑里さんのコンサート中止と病気療養のニュースが報道されました。
コンサートでの、きよしさんの言葉と重なって切なくなりますが、早く元気になってくださることをこの場でお祈りしたいと思います。