「虹色のバイヨン」を唄っている時のことでした。
「♪バイバイ バイヨン ”この日のことは~”
バイバイ バイヨン 忘れはしない~」
と、きよしさんが唄われたのです。
”あの日”ではなく、”この日”...。
きよしさんのあまりにも熱い感動が伝わってきて、胸がいっぱいになってしまいました。
 
6月2日からスタートした「明治座創業140周年記念ファイナル 氷川きよし 特別公演」の25日42公演目になる29日夜の部に参加させていただきました。
千秋楽の前夜ですのでいわゆる”前楽”ということになりますが、きよしさんは胸に迫りくる感慨を歌に乗せて唄い、そしてさらに言葉にしてお話ししてもくださったのです。
 
お芝居でもアドリブが冴えていて、そんなきよしさんの演技に、
太川陽介さんがおっしゃった
「何か気にかかることがあるんでしょう。日に日におかしくなっていく(笑)」
というアドリブが大うけしました。
音無美紀子さんとの地が出ているようなやりとりもあり、過ぎ行く時間を惜しんで愛しむような皆さんのやりとりに、ほんとうに1カ月を経て、素晴らしい座組みができていることを感じたのです。
そして、ここまで無事に公演を続けてこられてホッとする気持ちと、”きよし平次”をはじめ、皆さんとお別れしたくないという気持ちがないまぜになって、やはりさびしさを感じずにはいられませんでした。
 
「あ~、あ~ん、終わっちゃう~」
歌謡ショーでのトークでそんなふうにおっしゃったのはきよしさんでした。
司会の西寄ひがしさんが、きよしさんが作り出したこの銭形平次は見事に”氷川きよし”のオリジナルになったことを讃えてくださると、きよしさんは恐縮されながらも、
「もう平次に会えなくなっちゃうと思うと、僕もさびしいです。
平次、いいヤツでしたねー。真っ直ぐで。
稽古から2ヶ月間、平次と向き合ってきましたから、役が沁み込んでいるんですよ」
きよしさんは、心の内を言葉にされてから、さらに西寄さんがきよしさんの家にいらして、台本(ほん)読みに連日付き合ってくださったことにあらためてお礼をおっしゃって、さらに、
「西寄さんは自分の台詞の練習もあるのに、僕の相手をしてくれて...。
こんな人、いませんよ」
と言い添えられました。
西寄さんは、”とんでもない”と頭(かぶり)を振って、
「思い返せば世の中はゴールデンウィークの真っ只中の5月1日のことでした。仮台本のまだ製本されていない台本で、台本(ほん)読みを始めましたねー」
と感慨深い様子でおっしゃったのです。
 
お芝居で大いに盛り上がり、休憩を挟んでスタートした歌謡ショー、オープニングの「浜町傾げ傘」から会場がわあっとわき立っていたのです。
「♪傾げ傘し~て」
と唄うきよしさんの傘を傾げる仕草に見惚れていた私です。
「日本全国1億2千万人の氷川きよしファンの皆さま!」
と西寄さんがおっしゃると、一気に場内はヒートアップしました。
そして、きよしさんが登場され、
「イェイ!」
「イェイ! イェイ!!」
「イェイ!イェイ! イェイ!!」
とエールの交換。皆から3つ目のエールが返ってきた瞬間、きよしさんは皆の声を受け止めるような仕草をされたかと思ったら、
「僕、感動して...、鳥肌立ちました。
一生忘れない時間です。心に刻みながら過ごしたいと思います」
とそんなふうにおっしゃったでしょうか。
皆のエールに鳥肌が立ったと感じ入っていらっしゃる、きよしさんの姿に、私こそ、そんなきよしさんを一生忘れないと思ったのです。
 
客席と視線を交わしながら、
「ずっと僕のことを見守っていてくださったんでしょう?
僕、皆さんの心を感じていました。
真心をありがとうございます。
心で感じています」
とおっしゃったきよしさんの言葉に、またもじんときてしまいました。
 
そして先の平次や台本(ほん)読みの話題になったのです。
「僕はこれからです。
人生は闘いでもありますからね。
オレも自分と闘っていくぞ~!」
そんな男気あふれるきよしさんの言葉を受けて、西寄さんは、
「今日が千秋楽という方もいらっしゃると思います。
明日の千秋楽にお越しになりたくてもいらっしゃれない方のほうが多いでしょう。
お越しになれない方もどうか、明日の千秋楽、見守っていてくださいね」
とご挨拶され、西寄さんの優しさが伝わって、広がって、心あたたかになったのです。
 
以前、コンサートで、きよしさんのバンドメンバーもスタッフも超一流とおっしゃった後、なぜかご自身については照れてしまわれたようで、”司会者も超一流”とおっしゃるのを遠慮された奥ゆかしい西寄さんでしたが、皆さま、この日は、きよしさんが、
「西寄さんは、誰が何と言っても日本一の司会者、いえ世界一です」
とおっしゃってくださったのでした。
 
”氷川きよし”お墨付きの”世界一の司会者”西寄ひがしさんは後半のトークコーナーで、
「氷川きよしさんと出逢えて、またファンの皆さんと出逢えて、私は本当に幸せです。
皆さんの夢は”氷川きよし”ですが、”氷川きよし”の夢は皆さんの夢(皆さんが描いてくださる夢)なのです」
というようなことをおっしゃったかと思います。
西寄さんの言葉、そして”夢”という言葉の響きが心地よく感じられたのです。
 
もちろんそれにもまして何より心地よいのはきよしさんの歌声。
熱唱に聴き惚れながら、私ははっきりと”氷川きよし”の歌声が、夢見る力を呼び覚ましてくださるのを感じていました。
客席で星々のようにきらめいて揺れるペンライトを眺めながら、
「ペンライト、作ってよかった~」
きよしさんはしみじみとおっしゃったのです。
ペンライトができたのは12年前。たしか中日劇場での初座長公演の頃だったのではないかと思いますが、スタッフがいろいろと試行錯誤して作ってくださったそうです。
 
いよいよ明日が千秋楽という話題になると、 
「情がこもっちゃうから。皆、いい方ばかりで...。
お惣菜を交換したり、分け合ったりして(笑)」
とのきよしさんの言葉に、
「そのあったかい関わりは”氷川きよし”が作ってくれたんです」
と西寄さんがおっしゃると、きよしさんは即座に、
「いえ、それは事務所の長良会長が、教えてくれたんです」
と言葉を継がれたのでした。
さらに、
「時代が変わっても時が流れても大事なのは心です。
長良会長は僕の芸能界での父ですけど、ほんとうに大切なことを教えてくださいました」
とおっしゃって、
「演歌名曲コレクション18~しぐれの港~」のインフォメーションを西寄さんがされ、
”オリコン総合アルバムチャート初登場第3位”の話題になると、
「もう、奇跡ですよ...」
きよしさんは言葉をかみ締めるようにおっしゃって、さらに、
「天国の長良会長も喜んでくださっていると思います。
僕は表現者ですから、これからも様々な思いを歌でお伝えしていきたいです」
とお話しされたのです。
 
また、見事に明治座創業140周年記念公演の大トリを飾られたことを西寄さんがおっしゃると、
「140周年、皆さん、どう思います?」
と客席に向かって問いかけられたのです。
140年前に生きていた人たちも、それぞれの思いを胸に明治座に足を運んで、心のお土産をもらって帰っていった様子を想像されながら、
「そこには皆さんの希望があって。
そんな明治座さんの舞台に出させていただいて光栄です」
とおっしゃいました。
 
きよしさんは表現者としての思いを語っておられた時、
「芸能界はとても厳しい世界ですから、強くないとやっていかれません。
もちろん優しさも愛情も大切です。
でも強くないと生き残れないから、14年やっていると強くなってくるんです」
とおっしゃった言葉が心に残りました。
私はそんなきよしさんの言葉に、泣きたいほどに切なくなり、そして心の中で、”きよしさん、ありがとう”とつぶやいたのです。
だって、きよしさんが何のために強くなろうとしてくださってきたかわかる気がするから。
優しさも愛情も強さに裏打ちされてこそ、真実になると思っているから。
 
そして、
「今日は帰りたくない~」
とつぶやかれたかと思ったら、
「今日は12時を越すぞ~!」
と突然、きよしさんが客席に呼びかけられたのですが、
賛同の声がわっと返ってくると、
「それは無理だ~!」
と西寄さんがこれ以上ない絶妙なタイミングでおっしゃったのでした(笑)。
もう、西寄さんたら、邪魔しないでくださいッ!
と思ったのは私だけでしたでしょうか?
なんて、ひどいこと言ってしまって、西寄さん、ごめんなさい。
でも、ほんとうにそのまま12時を越して、明治座さんにお泊りしたい気持ち。
ああ、明日はいよいよ千秋楽!
という今のこの幸せをずっと味わっていたいような気持ち。そして終わってしまうさびしさもまた感じていたのではないかと思うのです。
 
「虹色のバイヨン」ではこの記事の冒頭に書かせていただいた歌詩のアレンジがあり、「情熱のマリアッチ」での妬け付くような歌唱。感情のままに身体を翻らせて、場内を熱狂で包んでくださったのです。
きよしさんは唄っている途中で、幾度も”HO!”と頭上に抜けるような声をかけられて、「情熱のマリアッチ」では思い切り大開脚ジャンプをされたのでした。
アンコールでは、西寄さんの音頭による”どっこいしょ”のかけ声のやりとりが始まり、きよしさんは上手から下手へ軽やかに流れるような足取りで登場されて、その鮮やかさは夢の続きを見ているようでした。
 
さあ、いよいよあと1公演を残すのみ。
きよしさんのすべてを全身全霊で受け止め、魂に刻み込んで参ります。
 
 
※出かける前までに仕事の原稿が出来上がらず、お友達との待ち合わせを1時間遅らせていただいたのです。
それで何とかいいセンまではできたのですが完成までは至らず、帰宅して仕上げていたのでブログのアップが遅くなってしまってごめんなさい。
そして駆け足で失礼しました。
手直しは後日致しますことをお許しください。