2006年12月30日。
きよしさんは第48回 日本レコード大賞・大賞をみごと受賞。
演歌界では香西かおりさん以来13年ぶりという快挙でした。 
そしてそれは日本の歌謡史に”氷川きよし”の名前が燦然と刻み込まれた瞬間でもあったと思います。
 
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私は氷川きよしという歌手のファンになったおかげで様々な音楽賞があることを知り、さらにその意味や重みを知ることになったのですが、あまたある音楽賞の中でも、その頂点ともいえる日本レコード大賞・大賞。
これまでに、どれほど多くの歌手の方が、その年にたったひとつしかないその賞を手にすることを夢見てきたことでしょう。
その日本レコード大賞・大賞受賞という夢を抱かせ、そして現実にしてみせてくださったきよしさんの2006年。
今、静かに目を閉じて思い返すのです。
ちなみにこの年から日本レコード大賞の発表は大晦日から12月30日に変わったのでしたね。 
 
2006年も押し迫った12月15日に年末恒例のスペシャルコンサート「きよしこの夜 Vol.6」が東京国際フォーラムで開催されましたが、その数日後、きよしさんはケータイサイトのコラムに、
「今年1年、魂を込めて『一剣』を歌ってきましたので、締めくくりのコンサートはやはりじっくり歌を聴いていただきたいという想いでのぞみました。
夜の部でこれから『一剣』を歌うという時、みなさまから頂いた声援で思わず胸が熱くなりました。
みなさまのおかげで頑張って来れたと心から思いました。」
と書かれていました。
読んでいてじんときよしさんの心が伝わってきて思わず涙ぐんでしまったことが思い出されます。
こちらは「NHK紅白歌合戦」の出場者メッセージです。この頃は出場アーティストからのメッセージがFAXでいただけるサービスがありましたが、このメッセージと前述のコラムに書かれたきよしさんの思いがぴったりと重なりますね。
 
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きよしさんが「一剣」で日本レコード大賞・大賞を受賞された嬉しさは、その翌日の大晦日になっていっそう私の中でも大きくなって深い幸せに包まれていたのですが、私はふと1ヶ月前に緊急開催された”7周年感謝祭”を思い起こしたのでした。
 
10月に入ってからだったでしょうか? 
東京ビッグサイトでの「氷川きよし7周年感謝祭」が緊急決定したのです。
3500組7000名招待に対して応募は10万通(往復はがき)を超えたということでした。
当日は11時30分から受付開始となり、入場時に座席券と缶バッジ製のIDパスが渡されました。
会場にはセンターステージを囲んで四方(A、B、C、Dの4ブロック)に座席がセッティングされ、午後1時。
いよいよライブがスタートしたのです。
このステージできよしさんがお召しになっていた衣装は赤のスーツ。
赤はきよしさんが勝負を挑む時に意識して身に纏う色のひとつではないかと感じているのですが、その日も思えば赤いスーツをお召しになっていたのでした。
 
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”7周年感謝祭”のライブは「一剣」でスタートしました。
歌い出しのきよしさんの声から、いつになく緊張している様子が伝わってきたのです。
きよしさんの声が歌うほどに伸びやかになられたので、それできよしさんが最初どれほど緊張されていたのかをかえって感じたのでした。
きよしさんはオープニングトークで、来場してくださったことにていねいにお礼をおっしゃっていたのですが、そのうちに、
「皆さん、もうCDを買ってくださって持っていらっしゃるのに、また買っていただいて...」
そこまで言うと、言葉につまってしまったのです。
その日の握手会への参加は、会場で「一剣」のシングルCDあるいはアルバム「演歌名曲コレクション6~一剣~」を購入することが条件となっていたのですが、きよしさんはそのことを心苦しく思っていらしたようでした。
そんな心の内を言わずにはいられなかったのだと思いますが、そうおっしゃってから唇を噛んでいらしたので、そんなきよしさんの姿にスターでありながらファンに相対した時、こんなにまで正直な人がこの世のどこにいるかしら? と私は思い、切なさと感動で胸が痛くなったのです。
きよしさんは、居住まいを正されてから、
「ありがとうございます。僕は皆さんの今日のこのご恩を一生忘れません」
声をふりしぼるようにしてそうおっしゃり、深々と頭を下げられたのでした。
そんなきよしさんの姿、言葉から感じた真心と誠意を私こそ、一生忘れないと、その時、強く思ったのです。
 
手帳にイベントでの感激が書かれていましたので、その内容をもとに書いてみます。
イベントのオープニングトークが終わると「箱根八里の半次郎」、「大井追っかけ音次郎」、「きよしのドドンパ」、「きよしのズンドコ節」、そして「白雲の城」と熱唱が続いて、
ラストにもう一度「一剣」をフルコーラスで歌ってくださったのでした。 
私はDブロックになったので、握手は最後のグループ。
おかげでずっときよしさんを見ていられることになったのです(喜!)。
会場がビッグサイトだなんて音響は大丈夫なのかしら? なんて生意気にも心配していたのですが音響も期待以上によく広い会場でしたがステージを囲んで座席がセッティングされている為、きよしさんとの距離を感じることもありませんでした。
そして「きよしのドドンパ」を歌っていらした時のこと。
突然天上から8色の風船が降ってきたのでした。
色とりどりの風船はふわふわと舞いながら、客席の方へ流れるようにどんどん転がってきて...。
風船には”7th”がデザインされたHKのロゴと、”ありがとう”の言葉が書かれていて、夢のようでした。
 
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ライブが終わると、きよしさんは黒のスーツに着替えられ、握手会は午後2時10分にスタートして終了したのは6時48分でした。
きよしさんは途中何度か水分補給をしただけで5時間立ちっ放しでしたが、そんな握手の合間にも「皆さ~ん、大丈夫ですか~?」
と何度か客席に呼びかけたり手を振ったりして気づかってくださったのです。
私たちDブロックに順番がきたのは6時を過ぎてからでしたので、握手の時はお礼を一言だけ言わせていただけたらと思っていたのですが、
握手の順番になって目が合った瞬間、きよしさんが
「こんにちは!」
と明るい笑顔でおっしゃってくださったので、胸がいっぱいになってしまいました。
「いつもありがとうございます」
と、私、何とか言えたでしょうか?
きよしさんは
「とんでもないです。こちらこそ...。ほんとうにいつもありがとうございます」
と言ってていねいに会釈してくださったのです。
その折り目正しくさわやかなきよしさんの様子は、握手会がスタートしてから4時間以上経過し、すでに4000人以上の方と握手をされた疲労をまったく感じさせなかったのです。 
 
私がここまで書いてきて感慨深く思い出すのは、きよしさんのオープニングトークなのです。
すでに「一剣」のシングルCDやアルバム「演歌名曲コレクション6~一剣~」を購入しているファンに、さらにもう1枚、握手会のために購入してもらうことについて、きよしさんは思わず正直な気持ちを言葉にされたのですが、参加しているファンは皆了解していることだったと思いますし、もしかしたら公の場では控えたほうがよかった発言だったかもしれません。
でも、司会の西寄ひがしさんの最近のトークで、私がとても共感できるもののひとつに、
”氷川さんの場合は、それでよろしいんじゃないでしょうか”
というものがあるのですが、まさにそう思える瞬間だったと思うのです。
 
きよしさんはある時期まで、多忙なスケジュールの中でも、いただいたファンレターにできる限りお返事を書いていらしたそうですね。
またプレゼントされた花束がうれしくてありがたくて、ドライフラワーにして大切にされていたことは皆さんもインタビューなどでお読みになられたことがあると思います。
そして、ファンからのプレゼントも状況が許せば手渡しで受け取られ、直接お礼をおっしゃっていたのです。
きよしさんはそんなふれあいが嬉しかったのでしょうし、一人の人間として貫きたい姿勢、通したい筋というものを若くてもしっかり持っていらしたのだと想像します。
けれども速度を増す人気の高まりと共にそれらも物理的に難しくなり、あるコンサートではステージ上のきよしさんにプレゼントを渡そうとされた方が係の方に止められる出来事があったそうです。
きよしさんはできることなら受け取りたかったでしょうけれど立場上そうもできず、その後の歌唱で涙されていらしたと参加された方からうかがいました。 
きよしさんはスターである前に一人の人間として誠意を返していきたいという思いをずっと抱いていらしたので、ファンにお金を使ってもらうのを申し訳ないとさえ思っているようでしたが、私は、この”7周年感謝祭”以降、きよしさんは、自分が氷川きよしとしてファンにお返しするものは歌であるということを確信されたのではないかと思うのです。
贈り物を直接受け取ってきちんとお礼を言わせていただくことや、いただいたお手紙にお返事を書くことがかなわなくても、CDを複数購入していただくことになったとしても、自分が納得できる歌唱を届けることができたなら、必ず”ありがとう”という思いはファンに伝わると、心の深い部分で納得されたのではないかと感じたのです。
この”納得できる歌唱を届ける”ということはクオリティだけでなく、歌うための良い状況を作っていかなければならないので、そこに賞を受賞することや、セールス記録を伸ばすことも含まれているのだと勝手ながら思っています。
ですので私は、きよしさんがコンサートで時折、”大きなホールで歌わせていただいていますが、小部屋で1対1で歌わせていただいているつもりです”とおっしゃる言葉の裏に、デビュー以来の数年に及ぶ苦悩と葛藤を経ての心からの言葉と感じて、なんだかじんときてしまうのです。
    
※すみません。文字数収まらず、次の記事に続きます。