「僕を信じてついて来てください」
高校生の時に演歌歌手を志してから今日までを振り返り、そしてご自身が目指されている目標を語ると、きよしさんはそうおっしゃったのです。
その声はどちらかというと涼やかで、けっして激しいもの言いではありませんでした。
でも不思議ですが、だからこそきよしさんの真心がすうっと私の心の奥底にダイレクトに届いたのです。
おかしな言い方かもしれませんが、私の意識より先に私の心が「はい」と答えて、私自身を驚かせたのでした。
 
「僕も今年35歳になりますが、目を閉じて開けてみたら35歳になっていた。そんな気がします。
デビューしてまる12年。僕にはファンの皆さんとの想い出がいっぱいあります。それ以外には...」
と言いかけて、逡巡されて、
「それ以外には何もありません」
場内のえっ?という反応にもまったく動じずに、
「僕にはファンの皆さんとの想い出があります」
しみじみと言葉をかみ締めるようにしてもう一度そうおっしゃったのでした。
「心ある方かたちに支えられてここまで歌ってこられたので、ご恩返しをさせていただけるような氷川きよしになりたいです」
 
昼夜参加させていただいたので、両方の印象を昼夜分けずに書いていくことをご了解ください。
オープニングの「獅子」からパワー炸裂です。
そんなきよしさんに、まるで今日初めてその歌声を聴き、そしてお会いできたような気持ちにいつもさせられます。
さて、 司会の西寄さんが
「コンサートは氷川きよしにとって男の居場所。そしてファンの皆さまとの絆を深める場所でもあるのではないでしょうか」
とおっしゃったのですが、その言葉にじんときてしまいました。
皆さま、何だかじんときませんか? 
私、あらためて西寄さんに言葉で表していただいて、なるほどそうだなあと思えて、こうして今書いていてまたじんときてしまうのです。
 
さて、この日は13日にリリースされる「演歌名曲コレクション16~櫻~」の話題がはずみました。
いよいよ発売まで1週間をきりましたので今はわくわくドキドキしますが、思い返せば第1弾はデビュー2年目にリリースした「演歌名コレクション 大井追っかけ音次郎~青春編~」(2001年6月21日リリース)。
この時はシリーズ化を具体的には考えていなかったのでしょうか。そういえばタイトルにも「1」は入っていませんね。きよしさんも、 
「このシリーズがこんなに皆さまに愛していただけるようになるとは思っていませんでした」
とおっしゃっていました。
収録曲を紹介されると、客席から「錆びたナイフ」とタイトルをおっしゃった方がおられました。その方はとてもその曲がお好きなようでした。
きよしさんは、”そういえば...”と選曲についての思い出を語ってくださったのでした。
「『錆びたナイフ』は4年前にアルバムに入れる候補になったのですが、長良会長に”まだ若いから、もう少ししてからにしろ”と言われて、今回になったんです」
そして「王将」はきよしさんにとって自信作の様子で、とりわけ楽しみですが、
「『王将』は5年前にレコーディングして、こちらもまだ若いからと収録は見送りました。
今回あらためて録音したのですが、長良会長に”いいじゃねえか!”と言っていただきました」
そんな貴重なエピソードをさりげなくお話ししてくださって、
さらに今現在のきよしさんの思いが凝縮されているとおっしゃる「回転木馬(メリーゴーランド)」について、
「I love(アイ・ラブ) 回転木馬(メリーゴーランド)!」と大きな声でおっしゃったのです。
まさに「I love(アイ・ラブ) 演歌名曲コレクション16~櫻~」というお気持ちなのでしょうね。
 
千葉県文化会館は会場に入ると広いエントランスがあります。1階席のロビーはかなりゆったりしたスペースになっていますが、その真ん中にきよしさんの”櫻”の絵が展示されていました。
原画の大きさは正確ではないかもしれませんがほぼB4サイズ。マット額装になっていますが原画の上にはアクリル板やガラスなどをのせず素のままで展示されていました。
前日には拡大されスクリーンに映し出された状態で拝見しましたが、原画はいっそう鮮やかな色彩で、きよしさんの心をそのまま映し出したようでした。きよしさんがこだわったとおっしゃっていた空のブルーのグラデーションも繊細で美しいなあと感じたのです。
コンサートで西寄さんがロビーでの原画初展示について、
「美術館のようなディスプレイになっていましたが、皆さま、ご覧になられましたでしょうか?」
とおっしゃると、大きな拍手が起こったのです。
するときよしさんは
「お恥ずかしい」
とひと言おっしゃってから何度か会釈されたのです。
そういえば6日のイベントの折に、その絵を2時間ほどで描かれたとおっしゃったきよしさんに、西寄さんが
”筆に迷いがないということですね”
と作品をご覧になりながらおっしゃったのですが、ほんとうにそうだなあとこの日原画を見てあらためて感じました。
きよしさんは、
「もっと勉強して、20年後の54歳の時に、個展をやりたいですね。その時まで、皆さんお元気でいてくださいね」
とおっしゃって。
にこやかにそうおっしゃったきよしさんへの反応には苦笑も混じっていて、なんだか和やかなムードになったのでした。
前日6日に「櫻」のスペシャルイベントが無事に開催されたことを報告され、あらためてお礼をおっしゃったのです。 
「 皆さんの作品、素晴らしかったです。お上手ですし個性があられて。”あられて”って言い方おかしいですかね?」
きよしさんがそうおっしゃって西寄さん方を見ると。
"氷川さんの場合、よろしいんじゃないでしょうかね”と絶妙なフォローでした(笑)。
「 皆さんの思いがパッと詰まっているんだなって思って感動しましたね。僕も以前撮った夜桜の写真があったんですよ」
きよしさんには気に入っていて私たちに見せたいと思ってくださっていた夜桜の写真があったそうですが、。すっかり忘れていらしたそうです(笑)。きっと絵のことで頭がいっぱいだったのでしょうね。
さてその写真は長崎の思案橋の近くにある桜を撮影したものなのだそうです。
思案橋の夜桜ですか...。
以前、きよしさんが「NHK歌謡コンサート」で歌ってくださった”思案橋ブルース」がよみがえってきた私です。
いつか見せていただきたいですね。
 
そして陶芸の話題もはずんだのです。 
「最近、陶芸を始めたんですよ。僕がいちばん好きなものは歌ですけど。
歌は僕の仕事ですから趣味とはいえない面があって、責任もあるというか。
ものづくりが好きなので、陶芸を楽しむことで心が豊かにもなりますし、それがまた歌にいい影響を与えてくれるかなって思って。
陶芸をしていると優しく穏やかな気持ちでいられますからして(突然博多弁に!)」
きよしさんは、これまでに湯のみ、ご飯茶碗、丸皿などを作られたそうです。
こちらもきっといつか見せていただけそうで、楽しみですが、この話題から、夫婦演歌の話題にと転じていき、この記事の冒頭での発言となったのでした。
「嫁さんと畑を耕して、喫茶店をやってですね」
ときよしさんが言いかけると、嫁さんという言葉に一瞬にしてブーイングが起こったのですが(笑)、そのブーイングに空かさずきよしさんは、
「”心の妻”だから」と涼しいお顔でおっしゃったのです(笑)。
きよしさんとしては、いろいろな人生の経験をして60代くらいの時に夫婦演歌を歌いたいという夢を抱いていらっしゃるのだそうです。
そのことをお話しされるきよしさんを横で見つめていらしていた西寄さんが
”ついて行きます”ときよしさんにおっしゃると、
”ついて来いよ”というような言葉を返し、”うん”とうなづくような仕草をされ、西寄さんに向き直って肩を抱き寄せられ、一瞬にして”夫婦寸劇”となったのでした(笑)。
”これにて本公演は終了致しました”そんな言葉で西寄さんが締めくくられ、場内がわっとわいたのでした。
 
「僕はまだ単品です」
”単品”という言葉にどっと笑いが起こりました。
「僕は昔の歌を歌わせていただいて、素晴らしい歌がたくさんあって本当に勉強させていただいます。
そんな中でも、僕は今生きているこの時代でこその新しいものを表現したいという思いがあるんです。
過去を美化したり、今の世の中を批判するのは簡単だけど、それをいい方へ変えていくことは大変なことですよね。
僕、高校生の時、演歌を歌っていたら、”ダサい”とか、”やめれば”ってよく言われたんです。でもそう言われたり思われたりすることで、逆に負けん気が出てきたんです。
高校生の時にそんなことを思った僕だから、今、こうして演歌を歌っていられるんだなって思います。
皆さん、僕を信じてついてきてください。
皆さんを代表して舞台に立たせていただいているのだといつも思っています。皆さんの心を僕が代表して歌わせていただいているのだと。だからこそ、素晴らしい歌に出会って、誠実に真心をこめて歌わせていただいて皆さんに喜んでいただきたいという思いにさせられるのです。
アルバムには僕のそんな思いを込めさせていただいつもりです」
 
そういえば、昼の部のトークの時に、
「最近、世の中にはやっぱり愛が足りないと思っているんです。
誰だってやっぱり自分がいちばんかわいいかもしれんけど(ここでも突然博多弁に!)」
と、ここできよしさんが西寄さんの肩を抱き寄せたのです。
"司会者になってよかったっ!”とおっしゃった西寄さんでした(笑)。
 
そしてこの日も家庭菜園の話題で盛りあがったのです。
「 ベランダのプランターは10台くらいですが、1つが1メートルくらいあります。高さは5~60センチくらいかな。この間、馬糞を、あっ、馬糞じゃないか(笑)、牛糞を混ぜたんですよ。今はトマト、ナス、きゅうりができてきています。ゴーヤはツルがすごく伸びて金柑にからんでしまって困ったので、今年は作っていないんです。やっぱり限られたベランダのスペースの中で考えて作っているんですよ」
そういえばこのエピソードも先のご報告でかけなかったのですが、6日のイベントのトークの時に、西寄さんがきよしさんからプチトマトの種をいただいてご自身も作り始めたらはまってしまって10鉢にもなっていることを教えてくださいました。
歌だけでなく、そんなふうにいろいろな素敵なことをまわりの方に伝えて...。人を幸せにするきよしさん、素敵ですね。
 
”この日は後輩にもっと頼ってほしい”なんておっしゃっていたきよしさんでしたが、その歌、生き方で物言わずとも思いやメッセージが伝わっているのではないでしょうか。そう感じます。
 
和やかで熱いトーク。そしてふと語られる長良会長のエピソードが心に響きます。
そしてそんな魅惑のトーク以上に情熱的で愛あふれる”氷川きよし”の歌声に魅了されずにはいられないのです。
きよしさんの歌声にわれ知らず涙をこぼされたことが、皆さんもおありではないかと思います。
私にとってコンサートは”氷川きよし”をまるごと、ダイレクトに感じられるところ。
その醍醐味は何ものにも代えがたい幸せです。
 
駆け足でトーク中心のご報告になりましたが、皆さまにお伝えしたかったこと、思い出すままに書いてみました。
また記憶違いや、後になって思い出したことがありましたら、後日書きますね。
 
それではまたお会いしましょう。
 
※皆さま、お心のこもったコメントをありがとうございます。感謝しています。
ありがとうございます。