ラジオで生放送をお聞きになられた方にはご存知の内容になりますが、NHKホールでおこなわれた「のど自慢2012 チャンピオン大会」の観覧に行ってきました。
平成23年に放送された各回のチャンピオンの中から選ばれた15組の方がグランドチャンピオンを目指して、歌声を披露されました。
私は個人的に、きよしさんがゲスト出演された沖縄県・那覇市で開催された「NHKのど自慢」でチャンピオンになられたグラシエラ仲宗根さんの「羅生門」が聴けることを楽しみにしていました。
司会は徳田章アナウンサー。
ゲストは香西かおりさんときよしさんです。きよしさんは”櫻”のグレー(薄墨色)バージョンのジャケットを着用され、28日の「NHK歌謡コンサート」で、すでに多くの皆さまがご覧になられたように、髪を短めに切りそろえていらして、何だか初々しくて、かわいらしい印象でした(30代の男性にかわいいなんて失礼でしょうか?)。
審査員は秋元康さん、伊戸のりおさん、井ノ原快彦さん、弦哲也さん、つのだりょうこさん、宮本笑里さん、そしてNHK側から古谷太郎さんでした(昨年は水木れいじ先生が審査員でしたね)。
徳田さんは、今回で4たび、チャンピオン大会の司会をされることになったそうで、そのことを”幸せです”とおっしゃっていました。
舞台のセットはゴールドを基調にした華やかな雰囲気のものでした。
幕が開くと中央に楽団の方、左右の階段の上から下まで15組の出場者が勢ぞろいされ、舞台上手側に置かれたグランドチャンピオン(1名)と優秀賞(2名)のトロフィーが、ライトにあたってきらめいていたのです。
優勝は、大川栄策さんの「はぐれ舟」を歌った大阪府の高校2年生、徳永優樹さんでした。
おじいさんもご両親も大の演歌好きという環境で育ったそうですが、すでに誰の真似でもないオリジナルの声を持っていらっしゃると感じさせられましたし、場内の反響も圧倒的に大きかったようです。
歌が上手ということなら、他の出演者の方も皆さん歌の名手。素晴らしい歌唱ですが、徳永さんの声は、初めて聴くようで誰にも似ていない、けれども懐かしいような気持ちにさせられるように私には思えたのです。
講評で弦先生が、この日の皆さんの歌声には
”強さ、優しさ、あたさかさがあったけれども、彼にはさらに味がありました”
というようなことをおっしゃっていたかと思います。
徳永さんのことを、香西さんは”演歌を歌うために生まれてきたような人”。
きよしさんは”貫禄がありますね”と褒められ、
徳永さんはもう一度「はぐれ舟」を歌われたのですが、その際、応援にいらしていたおじい様とご両親が舞台に上られ、上手側におられたきよしさんと香西さんに、ご挨拶されていたようで、お2人はうなずかれ会釈されていらしたのです。
徳永さんが歌い終えると、ご家族が花束を渡され、きよしさんたちに丁寧にご挨拶されていらした、お母様は感動して泣いていらしたのです。
きよしさんもそんなお母様をご覧になって、目が潤んでいらっしゃる様子でした。
さてここで前説にまでさかのぼりますが、ディレクターさんが気さくで冗談を連発される(?)とても楽しい方でした。
出演者の応援団の方の用意されたボードやうちわ、横断幕がテレビに映った時にさかさまに見えたりするのことのないように、細かなチェックをされていたのですが、以前、”家族の絆”とボードをあげるところを、”家”の文字を上げる方が上げ忘れたため、”族(ゾク)の絆になってしまったことがあったんですよ(笑)”。
なんてお話しもされていて、ついつい笑されてしまうのでした。
3組歌うごとに審査員の講評をいただくのですが、きよしさんはそれぞれの組の最初の方が歌い終わると、舞台にいらして、客席から見てその方の右側に立たれて感想をおっしゃられたのです。
記憶のまま(少しメモをとったのですが)に書いてみますと、
1番の斎藤さんの歌唱には
「感謝の気持ちが伝わってきました」
とおっしゃり、
4番目の中野さんには
「母親としての強さが歌に出ていました」
と感想を述べられましたが、中野さんは、きよしさんが先日「新春演歌まつり」で先輩の田川寿美さんのために歌われた「祝い船」を披露されていたので、中野さんの歌唱も素晴らしかったですけれども、ちょうど1週間前に聴いたきよしさんの歌唱を思いうかべ、同じ歌でも歌い手によってこんなに表情が変わるものなのだなあと感じ入ったのです。
7番目の原田さんは自衛官。制服での登場でした。
「(制服姿)かっこいいですね。力強くあたたかく、包容力が感じられました」
というようなことをおっしゃいました。
11番目は台湾からいらした陳さんでしたが、
その熱唱に、きよしさんは
「今日の陳さんの歌声は海を越えてお母さんの心に届きましたね」
と力強くおっしゃったのです。通訳の方がきよしさんの言葉を陳さんに伝えてくださって、陳さんは喜ばれている様子でした。
そして最終グループでは16歳の大越佑華さん。今回の出場者の中で最年少です(最年長は阿部弘さん、79歳です)。
「佑華ちゃんの真っ直ぐに生きている心が歌声に出ていて素晴らしかったです」
と、きよしさんは、ちゃんと”佑華ちゃん”とお名前を入れてお話しされ、以前の”NHKのど自慢”でも、コメントをされる方のお名前を呼びかけておられたことがありましたが、今回もまたごく自然にそのようにされたきよしさんのこまやかな心配りに感心してしまいました。
私が楽しみにしていたグラシエラ仲宗根さんはアルゼンチンで暮らす日系3世。音楽の勉強をされているそうですが、タンゴと演歌は相通じるものがあると感じていらっしゃることを話してくださったのです。
タンゴと演歌...。
そういえばきよしさんは以前「NHK歌謡コンサート」でフランク永井さんの「霧子のタンゴ」を歌ってくださったことありましたけど、いずれはオリジナルでタンゴも歌ってくださるのかしら? と想像してしまい、期待でドキドキしたのです。
仲宗根さんは原田さんとともに優秀賞を受賞されました。
おめでとうございます!
そして、これもご縁でしょうか? 仲宗根さんが出場された沖縄県那覇市で開催された「NHKのど自慢」でのゲストだったきよしさんが、仲宗根さんにトロフィーをお渡ししたのでした。
15組が歌い終わると審査員の皆さんは別室に移動され、ゲストの歌のコーナーになり、まず、きよしさんが「櫻」を歌ってくださったのです。
透徹したまなざしの美しさにうっとりさせられながら、熱く静かに心にしみわたる熱唱に聴き入ったのでした。
そして私、その時、ほんとうに不思議な思いがしたのです。
日本全国から選ばれた綺羅星のような15組の出場者の皆さんたちは、どなたも魅力的な声と豊かな声量の持ち主で歌を愛する方たちですが、その方たちの中にあって、尚、いっそう輝き、聴く人の心を惹き付けてやまない歌声の”氷川きよし”という歌手が、どんなに稀有な存在であるのかを感じたのでした。
さらに、きよしさんが天から贈られたその歌声を、どれほどの努力を重ね今日まで磨かれてきたのかをもまた感じて胸熱くなったのでした。
この日、出演された皆さんは、きよしさんが「NHKのど自慢」に出場したくても最初の抽選で当たらず、その夢がかなわなかったことをご存知でしょうか?
きよしさんと香西さんが歌い終えると、舞台には昨年6月に福島県田村市で開催された「歌おう!東北のど自慢」に出場された皆さんが登場されました。
田村市では3月12、13日に「NHKのど自慢」が開かれる予定でしたが、3月11日の震災の影響で中止になり、会場になる体育館も一時は避難所になっていたのだそうです。
皆さんは、大切なものの写真を貼ったパネルをお持ちになりました。
皆さんは、大切なものの写真を貼ったパネルをお持ちになりました。
香西さんときよしさんは舞台の上手に立たれていたのですが、一番上手側の方が大切なものを”3人のお孫さん”にされていて、お孫さんの写真が貼られたパネルをご覧になりながらその方とお話をされていました。
2年前に撮影した桜の写真をお持ちになっている方もおられたのですが、現在まだ立ち入り気禁止区域になっているのだそうです。
”早く再び、その桜を見たいです” と、おっしゃっていました。
香西さん、きよしさんも一緒に皆さんと、西田敏行さんの「あの街で生まれて」を歌ってコーナーの締めくくりとなったのでした。
結果発表になると、 井ノ原さんが、皆さんの熱唱に審査が難航したことをお話しされ、
”自分も帯を締め直さなければと思いました”
とおっしゃると、きよしさんは、”うん、うん”と井ノ原さんを見つめて深く頷かれていたのでした。
ラストはバーン! と大きな音がしたかと思ったら、金銀色とりどりのテープが客席にきらきらと舞ったのでした。
皆で大きく大きく手を振ってお別れとなったのですが、にこやかに舞台上手袖に入りかけたきよしさん、突然踵を返して舞台に戻ってこられました。
なぜだと思います?
そうです。演奏をされていた楽団の方に一礼をするために戻られたのでした。
きよしさんのそんな律儀さに、また微笑ましい気持ちにさせられたのです。
福岡で2日間4公演を終えた翌日、この舞台に立たれたきよしさんでしたが、歌を愛し、この1曲、一瞬にすべてを懸けて歌われた15組の方の熱唱に、その歌心が共鳴されたのでしょうか?
終始、楽しそうに、幸せそうに微笑まれていらしたのでした。
※テレビでは17日(土)午後7時30分~午後9時に放送予定です。