”あー、歌ったー!”
「きよしのMerry X'mas」を歌い終えると、きよしさんはそうおっしゃったのです。
晴れ晴れとした笑顔でした。
15日昼の部でのこと。歌っている時に何度か涙ぐまれた様子で、それでも泣くまいと明るく最後まで笑顔で歌い終えたのです。
2011年の最後に、ファンをはじめ、出会ったすべての方たちへの愛、感謝の思いをぎゅっと詰め込んで生まれた「きよしのMerry X'mas」。
そのひとことひとことはきよしさんの真心が言葉という衣をまとったもので、言葉のおかげできよしさんの真心が形を得て、私たちのハートに届くのではないかしら?
そんなことを思いました。
” 今年もありがとう 元気をもらったよ”
”あなたと過ごした1年が最高のプレゼント”
”あなたと重ねた瞬間は永遠の宝物”
ひとことひとことをいとおしむように、そしてひとりひとりの心にちゃんと届くように歌ってくださっているのを感じて...。涙があふれてきたのです。
その時、ふと目に入ったお隣の席の方も涙をふかれていたのですが、見上げたきよしさんも、涙ぐまれているように見えたのです。きっと他の方も同じ気持ちになっていたのではないかしら? そう感じました。
”望んだら だれだって 幸せに手が届く”
”世界中に愛が満ちるように 歌うよ メリークリスマス! きよしのMerry X'mas”
何てあたたかな方、そして何てやさしい方なのでしょう。
100人に満たない集まりの場でも、5000人を収容するこの巨大なホールにあってもきよしさんは少しも変わらないのですね。
”届くように”とおっしゃるけれども、私が勝手に付け加えさせていただくなら、きよしさんはさらに”届くのだ”と心から信じて歌い、お話しされ、ちゃんとファンひとりひとりの顔が見え、声が聞こえているのだと感じられるのです。
そんなことができるのは氷川きよし唯一人とは言い切りませんが、私はきよしさん以外にそのような方を今のところ知り得ません。
きよしさん、リハーサルの時に、2階席から舞台がどのように見えるのか、実際に上がってみたのだそうです。きっときよしさんのことですから、頂上にまでいらしてみたのではないかと想像しますが、
「急になっていますので、お足元に気をつけてくださいね!」
と2階席の方とやりとりをされた時にさり気なくおっしゃっていたのです。
そして15日の夜の部のトークで、
「2日間、4公演。お忙しい中、お越しくださってありがとうございます。2日間4公演で2万人の方にお越しいただいて、心から感謝しています」
そして、少し沈黙されたかと思ったら、
「たくさんの方にお越しいただいて、このような立派なホールで歌わせていただいていますが、僕はやっぱりおひとりおひとりの心に届くようにと歌っています」
静かに、でもきっぱりとおっしゃいました。
きよしさん、皆、わかっています。
届いています。
だからこそ、これほどまでに感動するのです。そして一緒に涙があふれてくるのです。
きよしさんがひとりひとりを思って歌ってくださるから、何度でもきよしさんの歌を聴きたくなり、何度でも会いたくなってしまうのです。
私、きよしさんの言葉を聞いてそんなことを思ったのでした。
今回、「きよしこの夜Vol.11」では、
”ロマンチックな気持ちになっていただきたい”
という、きよしさんの思いがあったのだそうです。
オープニングで「獅子」を歌ってくださった後は
”歌でめぐる世界旅行”のコーナーで、トークは一切なく、歌とダンス、そして早変わりで魅せてくださった30分間は華やかで夢見ているような時間でした。
そしてきよしさんの万華鏡のように色、表情、きらめきを変える歌唱は圧巻だったのです。
私はそのコーナーの締めくくりである「情熱のマリアッチ」に深く感動したのです。
すべてが「情熱のマリアッチ」すなわち今現在の”氷川きよし”へと続いていくあの感じ、最高でした。
さらにきよしさんからのプレゼントとしてこのコンサートで披露してくださると、きよしさんご自身からメールでお知らせくださった「きよしのMerry X'mas」。
これ以上ないとわかっている最高のプレゼントである「きよしのMerry X'mas」を、私たちが大切な人にプレゼントをする時と同じようにどのようにラッピングしてシチュエーションを作って贈ろうかと思案してくださったのでしょう。
”クリスマスコーナー”は、きよしさんが以前から思い描いていたイメージを実現されたものなのだそうです。
HIKAWA KIYOSHIと筆記体でタイトルが書かれ、HKのロゴが付いた古めかしい茶色の本を開けると、そこにはクリスマスの物語が書かれています。
黒の燕尾服にシルクハット、ステッキを持って口ひげを生やしたきよしさんがタップのステップを踏み、大きな袋をしょったサンタクロースに扮したきよしさんも登場します。そして、元気よくかけまわるココアちゃん、ミルクちゃんも登場し、氷川家一家総出でした(笑)。
人形に扮したきよしさんは、そのまま小さくなってアニメの世界に入っていき、おもちゃ屋さんのショーウィンドーに他のおもちゃたちと並ぶのですが、気がついたら”きよし人形”はひとりぼっち。
でもそこに心ある紳士が訪れ、子供のクリスマスプレゼントに”きよし人形”を買い求めるのです。アニメと実写のドッキングで夢があり、心あたたまるクリスマスストーリーが展開されていきました。
そしてその”きよし人形”が本の中から抜け出てきて私たちの前に姿をあらわしてくださったのです。きよしさんの動きを抑えたジェスチャーは、見事にお人形のようでした。
また4公演を通して、西寄さんが”絆”についてお話しされ、
”絆とはけっして切れることのない強くて深いつながり、氷川さんとファンの皆さまの絆は永遠です”とおっしゃり、2011年、忘れられない思い出を語ってくださったのです。
「4年ぶりとなった今年6月の明治座での座長公演。43公演で6万3千人のお客様を動員しました。座長としての風格を感じました、氷川さんを応援してこられた皆さまは、自分たちの目に狂いはなかったと誇らしく思われたのではないでしょうか...。」
そして、初日の出来事を教えてくださったのです。
初日、開演の数十分前のこと。お客様がすでに入場され、熱気が伝わってくるその緞帳の裏側で、きよしさんは共演者の方に”もう一度お願いします”と、お願いし、立ち回りの確認をされていたそうです。
”これでいい”ということがない、きよしさんなればこそですが、初日まで寝る間も惜しんで練習をされてきたきよしさんが、間もなく幕が開こうとしているその陰で、ギリギリまで努力されている姿に西寄さんは深く深く感動されたのだそうです。
”応援すればするほど応えてくれる歌手、それが氷川きよしではないでしょうか。”
西寄さんのお話が心に残りました。
以前、”自分にあんまり厳しくしないでくださいね”
と、西寄さんがきよしさんにおっしゃったことがありました。
西寄さんはじめきよしさんを支えるスタッフの方は、誠心誠意、妥協なく努力し続けるきよしさんを見守り、自分自身と常に闘っているきよしさんに、何もしてあげられないもどかしさを抱くこともあるのかもしれませんね。
きよしさんは
”僕は皆さんの思うとおりの”氷川きよし”になりたいです。時間も惜しくはありません。”
そうおっしゃっていました。
ほんとうにもったいない言葉をくださいました。
でも”思うとおり”になってくださるのでしたら、
いつでも誰よりも幸せでいてくださることを私は望みたいです。
なぜならきよしさんが笑顔なら、私たちも笑顔になれるから。
そしてきよしさんが幸せなら、私たちも幸せなのですもの!
今、この記事を書いていてあらためてそんなことを思いました。
15日の昼の部で、”どちらからお越しですか?”というやりとりをした時に、陸前高田からいらした方がおられました。陸前高田と聞いて、きよしさんがおうちは大丈夫だったかお聞きになったのです。
”仮設住宅に住んでいます。家は流されました”
と、その方が答えると、きよしさん、
”怖かったでしょう”
とおっしゃったのですが、私はその一言で泣きそうになってしまいました。きよしさんのお気持ちがダイレクトに伝わってきたからです。
”毎日思っています。離れていても気持ちだけは一緒です。皆さんに応援しているからとお伝えください”
そう、きよしさんがおっしゃると、
”大丈夫、ちゃんと伝わっています”
とお返事が返ってきたのです。
アンコールできよしさんのメッセージが流れますが、3月11日の大震災の惨状の心を痛め、からだが崩れるほど慟哭し、何もできない自分をもどかしく思い、自分を見つめ、その中でようやく、自分には歌があると確信されたのだそうです。
”僕には歌があります”
”愛のある言葉を素敵なメロディーに乗せて歌いたい”
”皆さんと同じ思いで歌う。そう決めました”
”前へ明日へ、歌っていきましょう”
共に歩いていきましょう”
そのように呼びかけてくださったのでした。
”時計も暦も12で一周。氷川きよしもまる12年。新たな旅立ちです”
そうおっしゃったきよしさんに、このままずっとずっとついていかせていただきたいと心から思ったのです。
めくるめく華やかで夢のようなステージ...。
目をつぶるとまぶしいほどに輝くきよしさんの姿がうかび、熱唱がよみがえります。
でも、同時に私には、「人生峠」を歌い終え、万雷の拍手の中 拍手が鳴り止むのを待たず、「ありがとうございます」とおっしゃったきよしさん、暗転しているのに深々と会釈されているきよしさんの姿も同時に思い出されるのです。
照明がついていてもいなくても、見ている人がいなくても、自身の心にわきあがる感謝の思いを、当たり前のようにごく自然に表されるきよしさんの姿が思い浮かんで、また胸が熱くなったのでした。
15日夜の部で水木れいじ先生をお見かけしました。
水木先生がいらしたというので、場内がわあっとわき、拍手が起こりましたので、水木先生は一度着席されたのですが、席を立たれて会釈をされたのです。
気持ちとしては、水木先生に5000人全員で「ありがとうございます」と声をそろえてお礼を申し上げたかったです。
きよしさん、今日は「木曜8時のコンサート」の公開収録ですね。
私も感動を胸に仕事がんばっています
皆さま、またお会いしましょう。
※追伸・15日夜の部には水森先生もお越しだったそうですね、教えてくださったPさま、ありがとうございました。