本日6月30日、明治座での座長公演が無事千秋楽となりました。
きよしさん、そしてこの公演に関わった皆さま、応援されていた全国のファンの皆さま、
おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。
 
それはそれは見事な、まさに天晴れな千秋楽となりました。
このブログを始めてから、記事の中で天晴れという言葉を使ったことはまだなかったかもしれませんが、心の底から”天晴れ 氷川きよし” と快哉を叫びたいほどに心揺さぶられ、感動した私です。
 
6月2日に初日を迎え、お稽古を含めると1ヶ月半、”平次漬け”の日々をすごされたきよしさん、
「大変だった時もありましたが、今はさびしいような気持ちです」
コンサートの時にそうおっしゃっていました。
 
私も、舞台が終わってみて、”きよし平次”にもう会えないことが、何だかとてもさみしく思えて仕方ないのです。
理屈ではありませんね。こんなにもさびしいと思わせるほどに、きよしさんの銭形平次が魅力的だったということなのですよね。
きよしさんは、
「演じていてお客さんの思いってわかるんですよ。空気感というんですかね。面白いと思ってくださっているなとか、逆につまらないと思っているなあとか。そんなお客さまの思いを受け止めながら、演じて、できあがった平次です。本当にお客さまと一緒に作り上げてきたのだと感じます」
そんなふうにおっしゃっていました。
 
さて、 「銭形平次 ~きよしの平次 青春編~」、きよしさん、登場された所からすでに涙されていました。最初の台詞を言おうとして、様々な思いが去来したのでしょう。
母親役の大空真弓さんも涙でした。そしてその二人のやりとりを見守る八五郎役の西山浩司さんも涙され、西山さんは思わず干してある洗濯物で涙をふかれていたのです。
”がんばれ、きよし、がんばれ、平次!”
きよしさんの一挙手一投足に皆のそんな思いが向けられていたのではないかと思います。
 
幕開けから、登場される役者さんひとりひとりに場内から大きな拍手がわき起こったのです。
”感動をありがとうございます!”
それは感謝の思いがこめられたあたたかな拍手でした。
共演者の皆さんも、感動を胸に演じているきよしさんを盛り立てようと演技に熱がこもり、随所にアドリブも生まれたのです。
山田スミ子さんは、きよしさんを威嚇した後、”今日で最後だから”と、きよしさんを褒め、
”あたしゃ、あんたに惚れたよ”なんて台詞も飛び出しました(笑)。
また西山浩司さんと回り舞台を使っての谷中散策のシーンで柿を食べるのですが、
西山さんが”最後の柿ですね”とおっしゃったものですから、きよしさんはまた涙でした。
 
休憩を挟んで後半になると、きよしさんは俄然キリリとして平次を演じられたのです。台詞はいっそう冴えて、見得も惚れ惚れするほどにキマるのでした。
私がとりわけ忘れられないのは、多くを学ばせていただいたに違いない横内正さんとの数々のシーンです。
涙を見せず、澱みなく堂々と演じるきよしさんから、横内さんに教えていただいたすべてを、今日ここでお見せし、横内さんに感謝を表したい...。横内さんへの深い敬愛の思いが、ひしひしと感じられて胸熱くなりました。
きよしさんほどの感性の持ち主ならば、横内さんの演技に底知れない奥深さを感じ、畏敬の念を抱かれたのではないかと思うのです。
 
お芝居の後のコンサートで西寄さんが(西寄さんはお芝居を全公演ご覧になられていたそうです)、
「氷川さんは稽古の期間も含めると1か月半平次と向き合ってきましたから、平次とご自身の思いが重なってしまったのでしょうね」
台詞を言いながら感極まって涙されていたきよしさんの姿をご覧になっておられ、そうおっしゃっていました。
私は、そんなきよしさんを見ていて、きよしさんがいつもどんなに掛け値なしにがんばっておられる方かをあらためて感じたのです。
常に見栄や虚勢をはることなく背伸びをせずに、ありのままの自分を隠さず見せているからこそ、自然にあふれてくる涙なのだと感じ、一緒に涙せずいはいられませんでした。
 
愛と感謝に包まれた忘れ得ぬエンディングとなりました。
山車に乗って、口上を言い、銭を投げる”きよし平次”の何と眩しく魅力的なことだったでしょう。
晴れやかな笑顔のきよしさんの目には、涙がキラキラと光っていたのです。四方八方に颯爽と銭を投げるきよしさんに、大きな大きな”平次コール”と割れるような拍手が起こりました。
観客も共演者の皆さんも心をひとつにして大きな声で”平次! 平次!!” と、叫んだのでした。
 
さて、二度目の休憩を挟んで、コンサートとなりました。
千秋楽ということで、きよしさんのトークもはずんだので先に少しその内容を書かせていただきましたが、印象に残ったお話がいくつもありました。
 
「演歌名曲コレクション14~あの娘と野菊と渡し舟~」がトップ10入りした話題になった時には、
デビューして間もない頃に、初代のマネージャーさんに”トップ10に入りたい”ときよしさんが言うと、”もっと現実的なことを言え!”と怒られたことを話してくださいました。
今のきよしさんがお話しされると笑い話になってしまいますが、その当時に、初代マネージャーさんがおっしゃったことは常識的なことだったのでしょう。
でもきよしさんはどんなお気持ちだったでしょう? 22歳の時のことでしょうし、やはり傷つかれたのではないかなあと想像するのです。
そしてきっとその時の思いが、すべてをプラスに受け止めることができるきよしさんに、今の状況を当たり前と思ってはいけないと、初心を思い起こさせるのかもしれません。
 
きよしさんのデビュー時から今日までを振り返る、司会の西寄さんのこの日のラストトークを私は忘れることはできません。
情熱をこめて熱く語る西寄さんのトークは滔々としているのですが、なぜだか聞いていて心がふるえたのです。
なぜこんなに心がふるえるのだろう? そう思って西寄さんを見返すと、西寄さん、泣いておられました。もちろん声を少しも詰まらせず流れるようなトークなのです。でも静かにお泣きになっているのがわかったのです。
西寄さん”今日のこの日は歴史に残る瞬間です”とおっしゃっていましたが、まさに氷川きよしという稀代の歌手が43公演積み重ねて作り出した大いなる感動に、西寄さんこそが誰よりも心ふるわせておられたのではないでしょうか。
そんな西寄さんのトーク、聞くほどに涙がこぼれてきたのです。
 
きよしさんは「海沿いのふるさと」を歌っておられる時に、感極まって涙声になられたのですが、その後は凛として1曲、1曲、一節、一節を堂々と歌い上げてくださったのです。
4年ぶりの座長公演ということで、大きなプレッシャーを抱えておられたそうです。
「自分自身との闘い、挑戦だと思いました。僕は不器用ですけれども、そんな僕が一生懸命お芝居をして、歌うことで、お一人でも、”ああ、氷川きよしだってがんばれたんだから、あたしだって!”と、明日から前向きな気持ちでがんばろうと思っていただけたらと、一生懸命やらせていただきました」
 
「皆さんに見守っていただいて、応援していただいて本当にありがとうございます。僕は皆さんに応援していただいた”倍の倍の倍”、お返しができるように、成長し前進していきたいと思います」
そんなふうにファンへの感謝、そして大いなる決意を語ってくださったのです。
 
そしてラストトークでは思いもかけないことをお話しされたのです。
今回の座長公演の最初の休演日にメディカルチェックにいらした、きよしさん、
「皆さん、健康でいらしてくださいね。検査も受けてくださいね」
とおっしゃっていましたが、この公演中に、友人を亡くされたのだそうです。
「皆さん、元気でいてくださいね。健康でいてくださいね。
実は、僕の友人がガンで亡くなったんです。
32歳だったんですよ...。
3月に子どもが生まれたのに(絶句)。」
きよしさん、そこまで話されて泣いておられました。
 きよしさんにとってかけがえのない大切な方だったのでしょう。きよしさんの心の痛みが伝わってきて、一緒に泣いてしまいました。
 
そして、でも僕たちは命ある限り、皆でがんばって元気で生きていきましょう!
そんな思いを込めて「一剣」を歌ってくださったのです。
私は「一剣」を聴いていて、ぼろぼろと涙がこぼれてきました。
深い悲しみを抱きながらも聴く者に道を明るく照らし、希望を与えようとする、きよしさんの愛に満ちあふれた歌声に感動せずにはいられませんでした。
 
きよしさん、なぜあなたは深い悲しみを抱きながらも、私たちに愛を惜しみなく注いでくださるのですか?
倍の倍の倍にして返すだなんてとんでもありません。あなたは、それ以上の、そう、それはもうはかることなどできないほどの感動をくださったのですよ。
そう思うとまた涙がこぼれたのです。
 
「一剣」でフィナーレとなり、幕が降りると、あちこちできよしコールが!
きよしコールが最高潮に達するのを待っていたかのように再び幕が開き、アンコールは「きよしのズンドコ節」です。
きよしさんは朗らかに声高らかに歌ってくださり、43公演の千秋楽を見事に終えられたのでした。
 
きよしさんが歌い終えると私服に着替えた共演者の皆さんが勢ぞろいされ、西寄さんが紹介されていきました。
そして皆を代表して座長からということで、きよしさんがご挨拶をされました。
共演者の皆さま、支えてくださったファンへの感謝の気持ちを飾らずに、心のままにおっしゃってくださったのでした。
山田スミ子さんが西寄さんに紹介された時、マイクを通さずに「ありがとうございました!」とおっしゃったのを受けて、きよしさん、
「僕も山田さんのように、マイクを通さずにお礼を言わせてください」
とおっしゃり、
「ありがとうございましたー!!」
と大きな声でおっしゃり、万雷の拍手に包まれていよいよ幕が降りたのです。
 
その瞬間、場内のあちこちで、感動とそして遂に千秋楽が終わったのだという安堵とさみしさが混じったようなため息がもれたのです。
拍手は尚、鳴り止みませんでした。きよしさん同様、私たちもホッとした後に、いよいよ”きよし平次”ともお別れなのだと、さびしさがわいてきて、きよしさんや共演者の皆さんに、この思いだけでも伝えたい、そんな気持ちで拍手をしていたのですが、
何と一度ついた場内の照明が再び落ちたのです。そして、もう一度幕がスルスルと上がったのでした。きよしさんを中心に司会の西寄さん、共演者の皆さん、そしてHKピュアリバーの皆さん。そこにはあふれる笑顔があったのです。
 
”天晴れ、氷川きよし!”
あなたの果てしない魅力に、私は11年を経て、また恋してしまいそうです。
 
 
終演後、今回の座長公演の観覧で初めての出待ちをしました。
きよしさんがいらっしゃる前に、共演者の皆さんが、私たちが並んでいる列の横を通って帰られたので、”ありがとうございました”とほとんどの方とご挨拶することができました。子役の皆さんもお行儀が良くて、お洋服姿もかわいらしかったです。
1時間ほどしてきよしさんが出てこられました。
助手席に乗ったきよしさん。窓を全開にし、笑顔でペンライトを振りながら小さく会釈をされていました。黒いTシャツでしたでしょうか(お顔ばかり見ていました・笑)、この公演で3キロほどお痩せになったそうで、素顔のきよしさんは、眉が濃く、あごがシャープになっている印象でした。
 きよしさんの満足そうな静かな微笑み。私の心に深く刻まれたのです。
 
さて、明日はそんな素敵なきよしさんに会えますね。
「プレミア音楽祭 2011夏 ~頑張ろう!にっぽんの歌~」(夜7時~9時48分)。中野サンプラザから生中継です。
 
以上駆け足のご報告で失礼します。
 
※10日ほどブログをお休みさせていただきます。締切が続くので仕事に専念しようと思います。ですので更新がなくても心配なさらないでくださいね。
 
それでは、またお会いしましょう!