皆さんは”伊達直人(ダテ ナオト)”をご存知ですか?
昨年末からニュースなどでその名前を目にしたり、聞いたりされた方も多いと思います。伊達直人が誰なのか、ご存知の方には今さら言うまでもないことですが、梶原一騎氏が原作のプロレス漫画「タイガーマスク」の主人公の名前です。
昨年のクリスマスの日に前橋市の群馬県中央児童相談所前にランドセル10個が置かれ、伊達直人の名前で「子供たちのために使って下さい」とのメッセージが残されていたそうなのですが、今度は元旦に神奈川県小田原児童相談所の玄関前に箱に入ったランドセル6個が置かれ、箱の一つに「お年玉です 伊達直人」と記された紙が貼られていて、贈り主のメッセージには先の前橋の件に感銘を受けての行動だと書き添えられていたのだそうです。
私はそのニュースを聞いて感動せずにはいられませんでした。
子供たちにランドセルを贈るというその行為、そして真心に感動したのはもちろんなのですが、それ以上に深く思わずにはいられないことがあったのです。
 
そのことをお伝えするために少々「タイガーマスク」のストーリーを説明したいと思います。
伊達直人は「ちびっこハウス」という孤児院で育ちますが、ある日、子供ながら大望を抱いて施設を飛び出し、世界的な悪役プロレスラー養成所「虎の穴」にスカウトされます。その後10年間に及ぶ死と背中合わせの特訓を耐えて組織で最高の称号である“タイガーマスク”を名乗ることを許され全米マット界にデビューし、“黄色い悪魔”と恐れられ活躍するのです。
そんな直人は「ちびっこハウス」に親戚の遺産でお金持ちの”キザ兄ちゃん”として姿を現し、子供たちにプレゼントを届け、施設の資金援助をするのですが、彼は物だけでなく、さびしい子供たちの目線に立って子供たちの遊び相手、そして話し相手になるのです。子供たちは”キザ兄ちゃん”と直人のことを慕うのですが、施設が多大な借金で立ち行かなくなっていることを知った直人は私財を投げ打って施設を救うのです。
ところがそのために虎の穴に納める上納金(ファイトマネーの半額)を納められなくなり、裏切り者として組織に命を狙われることになってしまいます。
「虎の穴」を裏切ることになった直人は日本のリング界にタイガーマスクとして登場。「虎の穴」で身に着けた反則スレスレのダーティーなプレイをすべて封印して活躍し、一躍ヒーローとなるのです。
もちろん「ちびっこハウス」の子供たちにとっても憧れのヒーローですが、子供たちの前に姿を現す時には、あくまでちょっとすかした”キザ兄ちゃん”であり、彼らのために命がけで組織から送りこまれてくる屈強なレスラーたちと命がけで闘っているタイガーマスクであることを気取らせもしないのです。
そして最後の刺客として送り込まれてきた「虎の穴」最高のレスラーと闘う時、ギリギリまで追い込まれ、自分が生きるためというよりも愛する人たちを守るために、やむを得ず封印を解いて「虎の穴」で身に着けた忌まわしい反則プレイをも駆使して勝利を得るのです。タイガーマスクのマスクがずれて、人の顔も世間にされされてしまいます。彼らを守るためだったとはいえ、ちびっこハウスの子供たちには見せたくない姿でした。
その後、なすべきことをすべて終えた直人は、一人どこかへ去っていくのです。
 
アニメを見ていて深く感動した私は、子供心にも悲しくやるせない思いになり、その思いは大人になってもずっと忘れることはありませんでした。
 「タイガーマスク」のアニメは再放送も含めると、今30代~50代の人たちの多くがその子供時代に見ていたことになるのではないかと思うのですが、私の弟は「タイガーマスク」は自分の生涯ベスト1アニメだと言っており、今回も前橋のニュースは弟からいち早く聞いたのです。
弟は
「伊達直人と聞けば、その思いが、わかる人にはわかるんだ」
としきりに言い、とても感動している様子でした。
そして、そのことを聞いた私も感動せずにはいられませんでした。
「タイガーマスク」の伊達直人の自分のすべてを投げ打って、陰ながら子供達を守ろうとする行動は、まさに無償・無私の愛ゆえだったのだと思うのですが、そのような言葉を知らずとも、直人の深い愛は子供達の心に小さな愛の灯りをともしたのでしょう。種が蒔かれていたといっても良いかもしれません。
ああ、こうして数十年が経っても、ともされた灯は消えることなく、蒔かれた種は芽を出し成長して愛の木になった。そういうことなのかなあとしみじみ思いました。
そしてそんな一人の方のとった行動に呼応してまた行動をとられた方がおられたなんて。
きっとこのお二人の行動で「伊達直人」という名前を聞いて、ああ、伊達直人を忘れていない人がいたんだと感動し、そしてあの伊達直人の深い愛を、そしてその愛に感動した幼き日の自分を思い出した方が全国にたくさんおられると思うのです。
そしてそれぞれが今の自分を見直し、さあ、今、自分ができることをやっていこう! そう思っているのではないでしょうか。
 
今回はきよしさんの直接の話題ではありませんでしたが、いつもきよしさんがおっしゃっておられる”心”。
目には見えなくてもたしかにあり、こうして時を経てもそのともされた灯は消えることがないのだとあらためて感じたのです。
  
下記画像は左が前橋、右が小田原の施設に贈られたランドセルです。
 
 
 
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