皆さま、いつもご来訪くださり、ありがとうございます。
日にちが変わってしまいましたが、14日に開催された「きよしこの夜Vol.10」夜の部に参加してきました。
今年1年の感謝を込めて、コンサートのご報告をさせてください。
今回の「きよしこの夜」は10回目ということで、きよしさんご自身が誰よりも感慨深かったのではないかと想像するのですが、コンサートの構成はもちろん、随所にきよしさんの「これまでありがとうございます」という深く熱い思いが感じられ胸が熱くなったのでした。
そして東京国際フォーラム ホールAという大きなホールにも関わらず不思議なほどにきよしさんを身近に感じ、そのあたたかな真心がじわじわっと伝わってきたのでした。
もちろん衣装やセットも趣向を凝らしたものでしたが、何よりもきよしさんご自身がトーク、ダンス、舞、殺陣といった様々な技で観客をさらに魅せてくださり、氷川きよしという、演歌歌手の枠を大きく超えたアーティストの姿を見たのです。
そしてやはりこの日も感じたのですが、きよしさんは常に「お客さんを喜ばせたい」という一心なのですね。どんなに素晴らしく歌えるようになっても、そのシンプルな思いは少しも変わらないように感じます。だからこそ、きよしさんには驕りや慢心というものがないのでしょう。
 
さてオープニングではステージ後方のスクリーンに砂漠の映像が映し出されました。水も緑もない死の世界です。そこにアラビアのロレンスを思わせる出で立ちのきよしさんが登場します。顔を覆っていたベールをはずし、砂漠を見渡します。すると黒煙をまとった複数の妖魔が現われ、きよしさん目がけて燃える魔球を投げつけてくるのですが、きよしさんの手からエネルギーが発せられ、その魔球を寸前で止め、黒煙に包まれた魔球は、水色のエネルギーに変わり、反対に妖魔を消滅させたのです。
きよしさんの手から発せられるプラスのエネルギーは砂漠を蘇らせ、砂は土に、そして川が流れ緑の木が繁り、花々が咲き、蝶々が舞うのでした。
そしてそこで、まさに”愛の砂漠の戦士”のようなきよしさんが、スクリーンから飛び出してきたかのようにステージに登場し、「虹色のバイヨン」を歌ってくださったのです。
きよしさんの、これまでにないほどのエネルギッシュな振りに場内にどよめきが起こりました。
これこそ動と静の妙味ではないでしょうか――。イントロや「♪バイバイ バイヨン」の部分では全身が音に身を委ねたかのように激しくしなやかに動き、歌いどころ、聴かせどころでは動きを抑えて歌うのです。
言うことなしの大満足です。そんなわけで1曲目から激しく(?)感動してしまった私なのでした。
衣装は歌っている途中で早変わり。ロレンス風の衣装を脱ぎ去ると、赤のノースリーブにゴールドの布地がベスト風に付いています、両腕とウエストには同じゴールドの布が巻かれ、ウエストにはさらに細いゴールドのチェーンが何重にも巻きつけられ、パンツは赤いラメの入ったような布地でできていて裾がすとんと落ちています。そしてよく見たら、それらにはコイン大のスパンコールが付いていて、ライトを浴びてキラキラと虹色に輝くのです。靴はゴールドで先がくるっと尖っているアラビア風で、額にもゴールドのバンドを付けていました。
きよしさんが、ご自身で”アラビアきよし”とおっしゃっていました(笑)。
その”アラビアきよし”の衣装で「ときめきのルンバ」、「上海帰りのリル」、「コーヒー・ルンバ」と3曲を歌ってくださったのですが、
「上海帰りのリル」ではステージ上のスクリーンに回廊のような映像が流れ、その映像に合わせて男女のダンサーがタンゴを踊るのです。まるで映画のようでした。きよしさんの歌唱が切なく響き渡ります。ああ、なんてドラマティックなのでしょう! 
そして「コーヒー・ルンバ」では、きよしさんの踏むルンバのステップがとても心地よく感じられたのです。スクリーンにはルンバを踊るダンサーの方が映し出され、後半はきよしさん中心に映し出されるのですが、その映像はモノクロで、どこかレトロなムードをかもし出し、実像とスクリーンの映像が渾然一体となって、その世界に酔いしれたのです。「♪コーヒールンバ」と歌い終えた後の「ハァーッ!」というきよしさんの悩まし気なため息で我に返ったのは私だけでしょうか(笑)。
 
きよしさんは舞台袖に戻り衣装チェンジです。
スクリーンにはビーチの映像が映し出されました。そうです。流れてきたのは 「きらめきのサンバ」のイントロでした。きよしさんは虹色の衣装で登場です。袖はマンボ独特の白のフリフリでふくらんていて、縁取りは虹色の生地を使っているようでした。虹色のストライプは斜めに入っていて、ウエストには白い細ベルトがアクセントに巻かれており、頭にはつばのついた帽子(袖の布地と共布のようです)を被っておられました。
この映像がとてもチャーミングで、リーゼント姿や水中メガネを嵌めるなど真夏の七変化といった感じで、
様々なきよしさんが映し出されますが、軽薄そうだったり、悪ぶったり、おどけた表情のきよしさんなので大うけでした。そして、そんなきよしさんの画像と共に、かけ声のところでは、かけ声が吹き出しのように大きく映し出されるのです。私、正直、かなり興奮しました。すごく楽しい思いをさせていただいたのです。
 
きよしさんが再び衣装変えのために舞台袖に戻られると、西寄さんが登場。
65日130公演のお礼をおっしゃり、スクリーンに日にちと会場名の映像が流れる中、西寄さんは65箇所の会場名をそらんじてくださいました。緊張されたことと思いますが、お見事でした。
 
きよしさんは白地の着物に黒袴(だと思います)で登場されたのですが、その時の動きが能を思わせるカマエやスリ足のように見えたのです。今年7月の椿山荘でのサマーステージでは能面の画像が映し出されたかと思うのですが、今回は、きよしさん自身が能に挑戦されたようなのです。
「扇」、「一剣」、「白雲の城」と歌ってくださったのですが、「扇」では次第に舞台上のスクリーンに能舞台の映像が映し出されたのですが、左右にHKの文様があり、その前に篝火が焚かれていたのです。映像とはいえ、能舞台をバックにきよしさんが「扇」を歌ってくださるなんて、とても幻想的に思えました。
 「一剣」では剣を持った二人組にきよしさんが舞扇で立ち向かうという設定で、殺陣を披露してくださったのですが、扇を広げて水平に保ち、そのまま腰を落としてくるりと一回転して敵に応戦する様は、快哉を叫びたいほどにキマッていたのです。
月とお城の映像をバックに「白雲の城」を歌い終え、舞台袖に戻られました。
 
すると今度はキヨシこの夜~Angel of mine」のインストロメンタル」が流れ、「きよしこの夜」の9年分のメモリアル映像が流れ出したのです。
最初の頃のきよしさんは、まだまだ子どもっぽくて少年のようなのですが、時間を少しずつ進めていくと次第に男らしくなり、大人の男性へと変貌して行き、昨年の映像が映し出されました。
きよしさんと共に歩んだ時間の重み、尊さになんとも言えない感動が押し寄せてきました。
きよしさんは今日まで1度たりとも後ろを振り返ることなく、どんなに苦しくても常に前を向いて笑顔で棘の道を走ってきたのだなあ。しみじみとそう思いました。
そしてそんなきよしさんがいてくださったからこそ、私もこれまで前向きに笑顔でがんばってこられたのだなあ。そう思うとありがたさで胸がいっぱいになったのです。
 
そんな感慨にひたっていると映像は、ラフな服装のきよしさんに変わりました。きよしさんがキャンドルに火を灯しているのです。1本だけ?と思ったキャンドルは実は無数にあり炎が揺らめきます。
そこで真っ白な燕尾服のきよしさんが登場。
「きよしこの夜」を歌い出したのです。白の燕尾服は左の胸にミラーの破片のようなものが散りばめられていて、ライトが当たると光が反射されます。きよしさんが動く度に、きよしさんから数本の光線が客席に放たれているかのようなのです。そして右肩とパンツの裾には真っ白な氷柱のようなオブジェが付いていました。
天井から星をかたどったブランコが降りてきて、きよしさんが腰かけると、すうっとかなりの高さに引き上げられ、ふたつのミラーボールがまわっています。
キラ、キラ、キラ、キラ、きよしさんの放つ光と歌声が私たちを優しく包みこんでくださったのでした。
それにしても、なぜ? なぜそんなにピュアに切なく、まるで今日初めてこの歌に出会ったかのように歌えるのですか? きよしさんの純白の雪を思わせる歌唱にそう問いかけずにはいられない気持ちになったのでした。
 
そこで、そこでです。
「誓い」のイントロが流れてきたのです。聞き間違いようのない「誓い」のイントロだというのに、あまりの嬉しさに一瞬自分の耳を疑ったのでした。
その時の私の心の声をあえて表現するとしたら、
”チ、誓い? 誓いなの? ホント? 本当にきよしさんが今ここで「誓い」を歌ってくれるの? うわあ、どうしよう、嬉しすぎてどうにかなりそう!”
と、こんな感じだったのではないかと思います。
そんなふうにおたおたしている私が滑稽に思えるほど、きよしさんは「誓い」を颯爽と語りかけるように歌い出したのでした。
私はそんなきよしさんの誠実で包容力あふれる歌唱に、感動して心が震え出したのでした。
そしてとりわけ2番の「♪無けなしの金で買った 安物だけれど 喜んでくれるあなた」
のあたりでの、きよしさんの一言一言かみ締めるような、心の中から思いを絞り出すかのような歌唱に惹き込まれました。
”できることなら、このまま時間が止まってください”
ずっとずっとこの歌声を聴いていたい、きよしさんの作り出すこの世界にひたっていたい。そんな気持ちになってしまったのです。きよしさんの歌唱はどんどん情熱的になり、ジェスチャーにも熱がこもるのですが、ラストの「♪そう誓う」のところだったでしょうか? そこで突然、小声でつぶやくように歌い、サッと遥か上方を見上げ、そしてたまらなく幸せそうに微笑んだのでした。
そんなきよしさんの満足気な様子に、氷川きよしのすべてがこの歌唱に込められているなあと私は感無量になってしまったのです。
「誓い」をこれほどまでに愛いっぱいに、聴く人を抱きしめるかのように優しくあたたかく歌うことができるなんて。私にとってこの日の「誓い」は、「きよしこの夜」最高のプレゼントのように思えてしまったのです。
 
ここで衣装変えということで、きよしさんは舞台袖に戻られ、西寄さんが登場されたのですが、西寄さん、”ここで私なんかが出てきてしまって申し訳ありません”という様子でした。
「素晴らしいラブソングでしたね。一足早いクリスマスプレゼントになったのではないでしょうか? でも、もう少し余韻を楽しみたいところですよね」
というようなことを西寄さん、おっしゃっていました。
ああ、本当に同じことを西寄さんも感じておられたのだと、その言葉を聞いて嬉しくなったのでした。
 
※まだまだ長くなりそうですので、後半は次の記事にまとめます。
このコンサートの後半で、きよしさんがおっしゃった言葉に、私は大泣きしてしまいました。
そのことは必ずお伝えしたいと思っています。