13日に開催された「にっぽんの歌 ふるさとの歌コンサート」の公開収録へ行ってきました。会場のNHKホール周辺で全国の特産品を紹介する物産展も行われていたので、道々、あちこちのテントをのぞきました。そして大好きな甘夏を購入し、開場を待つ列に並びました。
この日の東京はあたたかく、コートもスプリングコートに変えたので、心もからだも急に軽やかになっていました。

そして、開場。第1部は日本農業賞の授賞式ですが、入場時にパンフレットが配布され、そこに第2部の「にっぽんの歌 ふるさとの歌コンサート」の曲目が書かれていました。
”大地のめぐみ 心の風景”と題されたその曲目の中のある一曲に目がとまりました。もしかしたらもしかして、きよしさんが歌うのかしら? もしそうだったら、どうしましょう? 心の準備がありませーん!
そんな気持ちになりました。
と書くと何の曲か気になりますでしょう? 楽しみを大切にとっておきたい方は以下はお読みにならずに4月11日(日)15:00~15:59(NHK総合テレビ)の放送をお待ちくださいね。

と一応前置きさせていただいて、これ以降は自由に書かせていただきますね。

さて曲目はこんなふうになっていました。

春の歌メドレー さくらさくら~茶摘~夏の思い出~ピクニック~赤とんぼ~村祭~冬の夜~おしくらまんじゅう~春が来た

野に咲く花のように
みかんの花咲く丘
星に願いを
安里屋ユンタ
宵待草
さくら貝の歌
きよしのズンドコ節
佐久の鯉太郎
潮来笠
故郷

曲目は以上ですが、どの曲をどなたが歌われるかは書かれていないのです。
出演者は鮫島有美子さん、ダ・カーポさん、新妻聖子さん、西田ひかるさん、橋幸夫さん、そしてきよしさんです。
メドレーの中からもきよしさんが何を歌ってくださるのか、期待でドキドキしてしまうのですが、とりわけ曲目の中の「安里屋ユンタ」が気になって仕方ありませんでした。
今日の出演者の中で、沖縄の民謡(正確には八重山でした)を歌う方がきよしさん以外に考えられるかしら? かといって、きよしさんが沖縄民謡を歌ってくださるのかしら? 沖縄が大好きなきよしさんの島唄や沖縄民謡をいつか聴いてみたいとはずっと思っていたものの、まさか今日そんな夢が叶うなんて思ってもみなかったので、心の準備が間に合いません。そんなふうにあれこれ考えているうちに、まだ始まってもいないのにドキドキしてきてしまいました。
そしてコンサートはスタート。幕が開くと出演者が勢ぞろいしていました。スポットライトが当たる前に既にきよしさんのスラリとしたシルエットが目に入ってきました。
鮮やかなパープル(正確には苺色? 紫がかった赤色です)のスーツで登場。かわいらしい杉並児童合唱団の皆さんも一緒です。まずは春の唄のメドレーということでしたが、イントロが流れるとサッときよしさん以外の皆さんが後ろに下がられました。そうです。トップバッターはきよしさん。「さくらさくら」をソロで歌ってくださいました。きよしさんが”♪さくら”と歌うたびに、舞い散る桜吹雪がうかびます。それは夜桜のイメージでもあり、桜がけぶるような花曇の日のイメージもわいてきます。その朗々とした歌声には幽玄の世界を感じさせられたのです。

この日のあたたかな気候もあいまって、きよしさんの清廉でどこか雅かな歌声に「ああ、春なんだー」と春の訪れを実感したのでした。きよしさんの歌声は、まさに春告げ鳥のようでした。そして続いて「茶摘」も歌ってくださったのです。
また皆さんに笑われるかもしれませんが、もうこの時点で胸がいっぱいになってしまって、ああ、今日来られてよかったーと既に満足してしまったのでした。きよしさん、「さくらさくら」を歌い終わった後は笑顔いっぱいで、ステージを楽しんでいる様子が伝わってきました。足踏みを勢いよくし過ぎて児童合唱団の方にきよしさんの足がぶつかってしまって「ごめんなさい!」の一幕もありました(笑)。
そしてメドレーのラストは全員で「春が来た」を歌ってくださったのですが、私、この時、ひどく美しいものを見てしまいました。
ラストの歌詞の「♪山に咲く 里に咲く 野にも咲く」という歌詞を歌っていて、きよしさんの指がリズムを取りながら、”咲く”と歌うたびに、指先に弾みをつけて上げ、パッと開く仕草が目に入りました。その指先の美しいことといったら! まるできよしさんの手からお花が咲き出すかのようなそんな仕草でした。かつて「いつもみんなで手をつなごう」を歌われたときの、きよしさんの美しい手話が思い出されました。

そんなわけで、この春の唄のメドレーまでで、大感激の私だったのですが、次々と出演者の方が登場されて、歌っていきます。
「野に咲く花のように」はダ・カーポさん、「みかんの花咲く丘」は西田ひかるさん、「星に願いを」は新妻聖子さんと続きました。新妻さんが歌い終わると、やはり「安里屋ユンタ」はきよしさんが歌ってくださるのかしら? 一緒に行った友人のKさんに開演前に「もしかしたら『安里屋ユンタ』は、きよしさんかもしれない」と言っておいたので、新妻さんまで歌い終わったとき、二人で顔を見合わせて「何だかものすごくドキドキしてきちゃったねー」と小声で話しました。
”ユンタ”という言葉の説明を司会の小田切千アナウンサーと神田愛花アナウンサーがされたのですが、そのやりとりが何だかとても長い時間に感じられました。その間、三線(さんしん)を演奏される着物姿の男性と女性が登場して、バックにスタンバイしました。
そして曲紹介となり、「氷川きよしさんが歌います」と聞こえてきました。と、既に舞台にブラックスーツにシルバーのベストのきよしさんが登場しました。その瞬間の感動と言ったら! もう言葉になりませんでした。
きよしさんが「安里屋ユンタ」を歌い始める前にこれだけ感動していた私ですが、きよしさんが歌い出すと、その心地よさに頭の奥がしびれてくるような気分になりました。沖縄が大好きなきよしさんの歌声からは、さらりとした海風、そしてゆったりとした時間の流れが感じられました。
その沖縄の風のようにさわやかで心地よい歌声は、ときに慈愛に満ちた南国の雨のようにも思え、きよしさんの「♪マタハリヌ チンダラ カヌシャマヨ」という言葉の響きの美しさにうっとりさせられたのでした。
この「♪マタハリヌ チンダラ カヌシャマヨ」という言葉は八重山地方の方言の古語で、”また逢いましょう、美しき人よ”という意味なのだそうです。
きよしさん、今回はブラックのスーツで歌われましたが、なんともいえない幸せそうな笑顔と、三線のリズムに合わせた、きよしさんのゆったりとした所作を見ているうちに、きよしさんが半ズボンにかりゆしウェア(沖縄アロハ)を羽織って、波音が聞こえる砂浜で歌っているような気分になってきました。
後半は琉球舞踊の方々が舞台に登場され、鮮やかな琉球紅型の着物姿の皆さんがきよしさんを囲んで踊りました。
きよしさんの「安里屋ユンタ」の歌唱は、大らかであたたかくて、そしてどっしりと大地に根をおろしているかのような包容力を感じさせ、まるできよしさんの人柄そのもののように思えました。
本当に忘れられない素晴らしい歌唱でした。
そしてその歌唱はこのブログに書く機会がこれまでありませんでしたが、私が大好きだった一人の歌手を思い起こさせました。いつかその方のことを書くこともあるかもしれませんが、音楽のために生まれてきたような天衣無縫な方で、出会ったときが10代だった私は、まさに天才とはあのような方のことを言うのだなあと思っていました。沖縄を愛して、海の歌も何曲か残されましたが、事故で30代で早世されました。そんな天衣無縫な天才が10代の私を魅了した歌心を、この日のきよしさんが思い出させてくださったのでした。

さて、その後は鮫島有美子さんが登場され、「宵待草」と「さくら貝の歌」を歌われました。あの魅惑的な声で、このようなドラマティックな歌を歌ってくださいましたが、お話をされるとユーモアいっぱいでとてもあたたかな方で、またそこが魅力ですね。

そして、真っ白なスーツできよしさんが登場。杉並児童合唱団の皆さんと一緒に「きよしのズンドコ節」をフルコーラス熱唱です。会場からの熱烈なコールに、今回は前方席には農業賞の受賞者の選考委員や受賞者の方、関係者の方が勢ぞろいされているのですが、きよしさんまったくそのようなことは気にされず、間奏の部分で「イェーイ!」を連発。客席に「イェーイ!」コールを求めてマイクを向ける一幕までありました。きよしさん、本当に幸せそうでした。そしてもちろんそんなきよしさんの笑顔と麗しの歌声に聴いている私たちも尚いっそう幸せな気持ちにさせていただいたのです。

ラストは橋幸夫さんが登場でしたが、きよしさんも一緒に登場。デビュー曲が股旅ものという共通点から、橋さんがきよしさんにエールを送ってくださり、橋さんが「佐久の鯉太郎」を歌われた後、「潮来笠」をきよしさんが橋さんと一緒に歌わせていただくことになりました。
橋さんがきよしさんに向かって仁義を切ると(「お控えなすって!」のポーズです)、きよしさん、一瞬えっ? と驚いた様子でしたが、すぐに笑いながら楽しそうに橋さん向かって仁義を切りました。
「潮来笠」はフルコーラス歌われて、1,2番は橋さんのソロで、3番をお二人で一緒に歌いました。
きよしさんは橋さんが1,2番を歌われているとき、後ろにさがって橋さんの歌を聴いているのですが、ずっと一緒に口ずさんでいました。そして自然に小さく振りもついていて、そんな様子も何だかきよしさんらしいなあと微笑ましくなりました。

フィナーレは「故郷」を全員で合唱です。きよしさん、会場にまんべんなく手を振り続け、そして大きく投げキッスをしてくださったのでした。

きよしさーん!、素敵な歌の贈り物をありがとうございました。
きよしさんの今日の歌声のおかげで、春に向かってどんなことでもがんばれそうです。
「マタハリヌ チンダラ カヌシャマヨ!」


※以前、島唄の夕べに参加したときの記事です。良かったらお読みください。
http://blogs.yahoo.co.jp/maruru39/MYBLOG/yblog.html?fid=0&m=lc&sk=0&sv=%CB%A2%C0%B9