「国宝 阿修羅展」、東京国立博物館では、いよいよ今週末6月7日(日)までですね。今、記事を書こうと思って、東京国立博物館のホームページを見たら、5月29日以降、最終日の7日まで毎日午後8時まで開館延長することになったそうです(入場は同7時30分まで)。

阿修羅
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通常、展示されている興福寺の国宝館ではガラスの展示ケースに他の八部衆と一緒に鎮座されています。以前は阿修羅像1体のみが大きなガラスケースに入っていましたが、本来、八部衆の一員であるので、一緒にということで現在の展示方法となっているそうです。
それが今回はガラス越しでなく、それも360度全方向から阿修羅像を観ることができるのです。展示や保存、修復の技術が進歩しているとはいえ、1300年前の白鳳時代の仏様ですから、もうきっと生きている間にはこのようなことはないのではないでしょうか。そう思うと連日1万5000人を超える来場者数とのことですが当然のことのように思えます。

この後、九州国立博物館で「国宝 阿修羅展」が開催されます。 
2009年7月14日(火)~9月27日(日)

国宝 阿修羅展
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私は高校の修学旅行で奈良を訪れ、初めて阿修羅像を観ました。行く前から歴史好きな友人から写真集を見せてもらったりして、とても楽しみにしていたのですが、興福寺の国宝館で阿修羅像と対峙した時は感動で身体が震えました。この世の中にこんなに美しいものが存在しているのだと。
以後、1,2年に一度は奈良を訪れています。私にとって(とても勝手な思い入れなのですが)、奈良を訪れた時は、興福寺の阿修羅様、そして東大寺法華堂の月光菩薩様に会いに行きます。
そしてそんな阿修羅像とのこれまでの邂逅の中ではあり得ない今回の360度全方向からの観覧(拝観と言ったほうが良いでしょうか)とあって、決定してからは、ゆっくり観るために開館前に行って開場を待って入館しようと考えました、5月の第4週のある平日に朝6時に家を出ました。お天気も良かったので、母と一緒に出かけました。博物館には6時50分くらいには着きましたが、誰も人がいませんでした。そのまま正門付近は木陰になっているので、のんびりコーヒーを買ってきて、おしゃべりしながら待っていたら、7時半くらいからすこしずつ列ができてきて、8時には私たちの位置からは最後列の人が見えない状態になり開館時間の1時間前の8時30分には門があき、列のままゆっくりと博物館構内に移動しました。並んでいる人の列が道路にあふれてしまったためということでした。
チケットの販売は国立博物館では開場の9時30分から、上野公園内のインフォメーションでは9時からだそうで前売券を持っていないと、せっかく早く行っても列に入れないのでご注意を!
(お役所仕事すぎる!とお怒りの声も聞こえてきました。たしかに以前訪れた奈良国立博物館では入場時に当日券を購入ということで入場券のあるなしに関わらず、一律並ぶことができていたのですが。)

国宝 阿修羅展・入場待ちする人に貸し出す日傘
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そして30分くらい前に列は再び展示会場の平成館前に移動しました。そして10分くらい前には開場しました。そんなわけで2時間待ちではありましたが会場には1番乗りできましたので(一応母が1番、私は2番でした)、展示会場の阿修羅ルームに直行し、阿修羅像を全方向からゆっくり、それこそためつすがめつ観ることができました。
「手を合わせちゃいけないのかな」という声がどこかから聞こえてきました。「場所が博物館なだけで仏様なんだからいいんじゃねえの」と友達らしき男の子の声が、そうです。私も思わず手を合わせました。博物館という展示会場でも照明を極力落とし厳かな祈りの空間が出来上がっていました。その後、次第に7重8重の列になり、押すな押すなのちょっとバーゲン会場的空間に変貌してしまいましたが、阿修羅様はそんな私たち衆生をどのようにご覧になっているのでしょう?
数分の間でしたが、そんな厳粛な空間での阿修羅像との邂逅は忘れられない時間となりました。
(ちなみに最前列で全方向を係りの方の誘導で一周するのに30分かかりました)

また次回、奈良でお会いできますようにと阿修羅様にお願いをして、その後、ゆっくり八部衆像と十大弟子像を観ました。こちらも普段はガラスケースに展示されているのですが、今回はガラス越しではなく真後ろだけは観られないものの、左右からも観ることができ、細部までじっくり観ることができました。
本当にこんな機会は二度とないでしょう。素晴らしいことだと思いました


そうえいば、会場限定販売の公式グッズ、阿修羅像のフィギュアがものすごい人気ですぐに完売し、プレミアムがついていると聞きました。再発売はないということでしたが、次の開催地である九州国立博物館での販売が決まったそうです。開幕時に入荷の5000個を販売、その後は8月7日(金)から5000個、9月4日(金)から4000個の合計14000個の数量限定販売の予定ということで、九州国立博物館の阿修羅展の観覧券をお持ちの方、当日ご来場のお一人様につき1個限り、同展特設ショップで販売。予約販売、通信販売はなく、会期中の追加生産、会期終了後の受注生産もないのだそうです。


阿修羅について
阿修羅像は天平6年(734)、戦乱や大火など幾つもの災難を乗り越えてきました。
3つの顔と6本の腕をもつ少年のような可憐な像ですが、胴体も腕もとても細く、憂いのある敬虔な表情が脱活乾漆造(だっかつかんしつづくり)の技法でとてもリアルに表現されています。阿修羅はインド神話では軍の神なのだそうです。当時、唐からもたらされた『金光明最勝王経』をもとに造られたと考えられます。そこには、これまでの罪を懺悔して、釈に帰依することが説かれています。阿修羅の表情は静かに自分の心を見つめ懺悔する姿を表したものと考えられています。
もと興福寺西金堂に釈迦三尊、梵天・帝釈天、四天王、十大弟子像などとともに安置されていた八部衆のうちの1体で、この堂は光明皇后が前年1月に亡くなった母橘三千代の一周忌に間に合うように創建したものですが、皇后に仕える役所であった皇后宮職をあげての仕事であり光明皇后の強い意志が感じられます。
以前、文化財研究所でしたでしょうか。阿修羅像を当時の状態を復元したレプリカが、研究用ということで期間限定でしたが東京国立博物館で展示されたので観に行ったことがあります。肌の色は朱色で口髭も描き込まれていて、現在の少年のような雰囲気はなく、いざとなれば鬼神にもなれる異国の神様という印象でした。
ですので今現在の阿修羅様はまさに1300年の時を経た”滅びの美”ともいえるでしょうか。