昨日は鹿賀丈史さんの「シラノ」を観に日生劇場へ行ってきました。以前、このブログにも書いた中河内雅貴さんが浦井健治さんとクリスチャン役をダブルキャストで演じていて、昨日、夜の部が中河内さんにとっては千秋楽でした。今日、14時からの「シラノ」の千秋楽では浦井健治さんがクリスチャン役で立たれます。中河内さん、今回は歌唱力と演技力が要求され、得意のダンスを披露する場面はありませんでしたが、美しい身のこなしは印象的でしたし、次第に心に葛藤を抱える様を誠実に演じていて好感が持てました(ダブルキャストの時、一方の方の演技が素晴らしいともう一方の方も観てみたくなりますよね。そんなわけで浦井さんバージョンも観てみたいなあと思わされましたが、今日の千秋楽には行かれないので、また次回となってしまいました。浦井さん、ごめんなさい)。
さて鹿賀さん、昨日は昼・夜2回公演でしたが、私が観た夜の部では、最初から声がかすれているのがわかりました。時に調子を取り戻したかのようにも思いましたが、再びかすれてしまったりというスリリングな状態でした。普段の鹿賀さんを知っていれば、もちろんその美声とはあきらかに違っていることがわかります。「シラノ」はブロードウェイに先駆けての日本初上演で、当たり役となった「ジキルとハイド」を演じ納めてご自身では封印し、新たな作品として挑戦された作品が「シラノ」でしたから、並々ならぬ情熱で取り組まれていた様子でした。
原作はエドモン・ロスタンの「シラノ・ド・ベルジュラック」。ストーリーはすでに皆さんご存知のように、生まれついての大きな鼻のために、愛する女性に思いを告げることはできないけれども、生涯その女性を愛し続けた男性の物語です。シラノは17世紀後半のパリに実在した人物で優れた詩人にして勇猛果敢な剣士だったそうです。
そんな「シラノ」は、劇中歌も聴かせどころ満載の名曲揃いでしたし、シラノの台詞は時に吟遊詩人のように、また道化師のように、そし勇者のようにと、様々な技を要求される難役です。もちろん鹿賀さんならではの難役なのですが、そんな役者として様々な技を要求される「シラノ」の舞台で声が出なくなるなんて。かすれても声が出るうちはまだ良いですが、まったく声が出なくなってしまったら、台詞は聞き取れなくなってしまいます。当人にしたら、なんて恐ろしいことでしょう。
最後まで演じ切れるのかしら? 長台詞が続いて声のかすれがひどくなるとドキドキしました。幕間の15分の休憩も10分以上超過して2幕目の幕が開きました。出だしは鹿賀さんの美声が戻ってきていました。ああ、そうだ、鹿賀さんの声はこんな声なんだ。そう思うと1幕目の声は相当に荒れていたのだとあらためて思いました。しかし舞台が進むにつれて、再び声にかすれが。これで最後まで行かれるのかなあと不安が過りました。けれども私はそこからすっぱり普段の鹿賀さんを忘れることにしました。今、一人の俳優さんがシラノ・ド・ベルジュラックを演じているのだと。
これまでのキャリアで数々の困難を乗り越えられてきたに違いない鹿賀さんですが、昨日のその舞台は鹿賀さんの役者生命をかけた、迫真の舞台だったと思います。
これまでにどんなに輝かしいキャリアを積んでいても、今日は再び身ひとつで勝負しなければならない。そんな芸道の道に生きる厳しい宿命にこちらも身が引き締まる思いでした。
私は鹿賀さんにこれまで仕事で何度かお話をうかがう機会がありましたが、初めて稽古場にうかがった時は、驚くほど気さくでラフな鹿賀さんに驚いたものです。けれどもひとたび舞台に上がると、演技に対する真摯さは筋金入り。日本のミュージカル創世記から今日までずっとトップスターであり続け、鹿賀さんならではの華と毒を漂わせたストイックさで観客を魅了し続けてきたのです。
終演後のカーテンコールの時の鹿賀さんの深々と会釈される姿が今も思い出されます。
いよいよ、間もなく「シラノ」千秋楽ですね。必ずや見事な千秋楽になることでしょう。鹿賀丈史さんに心からエールを贈りたいと思います。
昨日は大阪の新歌舞伎座で上川隆也さん主演の「その男」が千秋楽でしたね。最近、観た舞台のひとつで「その男」「三文オペラ」「きらめく星座」が心に残っているので、そちらの舞台についても追々書きたいと思っています。
さて鹿賀さん、昨日は昼・夜2回公演でしたが、私が観た夜の部では、最初から声がかすれているのがわかりました。時に調子を取り戻したかのようにも思いましたが、再びかすれてしまったりというスリリングな状態でした。普段の鹿賀さんを知っていれば、もちろんその美声とはあきらかに違っていることがわかります。「シラノ」はブロードウェイに先駆けての日本初上演で、当たり役となった「ジキルとハイド」を演じ納めてご自身では封印し、新たな作品として挑戦された作品が「シラノ」でしたから、並々ならぬ情熱で取り組まれていた様子でした。
原作はエドモン・ロスタンの「シラノ・ド・ベルジュラック」。ストーリーはすでに皆さんご存知のように、生まれついての大きな鼻のために、愛する女性に思いを告げることはできないけれども、生涯その女性を愛し続けた男性の物語です。シラノは17世紀後半のパリに実在した人物で優れた詩人にして勇猛果敢な剣士だったそうです。
そんな「シラノ」は、劇中歌も聴かせどころ満載の名曲揃いでしたし、シラノの台詞は時に吟遊詩人のように、また道化師のように、そし勇者のようにと、様々な技を要求される難役です。もちろん鹿賀さんならではの難役なのですが、そんな役者として様々な技を要求される「シラノ」の舞台で声が出なくなるなんて。かすれても声が出るうちはまだ良いですが、まったく声が出なくなってしまったら、台詞は聞き取れなくなってしまいます。当人にしたら、なんて恐ろしいことでしょう。
最後まで演じ切れるのかしら? 長台詞が続いて声のかすれがひどくなるとドキドキしました。幕間の15分の休憩も10分以上超過して2幕目の幕が開きました。出だしは鹿賀さんの美声が戻ってきていました。ああ、そうだ、鹿賀さんの声はこんな声なんだ。そう思うと1幕目の声は相当に荒れていたのだとあらためて思いました。しかし舞台が進むにつれて、再び声にかすれが。これで最後まで行かれるのかなあと不安が過りました。けれども私はそこからすっぱり普段の鹿賀さんを忘れることにしました。今、一人の俳優さんがシラノ・ド・ベルジュラックを演じているのだと。
これまでのキャリアで数々の困難を乗り越えられてきたに違いない鹿賀さんですが、昨日のその舞台は鹿賀さんの役者生命をかけた、迫真の舞台だったと思います。
これまでにどんなに輝かしいキャリアを積んでいても、今日は再び身ひとつで勝負しなければならない。そんな芸道の道に生きる厳しい宿命にこちらも身が引き締まる思いでした。
私は鹿賀さんにこれまで仕事で何度かお話をうかがう機会がありましたが、初めて稽古場にうかがった時は、驚くほど気さくでラフな鹿賀さんに驚いたものです。けれどもひとたび舞台に上がると、演技に対する真摯さは筋金入り。日本のミュージカル創世記から今日までずっとトップスターであり続け、鹿賀さんならではの華と毒を漂わせたストイックさで観客を魅了し続けてきたのです。
終演後のカーテンコールの時の鹿賀さんの深々と会釈される姿が今も思い出されます。
いよいよ、間もなく「シラノ」千秋楽ですね。必ずや見事な千秋楽になることでしょう。鹿賀丈史さんに心からエールを贈りたいと思います。
昨日は大阪の新歌舞伎座で上川隆也さん主演の「その男」が千秋楽でしたね。最近、観た舞台のひとつで「その男」「三文オペラ」「きらめく星座」が心に残っているので、そちらの舞台についても追々書きたいと思っています。