15日はサントリーホールでマウリツィオ・ポリーニ氏のピアノリサイタルを聴いてきました。
このブログでこれまでほとんど書く機会がありませんでしたが、子供の頃からピアノを習っていた私は、クラッシック音楽が好きで、ピアニストではとりわけマウリツィオ・ポリーニ氏が好きなのです。
マウリツィオ・ポリーニ氏の来日は2006年以来3年ぶりでしたが、今回は5月12日に大阪のザ・シンフォニーホール、15、19日に赤坂のサントリーホールと計3回のリサイタルを行います。12日と15日はショパン・プログラムでしたが、私が聴きに行った15日は素晴らしい演奏でした。これほどまでに完璧なテクニックと深い考察に基づいた演奏ができるピアニストは世界中を探しても二人といないのではないかといつもいつも思いますが、今回もいっそうその思いを強くしました。
またアンコールは5曲も弾いて下さいました。ポリーニ氏がアンコールで弾かれる曲は、いつもながら大曲ばかりで、ファンにとってものすごいプレゼントですが、よくあれほどの演奏をされた後に次々に大曲を弾きこなせてしまうのか、いつも驚かされます。
そして私にとってのサプライズは、今回アンコールの4曲目。大好きなショパンの前奏曲 第15番 変ニ長調 作品28の15《雨だれ》を弾いて下さいました。様々な思いが胸をよぎり、感動が押し寄せてきました。
私は10代の頃にポリーニ氏がNHKホールで開催された18歳以下の青少年のためのコンサートに行って以来ファンになり、既にファン歴も20年に及びますが、初めて行ったポリーニ氏のリサイタルで、ベートーベンの「熱情」を聴いていた時のこと。第1楽章を聴いていたと思っていたら、はっと気付くといつの間にか第3楽章になっていて、私は聴き入っていたはずなのに、一体いつ2楽章を弾いたのか思い出せないということが起こったのです(決して眠っていたわけではないのです)。それで、今、私に何が起こったのだろう? と気になり、感動でドキドキしてしまいました。そしてそれまでも他のピアニストの方の演奏をいろいろ聴きに行っていたのに、ポリーニ氏の演奏を聴いて以来、何だか他の方の演奏では物足りなく感じるようになってしまいました。それで2、3年に一度来日されるポリーニ氏を心待ちにするようになったのです。良い表現が浮かばないのですが、恐らくあまりにのめり込んで、トリップしてしまっていたのではないかと思うのです。
ポリーニ氏は年間公演日数を60日と決めていらっしゃるので、来日は数年に一度。リサイタルは、回を追うごとに人気も知名度もいっそう高まり、チケットは超プレミアムチケットとなっていきました。今日まで毎回、よくチケットが入手できたものだと思いますが、ファンでいると何かしら思いが作用して、何とかなってきたのかなと思います。
今でこそオークションもありますが、オークションがなかった頃は”チケット譲って下さい”と書いた紙を掲げた人が何人も立っていらっしゃったものです。
ポリーニ氏は20世紀に現れた最も完璧なピアニストと言われています。イタリアのミラノの芸術家の家柄に生まれ、18歳でワルシャワで開催されるショパンコンクールで優勝。その時の審査委員長のルービンシュタイン氏(ピアノの神様のような方です)に、「今われわれの中に彼以上にショパンを弾きこなせる者がいるだろうか」と言わしめたことは有名なエピソードです。ショパンコンクールで優勝された後、すぐにはデビューせず、指揮法などを勉強され、満を持してデビューされました。
以後、今日までずっとトップ集団にいらっしゃるポリーニ氏ですが、今回の公演プログラムに掲載されたインタビューで「演奏家にとって難しいのはその作品の美しさをすべて表現し尽すといういことだけです。それを実践することは考えるよりもはるかに難しいことです。けれども演奏家に課せられた使命だと思っています」と語られています。
そして演奏の道に果てがないことについて、
「終わりはありません。だから良いのです。だから美しいのだと思います」
そう結ばれていました。
簡潔ですが深い思いがこめられた言葉ですね。そんなポリーニ氏が奏でる深淵で美しい音の世界に、時に眼の眩むような快感に包まれるのです。私がポリーニ氏に惹かれるのは、その演奏を聴いていて何ともしれない感動がわきあがってくるからです。難しいことは抜きにして、ただひたすらにその演奏を聴くと気持ちが良くなるからと言ってしまってもよいかもしれないと思います。
19日に別プログラムでのリサイタルが再びサントリーホールであります。シューマン、シェーンベルク、ヴェールベン、ドビュッシーを弾かれるそうです(曲目は発表済)。待ち遠しくもあり、しかしそのリサイタルが終わったら、ポリーニ氏はイタリアに帰国されるのだと思うと既に寂しくもあります。
ですが19日のリサイタルは、それほど多くのことを知らなかった10代の私が、そんな早い時期にポリーニ氏のような素晴らしいピアニストに出会うことができたことにあらためて感謝しながら聴きたいと思っています。
このブログでこれまでほとんど書く機会がありませんでしたが、子供の頃からピアノを習っていた私は、クラッシック音楽が好きで、ピアニストではとりわけマウリツィオ・ポリーニ氏が好きなのです。
マウリツィオ・ポリーニ氏の来日は2006年以来3年ぶりでしたが、今回は5月12日に大阪のザ・シンフォニーホール、15、19日に赤坂のサントリーホールと計3回のリサイタルを行います。12日と15日はショパン・プログラムでしたが、私が聴きに行った15日は素晴らしい演奏でした。これほどまでに完璧なテクニックと深い考察に基づいた演奏ができるピアニストは世界中を探しても二人といないのではないかといつもいつも思いますが、今回もいっそうその思いを強くしました。
またアンコールは5曲も弾いて下さいました。ポリーニ氏がアンコールで弾かれる曲は、いつもながら大曲ばかりで、ファンにとってものすごいプレゼントですが、よくあれほどの演奏をされた後に次々に大曲を弾きこなせてしまうのか、いつも驚かされます。
そして私にとってのサプライズは、今回アンコールの4曲目。大好きなショパンの前奏曲 第15番 変ニ長調 作品28の15《雨だれ》を弾いて下さいました。様々な思いが胸をよぎり、感動が押し寄せてきました。
私は10代の頃にポリーニ氏がNHKホールで開催された18歳以下の青少年のためのコンサートに行って以来ファンになり、既にファン歴も20年に及びますが、初めて行ったポリーニ氏のリサイタルで、ベートーベンの「熱情」を聴いていた時のこと。第1楽章を聴いていたと思っていたら、はっと気付くといつの間にか第3楽章になっていて、私は聴き入っていたはずなのに、一体いつ2楽章を弾いたのか思い出せないということが起こったのです(決して眠っていたわけではないのです)。それで、今、私に何が起こったのだろう? と気になり、感動でドキドキしてしまいました。そしてそれまでも他のピアニストの方の演奏をいろいろ聴きに行っていたのに、ポリーニ氏の演奏を聴いて以来、何だか他の方の演奏では物足りなく感じるようになってしまいました。それで2、3年に一度来日されるポリーニ氏を心待ちにするようになったのです。良い表現が浮かばないのですが、恐らくあまりにのめり込んで、トリップしてしまっていたのではないかと思うのです。
ポリーニ氏は年間公演日数を60日と決めていらっしゃるので、来日は数年に一度。リサイタルは、回を追うごとに人気も知名度もいっそう高まり、チケットは超プレミアムチケットとなっていきました。今日まで毎回、よくチケットが入手できたものだと思いますが、ファンでいると何かしら思いが作用して、何とかなってきたのかなと思います。
今でこそオークションもありますが、オークションがなかった頃は”チケット譲って下さい”と書いた紙を掲げた人が何人も立っていらっしゃったものです。
ポリーニ氏は20世紀に現れた最も完璧なピアニストと言われています。イタリアのミラノの芸術家の家柄に生まれ、18歳でワルシャワで開催されるショパンコンクールで優勝。その時の審査委員長のルービンシュタイン氏(ピアノの神様のような方です)に、「今われわれの中に彼以上にショパンを弾きこなせる者がいるだろうか」と言わしめたことは有名なエピソードです。ショパンコンクールで優勝された後、すぐにはデビューせず、指揮法などを勉強され、満を持してデビューされました。
以後、今日までずっとトップ集団にいらっしゃるポリーニ氏ですが、今回の公演プログラムに掲載されたインタビューで「演奏家にとって難しいのはその作品の美しさをすべて表現し尽すといういことだけです。それを実践することは考えるよりもはるかに難しいことです。けれども演奏家に課せられた使命だと思っています」と語られています。
そして演奏の道に果てがないことについて、
「終わりはありません。だから良いのです。だから美しいのだと思います」
そう結ばれていました。
簡潔ですが深い思いがこめられた言葉ですね。そんなポリーニ氏が奏でる深淵で美しい音の世界に、時に眼の眩むような快感に包まれるのです。私がポリーニ氏に惹かれるのは、その演奏を聴いていて何ともしれない感動がわきあがってくるからです。難しいことは抜きにして、ただひたすらにその演奏を聴くと気持ちが良くなるからと言ってしまってもよいかもしれないと思います。
19日に別プログラムでのリサイタルが再びサントリーホールであります。シューマン、シェーンベルク、ヴェールベン、ドビュッシーを弾かれるそうです(曲目は発表済)。待ち遠しくもあり、しかしそのリサイタルが終わったら、ポリーニ氏はイタリアに帰国されるのだと思うと既に寂しくもあります。
ですが19日のリサイタルは、それほど多くのことを知らなかった10代の私が、そんな早い時期にポリーニ氏のような素晴らしいピアニストに出会うことができたことにあらためて感謝しながら聴きたいと思っています。