今年も夏真っ盛りとなりました。

私は母に似てやせ形なのもあってか冬の寒さにも弱いのですが、思うように動けなくなる夏の暑さにはとにかく弱く、電車バスの車内ではいつも扇子で扇いでいます。

似た者同士の私たち親子でしたが、私のユニークな母は寒さには弱かったものの夏の暑さには「暑い暑い!」と私のように弱音を吐いたりする事の一切ない人でした。

それでも暑ければ人間誰でも汗をかくもので、同じ服を何日も着ていれば暑さに強い?母でも着ているシャツから汗の臭いが漂ってきて…

毎日沢山の汗を流しながら夏の暑い田舎での用事をこなして車で帰って来た母に向かって、
「臭うよ~着替えんにゃあ!」

と、息子であることをいいことに言いたい放題言っていた当時の私。

そんな私のきつい言葉を投げかけられた穏やかで優しい母は、

「臭う?ごめんねぇ~」
と、いつもやんわりとした返事。

今思えば、私は休みでもほとんど母の手伝いのために母の実家に出向く事もなく、高齢者に今日の用事と今日の行く所(教養教育)があるのはいいこと…

ぐらいにしか思っていなかった、本当に愚かな当時の私。

その過程…母の実家での用事の過程で、私の知らぬ間に母は多量の砂埃を吸い込んで肺を壊してしまい…

あんなに元気でよく動き回る働き者の、密かに自慢だった私の母の最期は…

どんな用事でも、ほとんど自分一人でやってしまう無理をしがちなスーパーウーマンだった一人暮らしの母を放ったらかしにしてしまった代償はあまりにも大きく…

唯一無二の母を思いがけず失ってから4年以上経った今でも、母を残して逆死だけはしないという事以上の生きる動機を持てないままで…

ただ見えなくなった両親への感謝と、ご先祖供養のために何とか生きているので精一杯の今日の私です。
お母さん。
今年も暑い暑い日本の夏になったよ。
あなたは暑い夏でも本当に働き者で、細身の黒髪カールヘアで家の中を行ったり来たりしているその活発な姿は、今思えば歳を取ってもサザエさんを彷彿させるような人でした。
ただサザエさんとの大きな違いは、穏やかで音無しくて社交性があまりなかったこと。
それでもあなたのその温厚で健気で穏やかな人柄を慕っていた人もいたはず…
その一人が私でした。

穏やかで芯の強い人柄を、今の私も見習えたらいいのにね…
ひろちゃんお母さん。