今年も空き地に雑草が伸びる季節になりました。

5月にもなると、地面むき出しの更地には名も知らない雑草たちが伸びてきて、そのまま放置しようものなら初夏には荒れ放題になってしまいます。

母の実家跡地も地面むき出しの更地なので、昨年までの私は思い腰を上げて電動刈り払い機でそれこそなるべく短時間で一気に全体を刈り上げて、それでよしとしていました。


ですが、昨年9月の台風により母の土蔵の一部損壊が生じその時の荒れ放題だった実家跡地を見てからは、ユニークな母を真似て私も手作業による草抜きに地道に取り組んでいます。

母の実家跡地を荒れ放題にしてしまったお詫びと、土蔵修繕工事の出入りの支障にならないようにと…

なので昨年の秋以降の私は、除草は多少時間がかかっても手作業で根から草を抜いて、少しでも再生を遅らせるようにしています。

機械でやれば手っ取り早く短時間で済むのですが、それではどうしても草の根が残ってしまうのでその分雑草の再生が早いようです。

ちなみに生前の母と一緒に作ると話していたこの地での今後の野菜作りのために、除草剤を使ったり防草シートで覆ってしまうという選択肢は今のところありません。

とは言え、昨秋の草抜きが日数も時間もかかって大変だったので今年からは早い時期に除草することに越したことはない…

そう思っていた私は連休中の昨日思い立ち、一人で郊外線バスに乗り込み約2時間ゆられて母の実家に向かいました。

この時期はまだ雑草たちも背丈が低く雨後の地面も幾分柔らかめなので、手作業による草抜きもかなり楽でした。

母が使っていた手袋…母が使わなくなってから私がもう何回も使って5本の指先はとっくに破れて無くなり指先の保護にはならない水色の手袋をはめて約3時間。

地下茎で繋がっているものや、これから大きくなりそうな水中花火のような形の小さなものは簡単には抜ききれませんでしたが、それでもどうにか人目に触れても恥ずかしくないようには体裁を整えることができたようです。

一通り草抜きを終えた母の実家跡地をもしも母が見てくれたならば、安心してくれるであろうぐらいにはきれいになりました。

こういうくたびれる作業の合間に中で休める蔵の存在は、古くて汚れて傷んでいても本当に有り難いもの。
その中に供えたスターチスの花が、疲れた私の心身をいたわってくれていました。

お母さん。
今年も5月になったけど、今年の和暦は令和5年。
今日は『5.5.5』の5並びだよ。
などとたわいもないことを思いながら、昨日の草抜きのことを回想しました。

いつも手作業で草抜きをしていたお母さんと同じことをしていると、あなたの分身であるこの私の体にお母さんの魂が乗り移って、あの頃の草抜き風景を懐かしんでくれたならば私もうれしいよ。

ところで天国でも草抜きに励んでいるの?
ひろちゃんお母さん。