備忘録番外編 No.6
出版社に入って最初の仕事は、全国の書店の状況把握と流通関係の得意先とのコミュニケーションからでした。出版の流通は取次と言われている商社?を通して全国の書店への配本をしてもらうことです。出版された書籍や雑誌を全国隅々まで届けてもらい販売価格も全国同じで、文字の文化を守る事においてはとても優れていると思いました。しかし、殆どが委託条件で有り、売れ残った書籍や雑誌は返品できることで書店の資金繰りや経営には楽な条件でした。
これが、書店経営にあまり人件費をかけず経営することができるのですが、物販における一番大事なマーケティングをおざなりにして、人任せの経営をしてしまう要因になっている事は事実です。
小生が最初に入ったアパレル業界でも、百貨店相手の商習慣も委託条件が殆どで、販売員さえもメーカー持ちが当然でした。その為その分を上乗せさて販売価格を決めていた為利益率は高いが、売れ残って大量に返品になれば何も残らない?状況でした。その中新宿に本店を置いていた伊勢丹だけは自社でマーケティングの為の別会社を作り、メーカーと共同で開発を始め、条件も買取部分を増やす経営を実施していました。特に衣料、家具、食品に関しては力を注ぎ利益率をあげていました。
出版業界では買取条件はほんの一部で、医学書はその対象でしたが、書店の店頭販売は少なく、外商販売に重きが置かれていたようです。小生が勤務していた出版社は、創業者の努力で、小生が入社当時は月刊誌を6誌刊行しており、全て買取条件でした。書籍に関しても条件としては買取でしたが、版元了解と言うシステムを作り、販売力のあまりない書店には配本ができるように変えたいしました。
入社して驚いた事は、全国の大型書店の担当者とのコミュニケーションが全く取れておらず、注文が有れば配本すると言う殿様商売でした。まず取りかかった事は、社長と相談し全国の得意先(書店や取次の支社)を訪問する事から始めました。経費はかなりかかりましたが、北海道から九州までを訪問しました。訪問すると必ず社の顔がようやく見れたと喜ばれ、取引の拡大を約束していただきました。営業部員も増やしてもらい売上増を試みましたが、それだけで売上を伸ばす事には中々繋がりませんでした。教育現場の忙しさの為、現場の教職員の方々が本を読む時間さえなくなってしまった事が売上が上がらなかった要因のひとつだと思います。

それ以外にも、編集者のレベルの低下も大きな要因のひとつだと実感していました。