ガスライティングという言葉をご存知ですか?

私は、つい先日サロンにいらしてくださった方に教えていただいて初めて知りました。

彼女と、ガスライティングの話をしていて、あぁこの言葉は、いわゆるスピリチュアル業界と呼ばれる、目に見えない領域を扱う業界に、ありがちな状況を的確に表す言葉だなぁと思いました。


Wikipediaによると、ガスライティングとは心理的虐待を意味する言葉で、被害者に些細な嫌がらせ行為をしたり、故意に誤った情報を提示し、被害者が自身の記憶、知覚、正気、もしくは自身の認識を疑うよう仕向ける手法とあります。

その元になったのはイングリット・バーグマン主演の映画「ガス燈(=ガスライト)」のストーリーで、夫が妻に嘘をつきながら心理的圧力をかけて妻の正気を失わせてゆくという内容。

この虐待の構図が、夫婦に限らず、様々な関係性において起こり得るということに焦点を当てた言葉が、ガスライティングなのだそうす。

言葉の語源を映画のストーリーに紐づけるなんて、英語って何ともオシャレだなぁと感心します。



    写真は映画「ガス燈」のチラシの一部

    Wikipediaよりお借りしました



さて、スピリチュアル業界を見てみましょう。

神秘的な世界に癒しを求めて集まる人の弱みや苦しみに漬け込んで、ガスライティングをしている精神的指導者、霊能者、ヒーラーは、いませんか?

物理的には確かめようもない情報を鵜呑みにさせられたり、特別な霊力を持った(とされる)人間を崇めるように巧妙に仕向けられたり、ガスライティングが起こり得る状況は山ほどあります。

あからさまな形ではないにせよ、大なり小なりそうしたことが行われうるのがこの業界です。

私自身も、見えない領域を扱う世界で仕事をしているので、自分の言動が相手を縛ったり混乱させたりしないように、そして不確かな情報を安易に渡さないように、細心の注意を払わなければいけないと思っています。



見えない領域を感じる感覚には個人差があります。

感じられるから凄いわけでもなく、感じられないから劣っているわけでもない。

言ってみれば、今生での設定の違いにすぎません。

ゲームで言うところの、持っている装備が違うだけ。(ゲーム好きの息子から教わった表現を使ってみました笑)

だから、自分には感じられないことをキャッチして伝えてくれる人を特別視する必要などないのです。



カリスマ性を帯びた人間がもたらす神秘的な情報を鵜呑みにしないことが大切だと思います。

どんな情報も、それを伝える人が、その人のフィルターを通して受け取った一つの情報に過ぎず、無数にある可能性の中の一つでしかないからです。

正解はないのです。

いやむしろ、人の数だけ異なる正解があります。

つまり自分にとっての正解は、自分でしか掴めないものなのです。

そのことを肝に銘じないままスピリチュアル業界に足を踏み入れると、簡単にガスライティングの餌食になってしまう危うさがあると思います。



見えない領域について意識を拡大させてゆくことはとても大切なことです。

私達の本質は見えない領域にあるからです。

けれど、そこへ至る道には無数のトラップが仕掛けられている。

いつだって、事をややこしくしているのは、人間の意識なんですね。

ガスライティングという言葉から、そんなことを想起させられて、文章にしてみたくなりました。