自分も重くならないためには?
週イチ非常勤の私立高校。
今週の授業は?
いつものNHK『プロフェッショナル』。
チャイルド・ライフ・スペシャリスト、佐々木美和さん。
勤務先は、名古屋大学附属病院小児病棟。
小児がんの専門病棟。
チャイルド・ライフ・スペシャリスト。
聴きなれない職種。
だって、日本にまだ50人しかいない。
医師でも看護師でもなく。
難病を背負う子どもたちに寄り添い、
その不安を和らげる。
医療行為は行わない。
心のケアの専門職。
佐々木さんは、その道16年。
先駆的な職業の第一人者。
薬を飲まなければ、検査を受けられなかった子どもも。
佐々木さんと一緒なら、落ち着いて受けられる。
医師曰く、
> マジックですね。
> 不思議としかいいようがない。
喜ばれるのは、患者の母親にも。
病気の不安から、ギャン泣きの女の子。
> この子も心がつらいのか、
> からだがつらいのか。
> 訳がわからなくなってるんです。
けど、佐々木さんが付き添うと、
採血もおとなしく受診。
> もし、佐々木さんがいなければ。
> 私は追い詰められていたかもしれません。
いやー、そうだよね。
専門家でもないし。
わが子だから、客観視するのは難しいし。
ギャン泣きされると、お母さんも泣きたくなる。
めちゃ貢献度が高い佐々木さん。
けど、一時期、自分の存在価値に悩まれる。
> 明確に効果が出る仕事でもありませんし。
> まさに、不要不急だなって。
ケラケラ笑いながら、一緒にゲームしたり。
傍からみれば、子どもと遊んでるようにしか見えない。
そんな時、病棟で亡くなったお子さんの手紙。
お母さん経由で手渡される。
> 最後に一緒にいてくれて、ありがとう。
> 幸せでした。
自分の命が短いことを知ってからも。
笑顔で過ごしたこの子。
死の直前まで口にしていたのが、
> 家族と一緒にいたい。
家族と一緒にいる時は、
> ガンダムを作りたい。
佐々木さんは、悟る。
> 当たり前の日常が、当たり前であるように。
病院では、「仕方ない」が飛び交う。
外に出られない。
家族とも会えない。
定期的な検査や採血の負担にも。
治療のためには、仕方ない。
我慢を強いられることばかり。
フツーの子どもたちが当たり前にしていること。
この子たちにとっては、当たり前ではない。
自分ができることは、それだ。
それしかない。
医師や看護師と相談し、
家族との面会時間を増やしたり。
> 子どもが傷ついていいわけがない。
いま、自分にできることは?
常に問い続ける。
それでも、サポートし続けた子が、
天国へ旅立つこともある。
もちろん、悲しい。
佐々木さんも泣く。
泣くけど、深刻ではない。
涙を流しながらも。
軽やかであり続ける。
ヒシヒシと観じる。
佐々木さんの覚悟。
動画を観た生徒からも。
「心が痛くて、観てられない。」
「自分には、絶対ムリ。」
「先に、自分がつぶれてしまいそう。」
そうだよね。
あんな小さな子が。
死の恐怖におびえながら。
時に我慢できず、泣き叫ぶ。
観てられないよね。
今日、伝えたかったのは、そこ。
「同情」と「共感」の違い。
みんなも、これからの人生。
大切な人から、相談を受けることが。
あなたを信頼してくれればくれるほど。
弱音も吐けば、闇も見せてくれる。
正直、重いって観じるかもね。
そんな時、「同情」しちゃうと、
あなたも重くなる。
重い人×2に。
相手に楽になってもらおうと頑張るほど、
あなたもつらくなる。
必死にアドバイスしても。
あなたの言うとおりにしてくれないことも。
すると、
「これだけあなたのために頑張ってるのに。」
見返りを得られないと、怒りが。
これ、あなたの心が弱いからとかじゃなくてね。
エネルギー的な反作用だから。
誰でも同じ。
けど、この展開。
嬉しくないよね。
だったら、「共感」しよう。
「何が違うんですか?」
ああ、『もうひとりの自分』だよ。
「もうひとりの自分?」
悲しみや怒りに震える自分をね。
もうひとりの自分が観ているの。
君たちも経験あるだろ?
怒ってる時にね。
(・・・あっ、いま、予想以上に怒ってるな、俺。)
とか。
あれ、あれ。
だから、誰にでもできるの。
いま、私、笑ってるけどね。
佐々木さんの動画観て、涙出そうになってね。
何回も観てるのに。
同じ場面で、胸が奮えるの。
けど、それは、そのまま。
カラダに震えてもらってるの。
で、もうひとりの自分がね。
(ああ、またこのシーンで泣きそうになってるよ。)
(もう10回以上観てるのに。)
(けど、泣けるよな~、やっぱり。)
「実況中継」してるの。
「実況中継ですか?」
そう、起こってることをそのまま。
(泣いたら、恥ずかしい)
評価した時点で、実況じゃないよ。
(ああ、また泣きそうだ。)
(胸が震えて)
(鼻の奥が熱くなってきた)
これが、実況。
いま起こってること。
そのまんま。
「それだけで、聴けるようになるんですか?」
うん、なるよ。
けど、ある程度、繰り返してね。
身につくまで。
スポーツの基礎練習と同じ。
無意識で「もうひとりの自分」が発動するまで。
「同情」すると、情に流される。
自分もしんどくなる。
かといって、気持ちを切るとね。
そんな相手に誰も相談しない。
そこで、「共感」。
カラダは、相手のエネルギーに同調し反応。
実況中継することでね。
情に流されない。
ニュートラルな意識であり続けられる。
すぐには、難しいかもしれないけど。
まあ、ぼちぼちやってよ。
私がこのことに気づいたのは、40代。
高校生に習得されたら、立場ないんだけど。
っていうか、君たちの世代。
生まれつき「共感」できちゃう人も結構いる。
ビビるわ。
えっ、相談に乗る機会がない?
これ、実は自分のため。
相談相手のためじゃないの。
相談は、きっかけに過ぎない。
実況中継することでね。
自分に共感できるの。
だからこそ、相手にも共感できる。
ピピッときたら、お試しあれ。
今日は、ここまで。
また、明日。
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